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2016/10/12 | KAJIMOTO音楽日記

●祝!バンベルク響創立70年・来日を前に(5) ―― バンベルク響をめぐる会話 Vol.3


ところでこの会話を連載しているうちに、ここでのネタ――ユニバーサル ミュージックから発売されているバンベルク響70周年記念BOX・CDの期間限定セールが行われています。
演奏会を聴いていただくとともに、ぜひこんな機会にご購入してみてはいかがでしょうか?

さて、3人の会話は続きます・・・。

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C子: ところで今回の来日公演を指揮する、肝心のブロムシュテットの話が出てきてないじゃない。

B男: ブラームスの第4交響曲(1995)。僕は実にムダのない、この締まった演奏が好きだな。

A: そう。このBOX・CDの中でブロムシュテットが振っているのはこの曲だけなのだけど、今から20年あまり前のこの演奏、なんというかね、そうなんだよ、Bくんの言う通り良いのだけど、今の・・・少なくとも2012年の来日公演で聴いたブロムシュテット&バンベルク響とはだいぶ印象が違うというか。

B: どんな風に?

A: 「締まってる」と言ったよね。もちろんそうなんだけど、2012年の実演では、それを超えて、かたち、スタイルは引き締まってるけどすごく響きが豊かで、豪壮で、エネルギーが充ち満ちていて。ベートーヴェン「英雄」でもブルックナー「ロマンティック」でもね。それこそ今まで繰り返し話にのぼった、感興わきあがる「ボヘミア風」が全開になっていた感じがするね。
N響を指揮するときの「楷書」的に比べて、「草書」的と言っていいかもしれない。

C: 草書・・・

B: なるほど・・・

A: 話が飛ぶけど、2000年にジョナサン・ノットが音楽監督になると、やはりバンベルク響も様子が変わるよね。今や東京交響楽団の音楽監督としての方が話題だけど。



C: うん、私はその空気の変わり方、すごく思いました。

B: 今のベルリン・フィルのようなモダン路線的な。

A: そこまで思った?私はそこまでは思わないけど・・・。
ただ、これは“時代”という空気の移り変わりもあるし、団員さんたちの求めるものもあるんだろうねえ。
もっともここは「伝統の音と音楽を守ろう」というのと、「もっと未来の音を目指して変わっていこう」というメンバーと、色々いたみたい。話によれば。

C: でもまあ、やってみたわけですよね、とりあえず。私は面白いバランスだと思った。元々あった豊かで自然な音を用いながら、今までにないクリスタルで精密な演奏をするなんて。

A: マーラーの「第1交響曲」(2006)なんてまさにそんな演奏だよね。緻密で色彩的なオーケストレーションが耳に全部クリアに入ってきて、それでいて第1楽章の若者のはずむようなテーマとか、第2楽章の闊達なスケルツォとか、第3楽章中間部の「目の前にリンデの木が見えてきた」ってところの優しさとか、そういう音楽の中身もちゃんと聴こえる。まあ、こういったバランスがノット以前にはなかった感覚だから、長年のファンには戸惑いを与えたりするわけだけど。

B: 僕は、ノット指揮ではストラヴィンスキーの「春の祭典」(2006)もすごいと思った。基本的に、こうなるとバンベルク響って上手いとしか言いようがないっスよね。僕はドイツでいったら、バイエルン放送響よりちょっと落ちるかな、と勝手に思っていたけど、この精密さにこのダイナミズム!「春祭」ってこんな自然にスウィングする曲だったっけ?

C: それなのに、冒頭のファゴット・ソロがとっても柔らかく優しい風情だったりするの。とっても独特。すごく楽しかった。

A: 2人とも結構惹かれてるね。すっかりバンベルク響のファンじゃない。
ノット&このオーケストラの「ここまできたか」という、明澄・緻密、詩的で華麗な演奏、といったら、私はR.シュトラウスの「4つの最後の歌」(2014)をあげたいな。このコンビも最終段階、という時期の演奏で、今ソプラノの中でももっとも光ってる一人、ゲニア・キューマイヤーが歌ってる。

C: これ、陶酔にとろけているのだか、鮮明さに目覚めさせられているのだか、聴いていて自分でもわからなくなるような素晴らしさですよね。

B: どこかはるか彼方へとけこんでいきそうな甘さ・・・。

A: いや、バンベルク響を昔から聴いている私としても、随分な彼方へ来たなと思うよ。これはさ、逆説的だけど、元々の「伝統の音」という土台があって来れた場所であって、何もないところからは新しいものなんて育たない。

B&C: (ありゃ、厳しい)

A: ブロムシュテットが指揮するとき・・・面白いよね・・・そういう「土台」が立ち現れるんだよ。



そう、一つ忘れていたのだけど、この中に、かの巨匠ギュンター・ヴァントが振ったブルックナーの「第9交響曲」(1995)があるんだよね。聴いたでしょう?ヴァント流の厳しく、至高の芸術の域にまで技を高めた職人が作るブルックナーの音楽から、彼のオーケストラだったハンブルク北ドイツ放送響(現・NDRエルプフィルハーモニー管)や、またベルリン・フィルとの演奏時とは違う、隅々から何かヒューマンなぬくもりのようなものが滲み出るのを。本当にルーツからずっと一貫したオーケストラだと思うんだ、バンベルク響は。


(終)


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