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2011/09/27 | KAJIMOTO音楽日記

●パッパーノ&サンタ・チェチーリア管が挑む「シェエラザード」の魅力をとことん!

来日目前のパッパーノ&サンタ・チェチーリア管の特集が続いてまいりましたが、10月5日(水)東京オペラシティ公演他のために彼らが準備している大曲が、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」です。

管弦楽法の大家と呼ばれるR=コルサコフがその才をあますところなく発揮した名曲「シェエラザード」。
この作品の素晴らしさは、何といっても世界的に知られる説話集「千夜一夜物語」を音楽で見事に描き出した点にあるでしょう。


ロシア出身の印象派画家ワレンティン・セロフが描いたリムスキー=コルサコフ
トレチャコフ美術館(http://www.tretyakovgallery.ru/)所蔵

本日は、この楽曲の原作「千夜一夜物語」について、復習してみたいと思います!

~「千夜一夜物語」とは?~
「千夜一夜物語」は、アラビア語で書かれた一題説話集。原題は「アルフ・ワイラ・ワ・ライラ」("千夜一夜"の意)で、既に10世紀ごろに書かれていたと言われています。
一話ごとに作者や執筆された時代が異なるため、統一した文体はなく、各話ごとに多くの違いが見られますが、アラビア語で書かれている、という点がこの物語の核を成す要素です。
アラビア語は、世界でも指折りの、表現豊かな美しい言語だと言われています。イスラム教が大きな影響力を持つと、その経典コーランの言葉であるアラビア語は、神=アッラーの言葉として尊ばれていきます。
"表現力に富む言語"アラビア語では、ある"物"が数種類の呼び方をもつ事もあります。「剣」を表す言葉は800種、獅子を表す言葉は500種あるのです。日本語でも、例えば「あなた」を表す言葉は、「君」「お前」「そなた」など数種類ありますが、これが数百通りにも増えると想像すると、驚きが増しますね・・・。
実際、コーランの朗読やアラビア語による講演が行われると、そのあまりの美しさ、表現の豊かさに感情を抑えきれずに聞き手が感涙にむせぶ、ということもあるようです。音楽的にも非常に表現力に富んだ言葉なのでしょう。

~「千夜一夜物語」の冒頭~
この説話集は、悲劇で幕開けします・・・

***

<シャリアール王とシャーザマン王のおはなし>

インドとシナに君臨するシャリアール王は、久しく会っていなかった弟、サマルカンドの王であるシャーザマンのところへ迎えの使者を遣ります。シャーザマンは喜んでこれに応じ、都を出発します。彼が忘れ物に気づき宮殿へ引き返すと、妃が黒人奴隷と不義の快楽に陥っている現場に出くわしてしまいます。直ちに両者を成敗し、兄のもとへ向かうシャーザマンでしたが、心はなかなか癒えず、兄と会っても食も進まずに顔色も青ざめてしまいます。兄が理由をきいても弟は答えず、鬱悶とした日々を過ごします。
ある日、兄シャリアール王が狩猟に出かけた際に、シャーザマンは兄の妃が庭園で黒人奴隷と戯れているのを目撃してしまい、兄も自分と同じ境遇であることを知って気が楽になります。元気を取り戻した弟を見たシャリアールは不審に思い、理由を問いただします。
すると、シャーザマンの口から真実が告げられ、シャリアールは怒りのあまり后と黒人奴隷を殺してします。そして兄弟は、そろって世の中を見るために旅に出るのです。

