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2017/01/17 | KAJIMOTO音楽日記

●お待たせしました!「ワールド・オーケストラ・シリーズ2017-18」、まもなく先行受付開始です。


本当にお待たせして申し訳ございませんでした。(年明けに当サイトでもご挨拶と共にそのことについて触れさせていただきましたが)今年の「ワールド・オーケストラ・シリーズ」(WOS)と「ワールド・ピアニスト・シリーズ」(WPS)につきまして、例年なら12月の上旬に詳細をお知らせし、下旬には発売を開始するところ、諸事情でどうしても詰められないことがいくつかあり、年を越してこの時期のお知らせとなったこと、毎年このシリーズを楽しみにしていただいている多くのファンの方々へ、改めてお詫び申し上げます。

さて、まずはWOS、ようやく決定致しましたラインアップ、そしてシリーズ会員券の発売日時等は以下の通りです。
カジモト・イープラス会員先行受付は1/25(水)から!


【WOSシリーズA】
11月11日(土)15:00 サントリーホール

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944「グレイト」


11月20日(月)19:00 サントリーホール

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:ダニエレ・ガッティ
ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68


2018年3月13日(火)19:00 サントリーホール

ニューヨーク・フィルハーモニック
指揮:ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
ピアノ:ユジャ・ワン

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調op.15
ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」


2018年3月15日(木)19:00 サントリーホール

トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
指揮:トゥガン・ソヒエフ
フルート:エマニュエル・パユ

グリンカ:オペラ〈ルスランとリュドミラ〉序曲
ハチャトゥリアン(ランパル編):フルート協奏曲
チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」から


【WOSシリーズB】
11月12日(日)15:00 サントリーホール

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調


11月21(火)19:00 サントリーホール

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:ダニエレ・ガッティ
チェロ:タチアナ・ヴァシリエヴァ
ソプラノ:ユリア・クライター

ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIb-2
マーラー:交響曲第4番 ト長調


2018年3月14日(水)19:00 サントリーホール

ニューヨーク・フィルハーモニック
指揮:ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
ヴァイオリン:五嶋龍

ヴァイオリン協奏曲(作曲者未定)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調


2018年3月21日(水・祝)19:00 サントリーホール

トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ソリスト:未定

ドビュッシー:交響詩「海」
ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」  ほか


カジモト・イープラス会員限定先行受付
1月25日(水)12時 ~ 28日(土)18時  ●お申し込み
一般発売
1月29日(日)10時 ~ 31日(火)18時  ●お申し込み


このように今期のWOSは秋から来春にかけて、となります。
(ところで、実は7月にもレナード・スラットキン指揮デトロイト交響楽団の来日公演がありますが、その東京公演は「国際音楽祭NIPPON」の中に位置づけられていますので、ぜひこちらもご注目ください)

さて、駆け足でご紹介させていただきます!




ヘルベルト・ブロムシュテットが今年も再びやってきます。昨秋のバンベルク響のベートーヴェンやシューベルト、また年末のN響との「第9」で、ついに今年90となる年齢など関係なし・・・いや、むしろ長く生きているからこその飽くなき好奇心と智慧、恐るべきエネルギーによって「もっといい演奏を。もっと作曲家の魂に肉迫した演奏を」と、精神だけでなく、厳しいトレーニングのもと具体的に新しい演奏法をも模索して、「ハッ!」とするような目覚ましい新鮮な音楽体験をさせてくれたマエストロがまた。今度はバンベルク響以上に結びつきの強い・・・1998年から2005年までカペルマイスター(楽長)を務め、現在も名誉カペルマイスターを務める古豪オーケストラ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との来日です。
この「市民発」として世界最古、ついに今年創立275年となる伝統をもつ名門オーケストラは、振り返ってみるとまさにブロムシュテット時代に大幅に技能が飛躍し、そしてリッカルド・シャイーによって現代ドイツでも名実ともに真の輝かしさを得る楽団となったのでした。今年からカペルマイスターは人気指揮者アンドリス・ネルソンスとなりますが、ブロムシュテットは毎年のようにこのオーケストラへ定期的に客演し、特にブルックナーやベートーヴェンにおいては不動のコンビ。(2002年にこのコンビが来日した時のブルックナー「第5交響曲」のあまりの壮麗さを忘れられない方も多いのでは。評者からもファンからも「史上最高のブルックナー」と称えられたものです。私もそうでした)
今回のプログラムが、ゲヴァントハウス管がかつて初演した作品だけで組まれる、というのもこの名門ならではの強み。

個人的にはシューベルトの「ザ・グレイト」が楽しみ。なぜなら、昨年のバンベルク響との公演で、ブロムシュテットはかつて聴いたことのないような方法で「未完成」交響曲を響かせてくれたのです。今度の「ザ・グレイト」でもあるいは・・・。




次は世界最高のオーケストラのひとつ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。ウィーン・フィル、ベルリン・フィルと並ぶこの妙なるオーケストラに殊更の説明がいらないのが助かります。
弦楽器と管楽器、打楽器すべてがとけあって、豊潤で、奥行きや品格のある音がホールいっぱいに響きわたる。私たちが「ヨーロッパ」というものを思い浮かべるとき、そんな空気を感じるのはいつものことです。
面白かったのは前回2014年の来日時・・・いつものようにハイティンクやシャイー、ヤンソンスといった巨匠の首席指揮者ではなく、まだ若い、この楽団の打楽器奏者出身の指揮者グスターボ・ヒメノが指揮台に立ちました。そんな彼を盛り立てるように、オーケストラが普段にもまして奮い立って演奏した結果、いつもより先に書いたオーケストラの素地、美質のようなものがはっきり「見えた」です。

