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2012/03/08 | KAJIMOTO音楽日記

●韓国デビュー10周年!イム・ドンヒョクの記念ツアーを振返る (1) ~公演レビュー!~

今年、母国・韓国での演奏会デビュー&CDデビュー10周年を迎えた気鋭のピアニスト、イム・ドンヒョク。
5月7日に東京・紀尾井ホールで開かれる彼のリサイタルが、日に日に迫っております!!

去る2月、イムは韓国にて、デビュー10周年記念の大ツアーを堂々成功させました。本連載では、このツアーの韓国での好反響を、お伝えしていきたいと思います。

本日は早速、全国紙「東亜日報」に掲載された2月のイムの公演評を、たっぷりとご紹介します。

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イム・ドンヒョクのデビュー10周年ピアノ・リサイタル
~水彩画のごとき音楽世界/内から湧き出る「自然の声」~

パク・ジェソン 音楽コラムニスト


デビューから瞬く間に10年目を迎えたイム・ドンヒョクが、18日、ソウル芸術センターにてリサイタルを開いた。11回にわたる韓国ツアーのうち、4つ目に当たる公演である。(中略)これまで、ピアニストたちが羨望する様々なコンクールを席巻し、無尽蔵の可能性と計り知れない才能を示してきたドンヒョクだが、今回のツアーは彼にとって、自らがアイデンティティを確立したことを世に知らしめたという意味で、重要な岐路だった。
その姿は、彼が神童のイメージを脱却し、成熟が求められる次なるステージに突入したことを明らかにした。今回の公演は、チャイコフスキー・コンクールの入賞者かつモスクワ音楽院の卒業生としてのドンヒョクが、ロシアン・ピアニズムの継承者であることを強く強調し、彼の新たなスタイルを浮かび上がらせるものだった。

冒頭で演奏されたチャイコフスキーの「四季」からすでに、ドンヒョクはその個性をあますところなく発揮し、客席の視線を釘付けにした。なにより、音色の繊細なニュアンス付けと、両手のタイミングの見事なコントロールによって、各主題のイメージが鮮明に映し出されていたのが印象的であった。



イムのヴィジュアルに変化が!


ロシア人ピアニストたちが通常聴かせる典型的なスタイルに加えて、印象主義を連想させる多彩な音響効果をも生み出したドンヒョクは、とりわけ左手のリズムと内声の旋律を新鮮に読み取っていた。そして、リズムとリズムの間で音色の変化と性格の違いを強調するためにペダルを効果的に駆使して、チャイコフスキーの作品がはらむ叙情性をこの上なく増大させていった。"舟歌"ではパステル調の色彩感が広がり、"トロイカ"ではパリジェンヌを連想させる高級感が満ち溢れる。とりわけ"秋の歌"では、奏者の心象を反映しているかのような自嘲的な面と一抹の悔恨が、深い感動をもたらした。「四季」のパノラマのごときストーリー展開と相まって、個々の作品に秘められた内なる自然の声を、感覚的に掴み出したドンヒョクの、稀有な表現力に喝采を送りたい。

後半の中心はラフマニノフで、前奏曲作品23と作品3が披露された。ドンヒョクは、古典的な均衡美とすぐれた響きを新鮮に織り交ぜ、作曲家の叙情性を新しく映し出していく。
直線的な推進力よりも行間の意味に重きが置かれた作品3では、遠近法を思わせる鐘の音の多彩な効果が斬新だった。この日のハイライトであるピアノ・ソナタ第2番では、中・低域の魅惑的な音色と、緻密に計算されたポリリズム(訳注:拍の一致しないリズムが同時に演奏されること)とポリダイナミクス(訳注:左手と右手で異なるダイナミクスのアプローチが展開されること)の効果が目立った。やや極端ではあるが調和をみせる劇的効果も生まれ、ドンヒョクの絶え間ない探究の痕跡を発見することが出来た。ラフマニノフ特有の重量感と、ロシア的なスケールの大きさという固定観念からは抜け出し、一層のロマンと現代的な感受性を楽曲に投影しながら、ロシアン・ピアニズムの新しい可能性を見せてくれたドンヒョク。今後、彼が世界を舞台にいかなる成長を続けていくのか見守っていきたい。

→ 原文


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ラフマニノフは東京のリサイタルでも演奏されます!

■イム・ドンヒョク ピアノ・リサイタル
5月7日(月)19:00 紀尾井ホール
曲目:
ラヴェル: 亡き王女のためのパヴァーヌ
       夜のガスパール
ショパン: マズルカ イ短調 op.17-4
       マズルカ ハ長調 op.56-2
       マズルカ 嬰ハ短調 op.63-3
       ポロネーズ第7番 変イ長調 op.61 「幻想ポロネーズ」
ラフマニノフ: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36 (1931年改訂版)

【チケット】
発売中 ●お申し込み
お問い合わせ&チケット取り扱い:カジモト・イープラス 0570-06-9960


イム・ドンヒョク プロフィール
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