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こんなときだから…公演プログラム冊子より、はみ出しページを特別蔵出し!(7)── クルレンツィス&ムジカエテルナ編

今日は、昨年2月に待望の初来日し、一大センセーションを巻き起こしたテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナのプログラム冊子から。
(まさに今月再来日を果たすはずでしたが、コロナウイルス・シンドロームで中止に…)


A男:いよいよ来るねー、クルレンツィス&ムジカエテルナ。

B子:楽しみ、というのを通り越して、怖いような気分。

A:これだけ話題になるクラシック音楽のアーティストも近年じゃ珍しいもんな。

B:今やひとつひとつの演奏が伝説、って感じよね。録音で聴いていた、突き詰められた狂気にも似た演奏がついにナマで。もうドキドキよ。

A:録音といえば、レコード・アカデミー賞を2年連続で獲得って初めてなんじゃない?先日も彼らのCDをリリースしているソニーのスタッフの方々と話をしてきたよ。

B:へえー、どんな話を聞いたの?

A:知ってるエピソードも多いと思うけどさ。モーツァルトのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》の録音、あれ、さていよいよリリース!って時に、「プロジェクト、止めます。クルレンツィスがほぼ100%録り直すことに決めたので」ということに。

B:えー!それは社員一同驚愕よね。今の現実的なビジネス・シーンでそんなことがあり得るの? 社長さん、よくOKしたわね。

A:社長は、2020年からウィーン国立歌劇場の総裁になるロスチッチさんという人なんだけど、とにかくクルレンツィス&ムジカエテルナには入れ込んでいて、ソニーの世界ミーティングの時に、幹部全員に彼らの録音を聴かせ、これから力を入れていくことを明示したそうだ。

B:それにしても録り直し、って膨大なお金が…

A:ドキュメンタリー、観た?ちょうどその《ドン・ジョヴァンニ》の再セッションのシーンをやってたのだけど、まあ、歌手にオケに、部分部分を何度もやり直してすごい密度のものに仕上げていくんだ。観ているこちらもドランス状態になるくらい。

B:観たわよー。私がプレイヤーだったら逃げ出すかも、って思った。

A:チャイコフスキー「悲愴」の時もそうだったらしいよ。この時は録音マスターが届いて工場でのCDプレス工程に進もうとしたら、クルレンツィスからいきなりNGがきたんだって。今度は録り直しじゃなくて、ミックスダウンとか編集をやり直したい、って。

B:編集も自分でやるの?クルレンツィスは。

A:すごくこだわるんだって。それに編集をやり直せる、ってことは別テイクをたくさん録っている、ってことだよね。それ、すごくない?

B:グレン・グールドもそうだったけど…でもムジカエテルナの場合はオーケストラという集団の演奏だし、時間もお金もどんだけ~!?

A:そうなんだよ!そしてさ、そもそも今はオーケストラの録音といえば、昔と違って予算の問題でライヴ録音が主流なのに、ずっとホールや機材を借り切ってのセッション録音を続けてるんだよね。いや、続けてる、というか、レコード会社に続けさせている説得力がある、というわけで、そこがすごいと思うんだ。
そんな指揮者とオーケストラは、今や唯一かもしれない。

B:まさに21世紀の奇跡、現代の神話…だわ。

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