NEWSニュース

2019/02/06 | KAJIMOTO音楽日記

●いよいよ今週来日!クルレンツィス&ムジカエテルナ―― メンバーに聞く


ついに今週末に来日します。世界中で話題沸騰のテオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ。近年、これほど来日が待たれた演奏家たちがいたでしょうか?



実はムジカエテルナのメンバーには、日本人奏者が何人かいます。その一人、ヴァイオリンの田部絢子(たなべ・あやこ)さんに、ムジカエテルナでの音楽作りの様子や、メンバーから見てクルレンツィスってどんな人?・・・など、
色々お聞きしました。

(当インタビューは抜粋です。全文は公演会場で販売するプログラム冊子に掲載いたします)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

田部絢子さんは中学校までは日本にいて公立学校に通い、ヴァイオリンを原田幸一郎さんらに師事していましたが、縁あって卒業後に単身モスクワへ留学。モスクワ中央音楽高校を経て、モスクワ音楽院で学び、近年はモスクワのRussian Conservatory室内管でコンサートマスターを務めながら、4年ほど前からムジカエテルナの活動にも参加しています。


「ムジカエテルナの演奏、リハーサルなど」
ムジカエテルナでは色んな曲をやりました。ザルツブルク音楽祭でのベートーヴェンの交響曲、マーラー《交響曲第4番》、オペラならモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》《皇帝ティトの慈悲》、オッフェンバック《ホフマン物語》、バレエならプロコフィエフ《シンデレラ》《ロメオとジュリエット》・・。
今では皆さんも話を聞いたり、私たちのドキュメンタリーを見て知っていると思いますが、練習はすごい密度で大変です!オペラ録音のセッションは夜中までやったりもします。

リハーサルに関しては、その開始の前に、『初日はどの曲をどこをやる』『2日めはこの部分を重点的に』など、綿密な予定が送られてきます。しかし実際にやってみてから、『やっぱりこの部分に問題があるから、明日はここにしよう』
など、さらに細かくなっていきます。フレキシブルではありますが。
今度日本に行く前は、1月20日頃から1週間かけてチャイコフスキー6曲のリハーサルをし、ペルミとエカテリンブルク、サンクトペテルブルク、モスクワでコンサートをします。ここまで徹底した準備は通常のオーケストラでは考えられないですよね。

ところで古典の作品を演奏するとき、ご存知の通り、ムジカエテルナの弦楽器奏者たちは、弦を通常のスチールからガットに張り替えるんです。最近は中低弦の人では替えない人もいますが。テクニックでなんとかしちゃうんです
ね。ヴァイオリンは音色が大きく変わっちゃうので無理ですけど。それからボウイングも当然違う。私は通常の弓を短めに持って弾きます。ムジカエテルナでは、こうして弾き方が曲目によってあちこち行ったり来たりですから、さすがに近代と古典の曲をひとつのプログラムには組めません。ザルツブルクではオペラ《ティトの慈悲》をやり、数日後にはスチール弦に張り替えてマーラー《巨人》を、でした。翌日に、というのはさすがに難しい。
私自身は、ムジカエテルナと出会う前から色々なスタイルの楽曲を、色々なアンサンブルで経験してきましたし、そういうのが好きで、割と慣れています。

「クルレンツィスのこだわり」
こんな風にムジカエテルナでは、古典の作品をやる際は、弦楽器の弦をガットに、トランペットは古楽仕様のものにしたり、といったことをするわけですが、クルレンツィスは特にモーツァルトやベートーヴェンで音色へのこだわりを持っているようです。『当時の作曲家たちが聴いていた音でやらないとダメだ』とよく言っていますね。そういうこともあって、リハが異様に長く綿密になるわけです。
大体1つの楽章をまず通してみて、それから30分くらい弾き方について説明します。『ここはこういうニュアンスで。この小説の途中はディミヌエンド、最後はクレシェンド、ここはアクセントを・・・』とか。そして、そういう演奏にならないと、何度でも繰り返し練習します。『もう1回やれば絶対よくなる』と信じて。うまくいかないとカーッとなって、ぷいっと帰ってしまうことも(笑)
音楽のエネルギー、プレイヤーたちのエネルギーについてのこだわりもありますね。だから立って弾かせるんです。そのほうがエネルギーが出やすい。私自身はその方がいいです。自由度があるし身体がより使えるし。それに彼は、
『内臓をぶちまけろ!』なんて言い方をよくします。

クルレンツィスはとにかく自分のイメージを完全に音で造型したい人。だから細部から全体まで徹底的にこだわるし、古典で弦を張り替えさせるとか、立って弾くとか、リハの細かさ、長さ、全部そこからのスタートです。でもそんな彼のリハの進め方、それを実現する指揮のテクニック、やっぱり図抜けてますし、だから皆も文句言いながらもついていくんですね(笑)。腕の立つ、そしてそれぞれにこだわりもある奏者ばかりですし。こういうところ、ロシア的かもしれません。
音へのバランス感覚も凄い。『こっちの音は20%、あっちは40%で』など明確なメーターみたいなものがあるのかも。それが細かい指揮で伝わってくるのですが、うまくいかないこともあり、そうなるとそこだけ何度も繰り返し弾かされる、ということに。
“イメージを完全にしたい”といえば、こんなことがありました。本番で、お客さんが静かにしないと、楽章間などに『ケータイ電話切ってください』と自分で言ったりするのですが、マーラー「交響曲第4番」の、あの静かな第3楽章の演奏中、客席でケータイが鳴った時に突如演奏をやめ、『私はこの音楽を演奏するのに一生をかけているのに!』と狂ったようにスピーチしたんです。
(もっともこのとき、メンバーの何人かは、『やばい、俺、なにか失敗したかな』と青ざめたらしいです・笑)

ただそういう完璧主義者でありながら、実際的でもあります。例えば、オーケストラの配置など、この曲はこうじゃなきゃ、というよりは、リハーサルをやってみてアンサンブルのバランスなどによって決める、などということもありますし、教条主義よりも実際主義とでも言いますか。
 

(2018年9月 KAJIMOTO東京オフィスにて 聞き手・文: 編集室)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ムジカエテルナ特設サイトはこちら

2/10Bunkamuraオーチャードホール
2/11すみだトリフォニーホール
2/13サントリーホール
以上の3公演は完売。

2/14フェスティバルホール(大阪)は残券僅少
【チケットのお申し込み】
 

PAGEUP