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2015/09/05 | KAJIMOTO音楽日記

●ロンドン響来日直前!ハイティンクが、ルツェルン・フェスティバルに登場(1)

ルツェルン・フェスティバル・レポート!
まもなくロンドン交響楽団(LSO)とともに来日するベルナルト・ハイティンクが、8月に行われたルツェルン・フェスティバルで、ルツェルン祝祭管弦楽団を指揮。そのコンサートの様子を、音楽評論家の松本學さんによるレポートでお贈りします。



設鉄道駅広場に遺された旧鉄道駅の正門(1896年建設)。奥に見えるのが現在の鉄道駅
(以下、音楽祭クレジットのない写真はすべて筆者撮影)




今夏のルツェルン・フェスティバルのテーマは「ユーモア」。そこで、祝祭管弦楽団の2つのプログラムにはハイドンの愉快な交響曲がともに置かれ、さらに祝祭管メンバーによるアンサンブル公演ではヒンデミットの《オランダ人》序曲がメイクと演技付きで上演されたほか、マーラー・チェンバー・オーケストラメンバーによるウォルトン《ファサード》やマルチヌー《調理場のレヴュー》、ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団の歌劇《ファルスタッフ》、メレット・リューティ&レ・パシオン・ド・ラームのビーバーなど、いくつもの楽しい作品が盛り込まれ、華やかに進められている。


ルツェルンの風景:左は中央郵便局、奥はピラトゥス山


1386年建造のムゼック城壁(Museggmauer)

アルチスト・エトワールは、最晩年のアバドが重用したイザベル・ファウスト。元々はクリティーネ・シェーファーとのダブルだったが、シェーファーが昨年から無期限休養に入ってしまったため、ファウスト単独となり、7公演を担当することとなった。
また今年は、指揮者が2つのオーケストラで登場するパターンが多いのも特徴だ。ハイティンクは祝祭管の第1プログラム(8月14、15日)とヨーロッパ室内管(24、25日)、ネルソンスは祝祭管の第2プログラム(19、20日)とボストン交響楽団(30、31日)、ラトルはベルリン・フィル(9月1、2日)とウィーン・フィル(13日)といった具合。そのほか今年の特徴としては、従来から力を入れているコンテンポラリーの継続(含“ブーレーズ・デイ”)や、近年重視してきた子供のための公演のさらなる拡充もあげられる(パペット・テアーター・ペトルーシュカによる《動物の謝肉祭》は全16公演もあり、音楽祭期間が終わった後も、27日まで続けられる)。


対岸から見た会場のKKL。背後はピラトゥス山


オープニング・セレモニーではアルフレート・ブレンデルも登壇

ここでは、ハイティンクによるルツェルン祝祭管(LFO)の第1プログラムを中心にリポートしたい。
この回のコンサートマスターはグリゴリー・アス。各首席陣はほぼいつもと同じで、弦楽器はラファエル・クリスト(第2ヴァイオリン)、ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)、イェンス・ペーター・マインツ(チェロ)に、昨夏からポッシュから代わったスワヴォミル・グレンダ(ミュンヘン・フィル首席)が続投、管打楽器は、ズーン(フルート)、ナバロ(オーボエ)、カルボナーレ(クラリネット)、ガス(ホルン)、フリードリヒ(トランペット)、カーフス(ティンパニ)で、ファゴットはトーンハレ管のマティアス・ラーツが務めた(サンタナは第2プログラム)。また、かなり久しぶりにハーゲン四重奏団からヴァイオリンのルーカスもトゥッティで参加していた。母体となるマーラー・チェンバー・オーケストラは、ニューヨークでのモーストリー・モーツァルト音楽祭でのジョージ・ベンジャミンの歌劇《リトン・イン・スキン》と重なっていたため、半数強の参加となった。



プログラムは、ハイドンの交響曲第60番とマーラーの交響曲第4番である。
ハイドンは、終楽章でのチューニングが、音楽祭テーマの「ユーモア」をストレートに表す作品である。ハイティンクはこの曲では対向配置を用い、ヴィブラートを適宜抑え、ホルンはナチュラル管を用いるなど、時代を考慮したアプローチを採用。また、第1楽章169小節目でさらにfを強調するなど、楽譜に細かな指示を加えてもいた。第3楽章メヌエットでダ・カーポ後のオーボエが装飾を加えていたのは、ハイティンクの指示ではなく、ナバロがアバドとの協働の中で得た遺産だろう。第4楽章プレストやフィナーレのスピードを余裕でこなしていたのも、さすがLFOという具合。ハイティンクの棒も、無駄がなく、しかしその時に基本となるリズムは常に指示していて惚れ惚れする


ハイドンは対向配置で演奏


レポート(2)に続く・・・
 

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