NEWSニュース

2018/06/07 | KAJIMOTO音楽日記

●フルシャ&バンベルク響、来日を前にVol.5 ―― 共演のユリアンナ・アヴデーエワ、ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」について語る


ヤクブ・フルシャ指揮バンベルク交響楽団の来日公演まで、あと3週間ほど。
6/26(火)のサントリーホール公演他で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番を弾くソリストのユリアンナ・アヴデーエワが、この曲について語ってくれました。



彼女ならではの、思索と直感のバランスから出る言葉をぜひ。

~~~~~~~~~~~~~~~

―― ブラームスのピアノ協奏曲は、女性はもちろん、体格に勝る男性にとってもフィジカルな点で難曲です。ユリアンナさんはこの「第1番」を弾くために、特別なトレーニングが必要でしたか?

私にとって、ブラームスのこのニ短調の協奏曲はピアノ音楽の傑作中の傑作です。この曲を練習していると、言わば「取りつかれた」ようになるのですが、その理由はまさに、ブラームスの音楽表現がもつパワーと美にあります。この協奏曲の演奏中に、作曲者ブラームスの意図を追体験し感じようとする場合には、極めて特殊な精神状態が求められます。言い換えれば、この曲と向き合う私にとって、肉体的なパワーはさほど重要ではありません。なぜなら、自分がどのような表現を求めているのかを正確に把握しさえすれば、以後に私がなすべきことは、ピアノを通じてそれを伝えるだけだからです。

―― 第2番と違って、作曲者若き日の「第1」についてお話ください。

ヨハネス・ブラームスは、1853年にロベルト&クララ・シューマン夫妻を訪ね、二人のあたたかいサポートに勇気づけられました。しかしブラームスは、夫妻から得た高い評価に元気づけられる一方で、聴衆の期待を裏切らない音楽を創らなければならないという大きなプレッシャーを抱えてもいました。これこそ、ブラームスがニ短調のピアノ協奏曲の作曲に数年を費やした理由の一つです。同曲がようやくハノーファーで初演されたのは1859年のことでした。1854年のロベルト・シューマンの自殺未遂に衝撃を受けたブラームスは、自らの心を激しく揺さぶったこの深刻な出来事を音楽で表現するすべを追求しました。その最初の試みが《2台ピアノのためのソナタ》でしたが、彼はこの作品に満足することができず、4楽章形式の交響曲に改作します。しかし彼はこの交響曲にも、物足りなさを感じることになります。そして最終的にこの試みは、ピアノ協奏曲に結実しました。ピアノとオーケストラがほぼ対等な役割を担いながら、不可分な関係性の中で互いを補完し合う大規模な協奏曲が完成したのです。第1楽章の冒頭では早くも、彼に衝撃を与えた「惨事」が表現されており、第2楽章(ちなみに《2台ピアノのためのソナタ》の草稿で第2楽章に配されていたサラバンドは、結局《ドイツ・レクイエム》の第2楽章に転用されました)は美しく夢想的なアダージョです(手稿譜にはラテン語で「ほむべきかな、主の名によりて来たる者」と書き添えられています。)そしてエネルギッシュなロンドである終楽章には、精神を高揚させるようなニ長調のコーダが付されています。もちろん、ここに私が述べた作品の背景は、演奏者にとって「道しるべ」の一つにすぎませんが、ブラームスがこの名曲を作曲した際に考えていたことを理解する助けともなります。


―― 今回の共演者たちについて、ぜひ!

5月に、マエストロ・フルシャの指揮でバンベルク響とブラームスの協奏曲第1番を共演しました。本当にエキサイティングでした!バンベルク響は、他に類を見ない独特なサウンドを誇ります。そしてそれは─お世辞ではなく本心です─私が想像する理想的な「ブラームスのサウンド」なのです!10年ほど前に初めてバンベルク響の演奏を聴いて以来、私はこのオーケストラがもつ気質に魅了され続けてきました。幸運にも、近年には東京のサントリーホールで、彼らがマエストロ・ブロムシュテットの指揮でベートーヴェンの交響曲第5番を演奏するのを聴きました。忘れがたいコンサートとして私の記憶に刻まれています。

マエストロ・フルシャと出会い、一緒に演奏できたことは素晴らしい経験でした。音楽作りに関して豊富な霊感を授けていただきました。日本でのコンサートでまたご一緒できることが今から楽しみでなりません!



―― 「第2」の方は、もう弾かれているのですか?

ブラームスのピアノ協奏曲第2番は私にとって、次に登るべき「エベレスト山」の一つです。近いうちに挑戦を始める予定です!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(ユリアンナ・アブデーエワが共演するバンベルク交響楽団公演)

6月26日(火)19時 サントリーホール
ブラームス: ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 op. 15
ドヴォルザーク: 交響曲第9番 ホ短調 op. 95 「新世界から」

【チケットのお申込みはこちらまで】
 

PAGEUP