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2018/10/14 | KAJIMOTO音楽日記

●NDRエルプフィル来日前に ―― 指揮者アラン・ギルバートに聞く (後編)





――今回のプログラムについてお話ください。ブラームスの第4交響曲はロマンティックですが、とても厳しい曲ですね。

まず言っておきたいのは、今回のプログラミングは前任者のトーマス・ヘンゲルブロックが決めたものではありますが、私はこれをこのまま日本に持って行こうと思いました。これらの曲を指揮することを自分自身で選んだのです。

全体として現代の世の中は厳しい。でもそんな中でも希望や光を見出すことができるのが音楽の本質のひとつだと私は考えています。ブラームスの「第4交響曲」もまた仰る通り、深刻、真剣、そして厳しい・・・そうした言葉がまさに合う曲です。しかし悲しみだけではなく、希望もあります。フィナーレはそれこそ心にナイフを突き立てられるような音楽かもしれませんが。ただブラームスの音楽全体を見る時にわかることですが、「幸せ」とか「悲しい」とか、それは白黒はっきりできるものではありません。赤、青、黄・・・はっきりした色ではなく、色んな色、感情がそこに混じり合い、あふれていて、それを見出すことが大事だと私は思っています。



――ブルックナーの「第7交響曲」はとても美しい反面、不安や怖れも感じます。

ブルックナーに限らず、作曲家は皆そうですが、現実にあるものを曲にしているわけではありません。そこには自由と拡がりがあります。この曲で言いますと、最初のチェロとホルンによる第1テーマが悲しいというより幸せ・・・生きていることそのものへの喜び、人間として生まれてきたことに感謝を感じているかのようです。第2楽章はご存知の通り、ここを作曲しているときに尊敬しているワーグナーが亡くなり、その葬送の音楽として書き進めました。とはいえ、結局は生きる喜びを綴っているように私は感じます。ブルックナーは「生きること」を体験し、模索し、探求しているのではないでしょうか。

私がNDRを指揮してブルックナーの演奏を成功させることは、このオーケストラの「質」を問われることに直結すると思っています。偉大な故ギュンター・ヴァントとの伝統もありますし、もちろんこの「第7交響曲」は素晴らしいオーケストラでないといい演奏はできません。だから今回の日本ツアーはぜひとも成功させたいし、楽しみにしているのです。



――先ほど「やりたいことをする」と言っていましたが、その中にオペラの指揮は入りますか?

オペラを指揮することはもちろん大好き! ただ、この10年くらいはニューヨーク・フィルでの演奏会形式上演以外、あまり振る機会がなく残念でした。でも先日、ストックホルムでR.シュトラウスの《ばらの騎士》を指揮したり、来シーズンにはドレスデンのゼンパーオーパー、そしてミラノ・スカラ座(コルンゴルト《死の都》を予定)に出演しますし、NDRではリゲティの「グラン・マカーブル」を振る計画もあります。将来的にはどこかのオペラ・ハウスの音楽監督になってみたいですね!これも将来のヴィジョンの一つです。


(2018年7月 東京にて  取材・文: 編集室)


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