さて、今回この楽団を率いるは、いよいよ昨秋から満を持してコンセルトヘボウ管の首席指揮者となったイタリアの大指揮者、ダニエレ・ガッティ
なぜ「満を持して」かといえば、ヤンソンスの辞任後、このオーケストラを定期的に指揮し、親密な関係にある最実力者は他ならぬガッティだったからです。この名指揮者、実はそれほどまだ日本のファンにはなじみがないかもしれません。それは今までボロニャやミラノ・スカラ座などオペラ上演での来日が多く、コンサート指揮者としてはほとんど来ていないからです。(90年代に当時音楽監督をしていたロイヤル・フィルと来たことが一度だけあります)
しかし欧米ではコンセルトヘボウ管のほか、ボストン響などにも毎シーズン頻繁に客演し、それらの演奏を現地で聴いた方々からは「ガッティはいつ来日するのだ?」という声がかなり昔から止むことがありません。間違いなく現代のトップ指揮者の一人。
ですから今回のコンセルトヘボウ管の来日公演は、世界最高のオーケストラを聴くのみならず、ガッティに接する願ってもないチャンスであるわけです!
それも、両者の十八番のブラームスやマーラーがメインとなれば、尚更。




2018年になると、ニューヨーク・フィルハーモニック(NYP)がやってきます。こちらも新しい音楽監督とともに。(就任は2018年9月から)
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンがNYPの音楽監督になる、というのは誰もが意外に思ったところですが(下馬評ではサロネンやロバートソンの名が挙がっていました)、彼は調べてみるとニューヨーク・フィルと結構な共演歴があり、団員たちから信頼がとても厚かったのだということがわかりました。なるほど。
偶然ですが、オランダ人のズヴェーデンは、先のコンセルトヘボウ管のコンサートマスター・・・ハイティンクが首席指揮者の頃にヘルマン・クレバースの後輩として・・・を務めていて、以後指揮者としてオランダのハーグ・レジデンティ管(このコンビ、来日しています)、オランダ放送フィル、ダラス響などの音楽監督を務め、オランダ放送フィルとは日本でもたくさんCDが出ていて、特にブルックナーなどの評価が高いことをご存じの方も多いはず。
やはりコンマス・・・ヴァイオリニスト出身(しかもこの上ない名門オケの)というのは、オーケストラ・サウンド作りに有利。というのは、ボウイング等をはじめ、弾き方や響かせ方などに具体的な指示ができますから。例えばほかにも、昔でいえばシャルル・ミュンシュやロリン・マゼール、サカリ・オラモ、そして前任のアラン・ギルバートにしても、弦主体の豊かな音に管楽器の色と技を組み込ませて、結果実に鮮やかな音作り、音楽作りを実現していました。ズヴェーデン&NYPとしてのコンビはまだ実際に聴いていませんが、なにせ腕達者なメンバーの集まりのNYP。どんな音になるか楽しみです。

ちなみにアメリカの上位メジャー・オーケストラの中でNYPはシカゴ響やボストン響、フィラデルフィア管に比べてちょっと落ちる、という声をたまに聞きますが、確かにムラはあるものの、そんなことはありません。凄腕のメンバーばかりのため、その分自尊心も強くて指揮者が制御しきれない時があったりする、ということが時折あり、逆に全員の能力が全開になって一つとなったとき、それはそれは凄いことになるわけです。最近でいえば、マゼールと来た1度目の来日(2004年)やマズアと最後に来たとき(2002年)は目を見張る演奏だったのを覚えています。それに80年代のバーンスタインとのマーラー全集の一部(特に第2番「復活」)のモニュメンタルな高さに達した演奏などを思い出していただければ。
(今回のプログラムにもマーラーがあり、ズヴェーデン得意のストラヴィンスキーも)




最後はトゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団。
ソヒエフはこのところN響に頻繁に客演するようになり、彼の指揮の統率力の強力さ、多彩な表現の素晴らしさ、一筋縄ではいかない奥の深さを感じる凄み・・・などがNHKのテレビやラジオを通じて目に、耳にされる機会が多くなったことを嬉しく思っています。
この大いなる天才をもったソヒエフが2008年以来音楽監督を務め、緊密なコンビを組むトゥールーズ・キャピトル管とは、この楽団の個性・・・フランス・ベスト3と評されるようになった緻密なアンサンブル、パリのそれとは違うむしろスペインに近いような現職的な色彩感、オペラでも観るような表現力などが発揮され、それは他では味わうことのできない愉しいものです。
今回のチャイコフスキー「白鳥の湖」やストラヴィンスキー「火の鳥」、そしてあのパユをソリストとして迎えるハチャトゥリアンのフルート協奏曲などはソヒエフの故国ロシア的な色合いが濃く出るでしょうし、ドビュッシーの「海」では言わずもがな、オーケストラのフランス的なカラーが浮き出るでしょうし、いずれにしても「色」と「情熱」がはじけ氾濫する、めくるめくコンサートになることは間違いなさそうです。


駆け足、と言いつつ、長くなりましたが、2017-18年のWOSを通して、私たちの中にはない文化の多面性や重層性を、たくさんの方々に存分に体験していただき、シェアしていただければ嬉しいです。
 

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