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こんなときだから…公演プログラム冊子より、はみ出しページを特別蔵出し!(4)── スイス・ロマンド管編

今日は、2019年4月に来日したジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団のプログラム冊子から。


A男:先日リリースされた、「スイス・ロマンド管100年の軌跡」BOX-CD(キングインターナショナルから発売)を2人で聴いてみました。
全部ではないのだけれど。

B子:聴きごたえあったね。創設者アンセルメの指揮した録音というのは今までたくさん聴いてきたけど、その後の音楽監督たちとのものは興味津々だった。私、まず印象に残ったのはヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮のシューマン「マンフレッド」序曲(1984年録音)。

A:うん!これは知らずに聴いたら、スイス・ロマンド管(OSR)とは思わなかったろうな。シューマンのオーケストレーション特有のトロッとした、言い方悪いけど、音がよく分離しないもやもやした響き。でもそれが幻想的で暗くて…

B:そのわりに弦楽器がさらっとした感触だったり、管が鮮やかだったりするから、あ、やっぱりOSRなのね、と後で気づくけど。

A:僕はホルスト・シュタイン指揮のB.A.ツィンマーマン「フォトプトシス」(1985年録音)というのが面白かった。初めて聴く曲。指揮者のキャラクターのせいだけではないと思うけど、ドイツの表現主義的というのかなあ、神経質さと分厚い咆哮が一体になって、およそフランス語圏のオケの演奏とは思えない強烈さが。

B:シュタインだったら、ストラヴィンスキーのバレエ「結婚」(1983年録音)もよかったわ。これ、ワーグナーやブラームスが得意なあのシュタインからは想像できない透明さ、軽さ、モダンさ。後期のストラヴィンスキーの新古典主義的イメージそのもので、さすが、この作曲家の演奏をルーツの一つとするOSRだと感じ入ったわ。

A:うんうん。同じ指揮者でこの両方の演奏が出来るんだね、OSR。

B:アルミン・ジョルダンが振るラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲(1983年録音)。これは全曲版ライヴからの抜粋かな?合唱も入ってた。これもまたさすがOSRとしか言いようがないわ。楽団第2次黄金期と言われたジョルダン時代のね。キラキラと静かな音色が明滅して宙を舞う「夜明け」の情景は、ラヴェルの音楽そのものの具現…。

A:恍惚としたなあ。
そしてこの曲で、僕は彼らの日本公演の実演を聴いたのでした。懐かしい。
音そのものは大きくないんだよ。マッスで押してくる、ということはあまりない。大人の丁寧な手仕事による結果こうなるんだな、と思ったことをよく覚えてる。

B:マレク・ヤノフスキ指揮のボリス・ブラッハー「パガニーニ狂詩曲」(2012年録音)。あの有名な主題を使った曲って結構あるのねえ。ヤノフスキは東京でN響を振ったワーグナーやブルックナーもそうだったけど、音をきちんと整理することで曲の構造とか面白さ、かたちをそれこそ「きちっ」と聴かせてくれる。オーケストラがそれにまた「きちっ」と対応してるのがわかるわ。

A:ボリス・ブラッハーって、ベルリン・フィルの元コンサートマスターで、ルツェルン祝祭管のコンマスもやったコーリャ・ブラッハーのお父さんだよね。貴重な録音だ。

さて、現在の音楽監督ジョナサン・ノットが指揮したストラヴィンスキー「春の祭典」(2017年録音)。これはさ、さっき言ったように力で押さないけど、とにかく精緻の極み。複雑に絡み合った音やリズムが、クリアに簡潔に、そして色彩的に響くんだ。でも、その正確さがひたひたと迫力を生んでいく。これはすごいね!

B:私もそう思った。8Kハイビジョンの解像度!?って。

A:色々聴いてきると、OSRは自分たちのヴィルトゥオジティを誇示するようなオケとは正反対で、曲そのもののレファレンスになることをよしとする姿勢を持ち続けてきたんだなあ、と思うよね。

B:同感。今のオーケストラの在り方の傾向を創設時から備えていて、そして引き継ぐ努力をしていたのね。一歩引いて曲をたてるというスタンス、大人よね。

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