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2016/05/26 | KAJIMOTO音楽日記

●華麗なるフィラデルフィア管 来日を前にVol.11 ―― 音楽監督ネゼ=セガン、最新インタビュー


アジア・ツアー真っ最中で波に乗るヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団!五嶋龍を加えて来日するまで、あと1週間です。

さて、会場で販売するプログラム掲載用にこの4月、現地フィラデルフィアで音楽監督ネゼ=セガンにインタビューを行いました。その抜粋をここで公開いたしますので、ぜひお読みください!

やはり伝統あるオーケストラを指揮していく、ということは、もちろんこの上ないやり甲斐があるとともに、「伝えていく」という責任も重いことなのだ、ということも痛感させられます。

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―― 2012年に音楽監督に就任して、早くも4年。一時は倒産の危機にあったフィラデルフィア管は、ネゼ=セガンの若きカリスマとともに、すっかり甦った感がある。
この4月、フィラデルフィア菅の本拠地であるヴェリゾン・ホールにネゼ=セガンをお尋ねしたところ、マエストロは何と、Tシャツとジーンズのカジュアルな姿で迎えて下さった。41歳を超えた今も、ボーイッシュな雰囲気が爽やかなマエストロであるが、伝統的な燕尾服とは一味違う、指揮台で見せるスタイリッシュな姿と同様に、Tシャツとジーンズであっても、どこかお洒落だ。

「確かに指揮台の上では、ちょっと違った格好をするのが好きかもしれません。(従来の堅苦しい格好をしないことが)若い観客を惹き付けるかもしれないとも考えています。私が滅多にネクタイを締めないのは、それが堅苦しいと感じるからです。指揮をするために楽でありながら、シャープな格好ってあると思うのです。それは決して、伝統に敬意を払っていないからではありません。」


―― 伝統といえば、フィラデルフィア菅には、ストコフスキーやオーマンディらによって築かれた「フィラデルフィア・サウンド」に集約される、他のオーケストラとは一線を画する伝統がある。ネゼ=セガンは2008年12月に初めて客演した際、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を大成功させたが、当時もっと若かったマエストロは、伝統に臆することはなかったのだろうか。

「とりわけチャイコフスキーやマーラー、R. シュトラウスなど、フィラデルフィア管の有名なレパートリーにおいて、オーケストラのパーソナリティが感じられるのは確かです。私が初めて指揮した時も、もちろんチャイコフスキーにおけるオーケストラの慣習を感じました。慣習は多くの場合、オーケストラの伝統であるわけです。大切なのは、伝統に対抗するのではなく、伝統とともに取り組むことです。私はあの時、彼らの伝統を尊重しながら、私自身のアイディアは彼ら自身の伝統に近いものであることを伝えることができたと思います。しかし音楽監督として4年が経過し、お互いをよく理解できるようになった今は、伝統を再検討できるようになりました。全く違うやり方で演奏するようになったのではなく、伝統を発展させることができるようになったのです。

伝統が美しいのは、それが現在も生き続けているからです。マーラーが言ったように、伝統とは灰を崇拝することではありません。現代の私たちにとって意味を帯びているからこそ、伝統は存在し続けるのです。私は大いなる伝統を聴くことができるフィラデルフィア管を愛していますが、同時にオーケストラは、伝統を再検討する能力を持たなくてはなりません。例えばチャイコフスキーでポルタメントをかけるのは、伝統だからそうするのではなく、それはヴォーカル・テクニックに由来するもので、人間が歌う時はいつもポルタメントがある、それを弦が模倣するのだということを理解してこそ、価値があります。伝統は、まず一歩下がって、新たな意図、あるいは強い意思とともに見つめ直すことが大切なのです。」



―― この6月の日本公演は、ネゼ=セガンが音楽監督に就任してから2年ぶり、2度目のものとなる。前回は音楽監督就任2年後であり、今回は4年後である。そこには、どんな違いがあるのだろうか。

「この2年間、私たちの音楽に新たな進展があったと感じています。そう感じるようになった理由となる、実に多くのことがこの2年間に起きたと思います。それからまた、日本の皆さんが2年前の私たちを覚えてくださっていて、私たちに何を期待していただけるか、より理解してくださっているのではという願いもあります。日本のように、クラシック音楽に対する真の愛がある国を頻繁に訪れて、関係を深めることができるのは素晴らしいことです。」


――音楽監督に就任して以来、コンサート終了後にほぼ毎回トーク・セッションを行うなど、地元の聴衆との交流にも積極的なネゼ=セガン。地元での人気は絶大で、早くもフィラデルフィア管は彼との契約を、2022年まで延長している。

「オーケストラには長い伝統があり、今私たちが共に演奏しているのは、現在・過去・未来にわたる、長い旅路のほんの一部であると感じることは、実に美しいことです。私たちがこの世界で、物事との関わりを深めるためには、あるいは意義あることを成し遂げるためには、ある程度の時間をかけて初めて可能になると私は信じています。何もかもが速く短くなる現代ですが、オーケストラが何かを達成するためには、長い時間が必要です。2022年までの契約更新は、そういった考えを反映したものですが、何か違うことをやるために時間が必要なのではなく、深めるために必要なのです。」


2012年4月12日 フィラデルフィアにて

聞き手・文: 小林伸太郎(音楽ライター/ニューヨーク在住)



*公演プログラムは、各会場において1部\1000で販売。ぜひお買い求めください。

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ところで、ネゼ=セガン&フィラデルフィア管の、2014年末の演奏がココから聴けます!(ブラームス「交響曲第3番」とR.シュトラウス「ばらの騎士」組曲の一部)
https://www.philorch.org/concert/yannick-conducts-brahms?date=2014-12-04_20-00#/

(惜しむらくは、このPCやスマホ用で聴くための録音では、フィラデルフィア管の艶やかな甘美な音がほとんど味わえず――上手さとか、管楽器の妙技などははっきりわかりますが・・・。あくまで参考に。
彼らの美麗サウンドはぜひナマで確かめていただくしかありません)


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