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2015/10/06 | KAJIMOTO音楽日記

●すごいな!ベルリン・ドイツ響 ―― 名オーケストラを巡る座談会Vol.2《実演編》

話は変わりますが、昨日でロンドン交響楽団の日本公演は最終。
ハイティンク指揮の純正クラシック音楽公演も、
日本が誇るゲーム「ファイナル・ファンタジー」の音楽による「ファイナル・シンフォニーII」公演も、
ロンドン響は、それぞれに違った方向性へのクォリティを最高に鮮明なかたちで打ち出し、
見事な演奏を聴かせてくれました。なんたるオーケストラ芸術の奥深さ。

さて本題に戻り、ベルリン・ドイツ響を巡る座談会第2回めをお送りしましょう。
今回は《実演編》。
座談会出席者による、過去、この楽団を実演で聴いての感動体験を持ち寄りました。
最後に思いもよらぬ(??)発言が飛び出しますよ。

お楽しみに!

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柴田(以下:柴):
ここからは生演奏について。初来日は1973年マゼールの指揮で、コンサートマスターの豊田耕児さん等がソリストを務めています。

満津岡(以下:満):
これは聴いていませんが、1970年代は豊田耕児さんがコンマスをやっていたので、わりと日本では親しまれていたイメージがありますよね。


次は1980年、エーリッヒ・ラインスドルフの指揮で来日しています。




これは聴きました。このときヴェーベルンの「パッサカリア」の生演奏を初めて聴いたのですが、良かったですよ。20世紀音楽に親和性のあるRSOも、ラインスドルフが振るとやはり響きはドイツのオケだなと感じました。最後のブラームスの交響曲第4番も終楽章がパッサカリアですから、プログラム的にもよく考えられていて、いい演奏だった記憶があります。

:1989年にはエリアフ・インバルの指揮で来日していますが、私はこのとき初めて実演を聴きました。




ブルックナーの交響曲第3番の第1稿の日本初演があって、これは行きましたね。このときも当時知られていたインバルとフランクフルト放送響の録音に比べて、音が重いドイツ的な感じがしました。《トリスタンとイゾルデ》の「前奏曲と愛の死」とブルックナーの3番を休憩なしで続けたのも鮮烈でしたし、すごく引き込まれた、印象深い演奏会のひとつですね。


私はマーラーの交響曲第7番「夜の歌」。指揮者の要求を十全に反映しながら、隅々まできちんと演奏するオケだなといった印象を受けました。RSOは、当時のドイツの放送オケの中でもかなり技術力が高かったのではないでしょうか。

石川(以下:石):
次のアシュケナージ指揮の来日公演については、当時招聘元に所属されていた柴田さんから。




アシュケナージの時代には、1990年代に3回来日していますが、オーケストラが指揮者の良い面だけを高度な技術力で表現してくれるので、彼が力を最も発揮できたと思います。特に1991年のショスタコーヴィチの交響曲第10番は、今まで聴いた同曲の生演奏の中でもベストといえるほどインパクトがありました。

石:
DSOが指揮者の「良い面だけを反映できる」というのは、非常にいい話ですね。


ドイツの放送オーケストラは、よく「放送に対応する技術力とドイツの重厚な響きを両立させる」と形容されますが、彼らは特にそれが言えると思いますし、作品にも指揮者にも100の力で応えてくれる。アシュケナージの時代には、それを特に痛感しました。

石:
ケント・ナガノの時代には、就任前年の1999年から弊社で3回招聘しています。




彼は、玄人向き、聴き込んでいる人向きという感じがしますね。その曲がよくわかってる人にとっては、凄く面白い指揮者。私が聴いたマーラーの交響曲第3番などもそうでした。

石:
先ほどピリオド(古楽)演奏の話が出ましたが、DSOがベートーヴェン「第九」をやったときは、ケントもピリオド奏法を把握し、オケもそれに対応しているのが凄いと感じました。


メッツマッハーのもとでは、2009年に一度来日しています。

石:
ブラームスの交響曲第4番の終楽章のパッサカリアを聴いて、現代音楽に造詣が深い人らしく、きちっと分析の行き届いた演奏をするなと思いましたね。


メッツマッハーのときもドイツ的な響きは感じましたか?


やはり感じましたね。まあ彼は分析的でいながらアンサンブルの縦線を揃えることに拘らない不思議な指揮者なので、オケのゴリゴリとした熱っぽい部分が出ていました。


私はその後2011年の佐渡裕との日本ツアーで、チャイコフスキーの交響曲第5番等を聴いていますが、このときも佐渡さんのテンションの高さやドライブ感を、ドイツの響きで表現していました。それからこのコンビでは、2014年録音の「運命/未完成」のCDも、ドイツ的な音と佐渡さんらしい溌剌さを両立させています。

石:
今日の総括のような話ですね。

:指揮者の長所だけを音にする、本当にプロフェッショナルなオケ。これはもっと評価されていいと思います。

:いわばドイツのロンドン交響楽団(笑)。

:なるほど!とにかくこのオケは「ハイレベルのスタンダード」を聴かせてくれます。


(続く)

構成・文: 柴田 克彦


<ベルリン・ドイツ交響楽団 公演情報>
2015年11月3日(火・祝) 14:00開演 サントリーホール
指揮: トゥガン・ソヒエフ
ピアノ: ユリアンナ・アヴデーエワ

メンデルスゾーン: 序曲「フィンガルの洞窟」 op.26
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
ブラームス: 交響曲第1番 ハ短調 op.68

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