<シャリアール王とシェエラザードのおはなし>

旅から帰ってきても一向に女性不信が拭えないシャリアール王は、妻を迎える度に一夜を共にすると翌朝に殺してしまうようになります。こうして都からは若い女性が離れていき、国王のもとに新たな后を連れて来られなくなった大臣は困り果ててしまいます。すると、その二人娘のうち、長女のシェエラザードが自ら王のもとに嫁ごうと申し出たのです。
彼女の父=大臣は、なんとかしてこれを思いとどまらせようと説得を試みますが、才媛シェエラザードは譲りません。大臣は王に泣きついて妹を宮殿に呼ぶことを許されます。そこで、事前の打ち合わせ通り、妹が姉のシェエラザードに向かって、「何か面白い話をして欲しい」とねだります。するとシェエラザードは、「王の許可があれば話そう」と答え、王もこれに応じたため、「商人と魔人の話」を語り始めます。話が佳境になったところで夜が明け始め、シェエラザードは話を打ち切ってしまいます。王は、どうしても話の続きを知りたいがために、新妻を殺すことを一日延期することにします。
次の夜も、妹の催促でシェエラザードが話し始め、またストーリーの山場で夜が明けてしまいます。王はますます話の続きが知りたくなり、もう一晩、殺さないでおこうと決めます。こうして、一夜、また一夜、と話は続き、ついに千一夜を数える頃には、シャリアール王とシェエラザードは子供を授かっており、王は賢いシェエラザードを心から愛するようになっていました。そして同時に、世の女性たちに対する激しい怒りも消えていたのです。こうして、王も后も、幸せに暮らすようになりました。

***

というわけで「千夜一夜物語」では、王がシェエラザードの夜毎の面白い話を聞きたいがために、彼女を殺さない・・・というスタイルで、千一のストーリーが紡がれていくのですが、その中には、わたしたちが良く知る話も多く含まれています。

・海のシンドバッドの七つの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・アリ・ババと40人の盗賊

などなど(なつかしいですね~)。
ちなみにリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」の中では、「海とシンドバッドの船」「カランダール王子の物語」などが登場します。

様々な登場人物が現れ、話がつぎつぎに紡がれていき、読み手は旅にいざなわれるようにこれを読み進めていく・・・これぞ、一大ファンタジーの世界なのです。
文献:「アラビアン・ナイトの世界」前嶋信次(平凡社)


アラビア語の多彩な表現技法で書かれた「千夜一夜物語」から、自慢の管弦楽法を操ってエキサイティングな音楽世界「シェエラザード」を生み出したリムスキー=コルサコフ。
力強い金管楽器のメロディで始まる冒頭のシャリアール王のテーマと、独奏ヴァイオリンが奏でる、美しくもどこか儚げなシェエラザードのテーマは印象的です。

まもなく来日するパッパーノ&サンタ・チェチーリア管が、その類稀な音色、カンタービレ、ダイナミックな演奏で、いにしえのファンタジーをどのように再現していくのか、期待が高まります。

加えて、サンタ・チェチーリア管が初演をした「ローマの噴水」「ローマの松」の作曲者レスピーギは、管弦楽法をリムスキー=コルサコフから学んだのですよね。これも縁。

この秋一番の冒険をお楽しみに!



ピアノも得意!?パッパーノ


■アントニオ・パッパーノ(指揮) ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 【東京公演】
2011年10月5日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール
チケットのお申し込みはこちらまで


【ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 2011年10月 来日ツアー】
アントニオ・パッパーノ(指揮)
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)

ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 プロフィール
ボリス・ベレゾフスキー プロフィール

■2011年10月1日(土) 14:00 名古屋/愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムB】
~第29回名古屋クラシックフェスティヴァル~
【問】中京テレビ事業 052-957-3333

■2011年10月2日(日) 15:00 京都/京都コンサートホール 【プログラムC】
【問】京都コンサートホール 075-711-3090

■2011年10月3日(月) 19:00 東京/NHKホール 【プログラムD】
~NHK音楽祭2011~
【問】NHKプロモーション 03-3468-7736

■2011年10月5日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール 【プログラムA】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2011年10月6日(木) 19:00 福井/ハーモニーホールふくい 【プログラムE】
【問】ハーモニーホールふくい チケットセンター 0776-38-8282


【プログラムA】
プッチーニ: 交響的前奏曲
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18 (ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー)
  ***
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35

【プログラムB】
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

【プログラムC】
ロッシーニ: オペラ「ウィリアム・テル」序曲
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)/オペラ「運命の力」序曲
  ***
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35

【プログラムD】
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)
リスト: ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 (ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー)
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

【プログラムE】
ロッシーニ: オペラ「ウィリアム・テル」序曲
プッチーニ: 交響的前奏曲
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

(*) ヴェルディのオペラ「アイーダ」では、通常冒頭に「前奏曲」が演奏されますが、
今回の「序曲」は「前奏曲」とは別に作曲された、演奏機会の少ない希少な曲です。


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