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2016/06/13 | KAJIMOTO音楽日記

●破壊神と創造神と ―― イーヴォ・ポゴレリッチ、12月に来日!先行受付、始まります。


[イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル]
12月10日(土)19時 サントリーホール

カジモト・イープラス会員限定先行受付  ●お申し込み
6月16日(木)12時 ~ 19日(日)18時
一般発売  ●お申し込み
6月26日(日)10時~




「破壊」なんて書いてしまうと、おだやかではないなぁ・・・と思われてしまうかも。
しかしながら(特に宗教などでは)「破壊」と「創造」は対のものであって、前者がなければ後者もない、ということはよく言われるところです。

イーヴォ・ポゴレリッチのピアノを聴いて、そんなことを思うのは私だけではないハズ。

まず、彼の演奏を初めて聴く方はこう思いますよね。「なんだこれは?今まで聴いてきたこの曲の演奏と全然違うじゃないか」と。もし「標準」というものがあるとすれば、確かにそこからはかけ離れています。だから1980年のショパン・コンクールではポゴレリッチを認めない審査員が何人かいて、彼は落選したのです。しかし一方で、この「標準ではない」演奏の中にただならぬ天才を感じ取った人たちもいました。これらの反対派たちの考えに怒って帰国してしまった、かのマルタ・アルゲリッチもその一人。彼女も審査員の一人でした。
「天才は天才を知る」

今でもお客さま方は概ね、このショパン・コンクールの時のように賛否わかれます(よね?)。
大雑把に言ってしまえば、それはポゴレリッチが私たちのよく知っている曲をいったん解体し、再構成してしまうからです。買い与えられたおもちゃを分解して、組み立て直す子供のように。
これが普通の子供ならば、壊してしまったら元に戻すことは難しいですが、天才は戻せるどころか、それ以上に一段も二段も次元の違う凄いものに組み立て直してしまいます。ポゴレリッチのピアノは、聴いている私たちの「常識」をあざ笑うように、誰も見たことのない「美」と「真実」で聴衆を圧倒します。

ポゴレリッチのそんな演奏、これは単なる気まぐれじゃないのか?・・・そう思われる方も当然いらっしゃるでしょう。しかし彼が使っている楽譜や、奇異な(?)練習風景を見ると(見ることができれば)、きっと考えが変わると思います。まず、おびただしい書き込み(アーティキュレーション。フレージング、ニュアンス、音色、指使い等々)で譜面が真っ黒になるくらい。初めて見たときは驚愕しました。しかしよく見てみると、ポゴレリッチが思考を突き詰めに突き詰めて、その対象となる音楽がどのようなものなのか?どう響くべきなのか?そのためにはどう弾くべきなのか?・・・等、とことん追究していることがわかります。
それが本番のあの異様なまでの集中力に変わるのか――とそら恐ろしい気がするくらいです。
そして本番前の、観客を前にポツリポツリとゆっくりすべての音を確かめずにはおられない、といったように奇妙に響く練習・・・。

気まぐれどころか、すべてを解釈し尽して「音」のありようを、動かしようがないくらい確固たるものにしているあたり、かつての伝説のピアニスト、A.B=ミケランジェリを思い出させます。(結果、聴こえてくるものはまったく違いますが)

ポゴレリッチは一貫して、昔からそうだったのです。ただ彼には、一時危機が訪れました。私たちが軽々しくふれていいところではありませんが、人生の危機です。
その間、(主に2000年代に入ってから10年近く)、ポゴレリッチの演奏には、破壊がもたらすカオスの方が全体を覆ってしまい、「すごい!」瞬間はあっても、聴き手を大いに戸惑わせることになりました。
しかしポゴレリッチはそれを抜け出ます。時間が解決したのか、何かがおこったのか、天才の羅針盤のようなものが自己を超越したのか、明らかに2010年以降の演奏には「創造」のバランスが戻り、しかもかつてない「天国的な安らかさ」すら感じさせることすらあるくらいです。音も一時期より、澄んで美しいものとなりました。

ひとつ目立ったものとして、もっぱら同じレパートリーを繰り返して弾いていたポゴレリッチは、近年新しいレパートリーを一つ、また一つと、どんどん増やしています。ファンにとっては嬉しいことです。レパートリーを増やす、というのは心が前向きである証拠ですから。
今回掲載している最近の写真にも、そんな感じを受けませんか?

今度で言えば、シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」がそうですね。あのシューマン独特の“幻想のとき”がどんな新しいスタンダードとなって立ち現われてくるのか?
逆にショパンのスケルツォ第3番やラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番は昔からポゴレリッチの十八番。前者の点描的・挑発的な運動と、抒情的な中間部の官能美の異常なくらいのコントラスト。後者の、20世紀最大のヴィルトゥオーゾ・ピアニストが作曲したに相応しい圧倒的なピアニズムは楽しみです。
そしてモーツァルト「幻想曲」の底知れない深みも。

どうか食わず嫌いなしで(?)、多くの方のご来場をお待ちしております。


■チケットのお申し込み

カジモト・イープラス会員限定先行受付  ●お申し込み
6月16日(木)12時 ~ 19日(日)18時
一般発売  ●お申し込み
6月26日(日)10時~
 

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