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2016/11/15 | KAJIMOTO音楽日記

●ハーディング&パリ管の来日直前!―― 過去のパリ管名録音を振り返って


新音楽監督ダニエル・ハーディング&パリ管弦楽団は現在韓国ツアー中。いよいよ明後日に来日です!

その前に、ぐっと時代を遡り、パリ管が1967年に創設されてから様々な音楽監督のもとで録音された演奏を振り返ってみました。
(編集担当者のCD棚にあったものから、これ!と思えるものを5枚取り出してみました)

ファン歴の長い方も、今度初めてパリ管を聴く方も、こんなのがあったんだなー、と思っていただければ。





*シャルル・ミュンシュ指揮 ベルリオーズ「幻想交響曲」(1967年録音)

パリ管創設期…まさに創設記念公演と合わせて録音されたもので、パリ音楽院管弦楽団の誇る管楽器のカラフルさが目立ち、調和よりもスタンドプレー、といった傾向がそれこそ色濃く残っています。
そして、練習嫌いで、瞬間の即興や気持ちの燃焼に重きをおいたミュンシュの指揮らしく、正直全体のアンサンブルは雑だったりしますが、第1楽章や第4楽章の激しい部分での盛り上がりはそれこそモニュメンタル。一方で第3楽章の静寂は印象深い。エキセントリックなまでに極端なところがまさにベルリオーズの面目躍如、といった演奏で、これはパリ管でしか有り得ない演奏ではないでしょうか。


*ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 フランク「交響曲ニ短調」(1969年録音)

最近でこそあまり言われませんが、この曲もパリ管の十八番。フランス=ベルギーの最重要交響曲です。
カラヤンの音楽監督時代はわずか2年ほどでしたが、彼が指揮するパリ管は、ベルリン・フィルのような厚みある滑らかなサウンドとともに、ベルリンではこうはならないだろう、と思われる色合いを発散しているのがやはりこのオーケストラ。ミュンシュの「幻想」と同じく、管楽器が弦楽器群の上に花束のように散りばめられるのが何とも華やか。そして微細な、そっと柔らかく愛撫するような感触の響きやニュアンスが出てくるのが、カラヤンの類稀な能力に応えるパリ管のこれまた無二の能力、と心震えます。ワーグナーやブルックナーをもレパートリーにする国際的なオケに!という当時の創設野望が、これなら達成するだろうと思える演奏。


*ダニエル・バレンボイム指揮 ドビュッシー「フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード」ほか合唱曲集(1979年録音)

カラヤン指揮のフランクから10年が経過し、華やかにしてますます厚みのあるサウンドとなったパリ管がバレンボイム と作ったドビュッシーの一連の録音のひとつで、声楽、合唱と管弦楽のための作品集です。
パリ管のために、名合唱指揮者オールダムのもと、肝いりで併設されたパリ管合唱団とともに、厚みはあっても軽さ…空を漂う羽のように軽い、夢幻的な瞬間の数々を達成した演奏です。これはドビュッシー以外なにものでもない響き。
当時、バレンボイムによってパリ管は重々しくなってしまったと揶揄されながらも、これはやはりフランスのオーケストラでしかなし得ないサウンドだと、感服しきりです。


*セミヨン・ビシュコフ指揮 デュティユー「交響曲第2番」「メタボール」(1992年録音)

ロシア出身のビシュコフがパリ管音楽監督に就任した時は、ファンの方々もなんとなく不安になったものですが、このコンビで初めて来日したときのベルリオーズ「ファウストの劫罰」はインパクト絶大で忘れがたいものがありました。パリ管のもつ、また違った一面…パリの人々(プレイヤー)の逞しいダイナミズム というべきものがパリ管特有の色彩感と結び付いて炸裂したような演奏で、聴き手は雷に打たれたように聴き入ったものです。
この録音はそれとほぼ同時期くらいに、デュティユーという、フランス現代音楽を代表する作曲家(亡くなったのはまだ数年前)管弦楽曲集。精緻な音の構造やリズムを、的確なニュアンスと音色でピタリと決めるパリ管のアンサンブルに快哉を送りたくなります。アメリカの腕自慢のオケがもつメカニカルな精緻さとは一線を画す魅惑的なキマリ方。
これもその後の来日公演でも聴いたが、パリ管への見方が変わった演奏でした。


*パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ビゼー「交響曲 ハ長調」ほか (2009年録音)

前のものから20年近く。(その間にはエッシェンバッハやドホナーニとの録音も少しくらいあったはずなのですが、入手できず)
ビシュコフ指揮によるデュティユーでの妙技とはまた別の次元で、(もしかすると、穿った見方ですがエッシェンバッハ時代に乱れが生じた)アンサンブルの根本から手を入れ、相当なトレーニングに邁進したのだろう、と思えるような、強靭で精確、そして活気のみなぎる演奏です。そもそもビゼーの音楽そのものが生命感に満ち満ちたものですが、それが倍増。スピーカーの前でパリ管の音が生き生きと踊り出すような、身体的にすこぶる快い演奏。
また、パリ管に新しい時代が到来したことを実感する一枚でした。


・・・さて、ハーディングの時代やいかに?楽しみですね。


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