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2012/10/01 | KAJIMOTO音楽日記

●【ポリーニ・パースペクティヴ】ラッヘンマンの「マッチ売りの少女」「グリド」がベルリン初演!~ベルリン・ドイツ・オペラで~

「ポリーニ・パースペクティヴ」の主役のひとり、ヘルムート・ラッヘンマン(1935-)作曲のオペラ「マッチ売りの少女」と弦楽四重奏曲第3番「グリド」が、9月なかばにベルリンで初演されました。

去る8月には「パースペクティヴ」での「グリド」公演のためルツェルン・フェスティバルを訪ね(多忙で一日しか滞在できなかった、とラッヘンマン本人は残念がっていました・・・)、
同月、「サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2012」にて自作の『書』の再演のため、東京にも滞在していたラッヘンマン。
そんな世界で引く手あまたの作曲家に、9月にもっとも注目を浴びせていたのが、ベルリンの音楽ファンでした。

ベルリン・ドイツ・オペラで“ベルリン初演”されたラッヘンマンの『マッチ売りの少女』は、1997年にハンブルクで世界初演され、賛否両論を巻き起こしたオペラ。
アンデルセンによる同名の童話がリブレットの主軸ですが、人間の無関心、孤独、そして現代社会における“ホームレス”・・・こうした問題が、レオナルド・ダ・ヴィンチとドイツ赤軍のグドルン・エンスリンのテキストも織り交ぜられながら、語られていきます。
私たち日本人にとっては、最後の重要なシーンで「笙」が用いられている点も見逃せませんが、今回のベルリン公演にも、97年に世界初演を任された宮田まゆみ氏が出演していました。

今回のベルリン初演の予告篇(動画)をご覧いただき、音楽自体の独自性のみならず、このオペラが“そそのかし”“刺激”することで生まれた独特の演出世界も垣間見ていただけたらと思います。(朗読を担当しているのは、ラッヘンマン自身です。)

動画
(ステージ・デザイン/衣装=Christof Hetzer、振付=Sommer Ulrickson、映像=Martin Eidenberger)

ちなみに『マッチ売りの少女』は、日本では2000年に、東京交響楽団により演奏会形式で初演されています。(そして翌年のパリ初演は、『春の祭典』並みの大ブーイングと称賛の声とが入り混じり、騒然となりました・・・)

そして。
このオペラの上演の合間をぬり、ベルリン・ドイツ・オペラのメンバーから成る弦楽四重奏団によって “ベルリン初演”されたのが、ラッヘンマンの弦楽四重奏曲「グリド」。




(以下、写真は全て http://www.deutscheoperberlin.de/ より)


「グリド」は、4名の弦楽奏者のために書かれた純粋にアコースティックな作品ですが、今回のベルリン公演では、別の音楽作品の断片や電子音響の効果、そして特異な空間演出が織り交ぜられながら、“インスタレーション・コンサート”として特別上演されました。
会場は、ベルリン・ドイツ・オペラの建物“内部”。
楽屋やチューニング・ルーム等、普段は一般の聴衆が立ち入ることのできない場所も演奏場所に含まれ、こうした複数の空間が、ステージ・ディレクターAlexander Charimの手により独特の舞台に変化していきます。







演奏場所により、奏者を取り巻く“音の環境”も変化――弦楽四重奏の響きは、時に沈黙に、時に車などの現実生活のノイズに、そして時に電子音響に包まれます。
そしてこの奏者たちによる“音楽のツアー”を、聴衆が追っていきました。







なお「グリド」は、今秋の東京の「ポリーニ・パースペクティヴ」では、ラッヘンマン自身が“息子たち”と呼び全幅の信頼を寄せる「ジャック弦楽四重奏団」により演奏されます。

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本記事、ならびにこれまで「ポリーニ・パースペクティヴ」に関してご紹介してきたWeb記事は、「ポリーニ・パースペクティヴ2012特設サイト」でまとめてご覧いただけます。
公演情報をまとめてチェックできる便利なサイトですので、ぜひ一度、お立ち寄りください。

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