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ペーター・シュミードルさんの訃報に寄せて ペーター・シュミードルさんの訃報に寄せて

「ウィーン・フィルの顔」のひとりとして、そして世界最高峰のクラリネット奏者として長く活躍されたペーター・シュミ─ドルさんが2/1に逝去されました。84歳でした。
シュミ─ドルさんはチェコのオルミュッツ生まれ。ウィーン国立音楽大学で学び、1965年からウィーン国立歌劇場クラリネット奏者、そして1968年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・クラリネット奏者となりました。こうして祖父から3代続くウィーン・フィルの首席奏者として名高いほか、ソリストとしてもウィーン・フィルはもとより、パリ管やシュターツカペレ・ドレスデン、N響などと共演しています。母校のウィーン国立音楽大学でも教鞭をとっていました。日本でも草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティバルやPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌)でシュミ─ドルさんの指導を受けた若い演奏家も多いのではないでしょうか。
著名な室内楽アンサンブルのメンバーとしても広く活動し、KAJIMOTOの招聘ではウィーン八重奏団や、なんといってもウィーン・リング・アンサンブルの主要メンバーとして、その初来日から2018年まで毎年のお正月に素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
その柔らかく木質な音は弦楽器とも素晴らしく溶け合い、感興に満ちた豊かなカンタービレは格別なものでした。リング・アンサンブルのワルツやポルカの演奏の中で、やはり故人となったフルートのウォルフガング・シュルツさんとのウィットに富んだ漫才のようなやりとりは、大いに私たちを楽しませてくれたものです。
長い年月にわたり、たくさんの豊かな音楽を与えてくれたシュミ─ドルさんに、心から大きな感謝の意を表すとともに、ご冥福をお祈り致します。
KAJIMOTO