上半期シーズンが真っ盛りの中、秋シーズンの演奏会の発売に関してこうして書くのはやや気が引ける・・・のですが、一方、先をぜひ楽しみにしていただき、早めに良い席をおとりいただければ、と思っております。
というわけで、2010年のショパン国際コンクールにおいて、アルゲリッチ以来45年ぶりという女性優勝者となった
ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタルのカジモト・イープラス会員限定先受付が始まります!
[ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル]
11月14日(金)19時 東京オペラシティ コンサートホール
カジモト・イープラス会員限定先行受付 ●お申し込み5月10日(土)12時 ~ 5月14日(水)18時
一般発売 ●お申し込み5月24日(土)10時~

アヴデーエワは1985年モスクワ生まれ。上述のように2010年10月にショパン・コンクールで優勝しました。その直後の12月にデュトワ指揮N響とショパンのピアノ協奏曲第1番を、そして東京オペラシティではオール・ショパンのリサイタルを開きました。
しかし翌
2011年のリサイタル・ツアー(全国12公演)では早くも
ショパンから離れたプロを披露しています。(ショパンは1曲のみ)
そのプロは・・・
ショパン: 舟歌
ラヴェル: ソナチネ
プロコフィエフ: ピアノ・ソナタ第2番
リスト: 悲しみのゴンドラⅡ/灰色の雲/調性のないバガテル/ハンガリー狂詩曲第17番
ワーグナー(リスト編): オペラ《タンホイザー》序曲
というもの。やはりショパン・コンクールというと、いつまでも「ショパン弾き」のレッテルを貼られてしまい、これからのキャリアの中で身動きがとれなくなることを避けておきたい、ということと、
何しろ勤勉で勉強熱心な彼女、とにかく様々なレパートリーを学び、自分のものにして深めていきたい、ということなのですね。(その過程で、むしろショパンの演奏にも
成果がフィードバックされるはずだ、と言っていました)
さて、その演奏、ショパン・コンクール時、あるいは同年の東京のリサイタルで、例えば「スケルツォ第4番」での
並はずれて精密な音やリズムの扱いとスケールの大きさの両立、また「ノクターン」などでの
静かな詩的情緒の発露など、20代半ばとは思えない成熟度でしたが、翌年のツアー ―― たった1年後 ―― では、その精密さは、ラヴェル「ソナチネ」やプロコフィエフのソナタで驚くべき高さに達していたのには息を飲んだものです。
音楽における
最高の美、最高の完成度へのストイックな飽くなき追究。
ワーグナー=リストの「タンホイザー」序曲など、こういうものをピアノで聴いて面白いのか?などという疑念は実際の演奏によって見事に吹っ飛ばされました。もう少々自由に遊んでもいいんじゃないかな?と思うところもなくはなかったのですが、こういうレパートリーを弾いてのけるヴィルトゥオージティといい、先に触れた精密緻密な音づくりといい、圧倒的なものがありました。
それから忘れてはいけないのは、昨年4月に行われたフランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラとの日本ツアーです。
アヴデーエワは、古楽の歴史に名を轟かすこの巨匠&名オーケストラと、ヒストリカル・ピアノを弾いて
ショパンの協奏曲2曲を1晩で演奏したのです。
もちろんフォルテ・ピアノやこうしたヒストリカルな――現代のピアノとは音色もアクションも奏法も違う――ピアノは一朝一夕で弾けるものではありません。古楽の専門演奏家もかくや、という見事な、そしてショパンの
香気を漂わせた演奏は大変に話題になりました。
***
ところで今回のプログラムは、一転して(?)
モーツァルトとリスト、ショパン。
モーツァルトを本当の意味で弾くのは難しい(技術的なことではなく)というのは、皆さまもご存じの通り。
そしてショパンの「24の前奏曲」もまた、ショパンの最高傑作のひとつであり、1曲1曲に多面的な、彼の人生の屈折や葛藤など複雑なエモーションを、切り縮めた音たちにのせていく、というのは実は選ばれし優れた音楽家にしかできないことです。
そしてリストの「ダンテを読んで」やオペラのトランスクリプションは、もちろん最高難易度の超絶技巧と共に、文学的哲学的な理解をもって弾かなければ、ただの騒がしい音の群れ、で終わってしまいます。
つまり
この一夜には、本物の「音楽」が要求されるのです。それだけにアブデーエワには「
きっと最高のかたちでやってくれる!」という期待をもって臨めそうです。
ぜひ楽しみにしていて下さい。
■チケットのお申込みはこちらまで
カジモト・イープラス会員限定先行受付 ●お申し込み5月10日(土)12時 ~ 5月14日(水)18時
一般発売 ●お申し込み5月24日(土)10時~
→
ユリアンナ・アヴデーエワ プロフィール