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2017/07/01 | KAJIMOTO音楽日記

●レナード・スラットキン指揮デトロイト交響楽団、来日間近!(2)―― 演奏曲目のこと


今回コンビとしては初来日―― デトロイト響自体も1998年以来、まだ2度め――をするレナード・スラットキン指揮デトロイト交響楽団。前回掲載したスラットキンのインタビューにもありましたが、今回は故国アメリカの音楽とともに、彼らの「愛する」作品ばかりを採り上げます。
これらの曲の聴きどころや魅力について、弊社編集室なりに、いくつか触れてみましょう。




バーンスタイン: 「キャンディード」序曲

アメリカきっての有名音楽家、バーンスタインの陽性の面が現れたわき立つようなこの序曲は、肩がこらず楽しいことウケアイなのと、バーンスタインが指揮者ならでは、「オーケストレーション」を熟知した曲であるなあ、といつも感心します。
ハリウッド映画的ロマンティシズム・・・とでも言いたくなるような陶酔的な瞬間も多々。
(ちなみに、人気TVバラエティ番組「世界の果てまでイッテQ」でタレントのデヴィ夫人が登場する時に、この序曲の一部分がオペラ仕立てで流されます・笑)


シンディ・マクテイ: 「ダブルプレー」

シンディさんはマエストロ・スラットキンの奥様。この曲は近年の作ですが、以前当ブログで「野球にちなみ・・・」と書いてしまったのですが、それは名前だけでした。ごめんなさい。
2つの楽章から成っており、さらに2つの要素・・・調性と無調とか、平穏と熱狂といった対照的な要素を共存させたり補足しあったりする音楽的構造で、これはかのチャールズ・アイヴズを意識し、なおかつ彼の代表曲「答えのない質問」からの引用もあるとのこと。(第1楽章のタイトルが「質問のない答え」だったりします(!?)
アイヴズの楽曲がそうであるように、現代曲ではありますが、響きはそんなに複雑ではなく(耳が痛いということはないです)、むしろシンプルといってもいいのかも。


ガーシュウィン: ラプソディ・イン・ブルー

初期のジャズの愉しさとクラシックの融合といったら良いのでしょうか?「あ。あれね」という超有名曲ですが、今回注目するのは世界的ジャズ・ピアニストである我らが小曽根真ならでは、オーケストラとのコール&レスポンスや、ピアノ・ソロ部分での即興。
ニューヨーク・フィルとの共演のときもかなり刺激的で、客席もエキサイトしましたから(オーケストラのミュージシャンたちがアメリカ人ならなおさら!)、今回も楽しみです。




コルンゴルト: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調

コルンゴルトって誰?と思う人もいると思うのです。
この曲は国際音楽祭NIPPON・・・7/19の東京オペラシティで演奏されるだけなのですが、ぜひその機会に聴いてほしい一曲です。なぜならカッコいいから。ジョン・ウィリアムズの映画音楽がクラシックになった?といったような。
「J.ウィリアムズのような」ではなく、逆にウィリアムズや現代のハリウッドの作曲家の多くが確実にコルンゴルトの影響を受けている、あるいはそのDNAを引いているからなのですが。
この人はチェコ生まれ。ウィーンで神童作曲家としてマーラーやRシュトラウスにも認められ、20代で「死の都」というとてつもなく魅力的(で退廃的)なオペラを書いた人で、時代というか、ハリウッドの映画界にその才能を乞われたことと、宗教的な理由からアメリカに亡命し、コルンゴルトの天才はますます(面白いかたちで)花開きます。
で、このヴァイオリン協奏曲も彼が手掛けたいくつかの映画の素材を使って綿密に構成していたりするものですから、それは素晴らしく鮮やかな音楽になっています。
ヴァイオリンは諏訪内晶子、オーケストラはアメリカの、そして両親ともどもハリウッドに出入りしていた名匠スラットキンが指揮となれば、このヴァイオリン協奏曲を輝かせる要素がすべて揃った!と言えるのでは?




武満徹: 「遠い呼び声の彼方へ!」

先のコルンゴルトの協奏曲と対照的に、軟体的流動的、ヴァイオリンの音の流れとオーケストラの流れが離れたり合流したり、この武満らしい瞑想的な音楽をアメリカン・オーケストラで聴くとどんな感じに響くのだろう?というのは興味深いところです。
そこでひとつ注目なのは、やはりスラットキンの指揮で、マエストロは武満の「系図-ファミリートゥリー」をニューヨーク・フィルと世界初演したり(昨年N響とも演奏)、彼の曲の実にたくさんを演奏していて、それは日本の指揮者たちとは感覚の違う、「明確」であいまいさのない音像を作るのですが、知的な諏訪内ともども少し違った角度で作品に光を当てることで、新しい“何か”が見えてくるかも。それはとても楽しいことでは?


ほか、バーバー:「弦楽アダージョ」を、近年ではアメリカのオーケストラで聴ける機会は意外にない、ということと、弊社の主催公演の中にはないのですがコープランド:「交響曲第3番」という、名高い大作も、同じ理由で楽しみですよね。

そしてチャイコフスキー:「交響曲第4番」だけ、いきなりロシアの作品じゃないですか!?と言われるかもしれませんが、実はスラットキンの得意レパートリーなのです。1990年代に一度、当時彼が音楽監督を務めていたセントルイス交響楽団との来日公演でこの曲を聴いたことがあります。スラットキンの出自がロシア系・・・ということももちろんあるのでしょうが、この曲の幻想風味や厳しいドラマに対しても、豊かで鮮明なオーケストレーションに対しても、色々なことに対して実にバランスよく必要十分な手ごたえがあって、そても良き時を過ごすことができた!という感覚だったことをよく覚えています。マエストロ自身も実際この曲が大好き、と公言しているとのことで、再びあのような演奏が聴けるのかな、ととても期待しています。



■チケットのお申込みはこちらから

7月16日(日) 14:00 ザ・シンフォニーホール(大阪)
7月19日(水) 19:00 東京オペラシティ コンサートホール


7月17日(月・祝) 15:00 文京シビックホール
 

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