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2019/10/18 | KAJIMOTO音楽日記

●(再掲)華麗なるフィラデルフィア管のヒストリーを語る その1「ストコフスキー編」


まもなく来日する、ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団。
「伝統ある名楽団」「華麗なるフィラデルフィア・サウンド」と言ったって、昔なんて知らないからなあ、という方も多いハズ。(最近はCDを入手するのも苦労する世の中ですし)
現に弊社の若いスタッフだって、「今」しか知らない者もいるのです。そこで、編集担当のAは、若手のB男とC子とおさらいのつもりでフィラデルフィア管の歴史について色々お喋りしようと・・・

***

: まずアメリカのオーケストラで一番創設の古い楽団を知ってる?

B男: 知ってます。ニューヨーク・フィルですよね?確かウィーン・フィルと同じで1842年。

: 正解~。じゃ、次に古いのは?

C子: そのあたりがフィラデルフィア管なんじゃ?

: ブブーッ。ボストン響が1881年、シカゴ響が1891年で、フィラデルフィア管は1900年。案外新しいんだ。

: そうなんですね。でも新しいったってもう創設から119年よ・・・。結成当時から今みたいな「華麗なる~」な音だったんですか?

: まさか。どんなオーケストラだって、腕利きさえそろえればいきなり上手いオケ一丁上がり、なんてことはないよ。お酒や味噌のように長い期間の熟成が必要だ。
最初はね、初代音楽監督でもあったフリッツ・シェールって人が、彼のコネで故国ドイツから主なメンバーを集めた。だから当初はヨーロッパ風サウンドだっただろうことは想像できるね。

B: なるほど・・・。ではいつくらいから今みたいな豊潤な音に?

: あわてるな。だから「ローマは一日にして成らず」でしょうが。どうして今の若いモンはそう結果を急ぐかねえ・・・あ、オッサンくさいことを言ってしまった。

B: 次の音楽監督が有名なレオポルド・ストコフスキーですよね。

A: そう、銀髪でカッコよかったストコフスキー。フィラデルフィア管の改革はまずは彼が起点だ。やっぱり「打倒ニューヨーク・フィル」って意識があったらしいよ。



ストコフスキーが主として行ったことは2つ。1つはより良いサウンドの確立だ。
ところで今のオーケストラの楽器配置って、弦楽は主に左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスでしょう? 近年はこれに対して第1、第2Vnを両翼に、その間に左からCb、Vc、Vaを置く「対向配置」というのが流行ってきているけど、実際の流れは逆で、昔は対向配置だったところ、その上でストコフスキーが先に言った配置を試してみたんだね。左から右へと低い音域の楽器になっていく・・・つまりピアノやオルガンの構造と一緒だよ。こうしてみると、とても豊かなサウンドを得られることがわかった。

: へぇー。私もアマオケやっているんですけど、自分たちがやっている配置ってストコフスキー作・・・。

: そうなんだよ。もっともそこへ辿り着くには随分試行錯誤したらしいよ。かなり珍妙なポジションの写真を見たことがある。



B: あとはどんな?

: さっき、当初はドイツ人を集めて結成、って言ったけど、そこにフランス系のプレイヤーを加えたり、もちろん地元アメリカ人を加えたり、そうして少しずつ音のバラエティやフレキシビリティを増していったそうだ。

B: 当時の色んな作曲家の曲を初演した、なんていうのもその一環では?

: お、鋭い。俺もそうだと思うな。R.シュトラウス、シベリウス、ストラヴィンスキー、シェーンベルク、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ・・・、マーラーの「第8交響曲」の初演はフィラデルフィア管だったし、ラフマニノフはフィラデルフィアに住んでいて、ピアニストとしてもよく共演したし、彼の「交響的舞曲」はこのオケのために書いてる。

: フィラデルフィア管、みるみる幅が広がりましたね。

: 「幅」って言ったら、あとは映画だね。なんといってもディズニーの「ファンタジア」!

B・: あ!そうでしたね。

: あれでフィラデルフィア管を初めて聴いたって人も多いんじゃないかな?この作品だけでなく、結構色んな映画で音楽を担当している。大衆にアピールするには映画はもってこいだった、ってこともあるよな。

そんなわけで、ストコフスキーはこのオーケストラの音楽監督を25年務めて1950年代には、フィラデルフィア管はニューヨーク・フィル、ボストン響に並ぶ全米トップ3のひとつの地位を不動のものにしたんだ。

(続)



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