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2014/03/01 | ニュース

◆【インタビュー】カナダの「Le Devoir」紙が指揮者ロン・ユーを特集:中国クラシック音楽界の今!

中国を代表する指揮者ロン・ユーが、カナダはモントリオールの仏語日刊紙「Le Devoir」で大きく取り上げられました。
これはロン・ユーとモントリオール交響楽団の共演に先駆け、実現したインタビューにもとづく記事です。
現在、中国フィルハーモニー管の芸術監督、広州響&上海響の音楽監督を兼任し、さらには中国屈指の音楽祭の発展に力を注ぐロン・ユー。彼の文字通りの“八面六臂”の活動が浮き彫りとなる興味深いインタビューから、一部をご紹介したいと思います。

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ロン・ユーに訊く ~中国オーケストラ界の発展の立役者
2014年2月/Christophe Huss


 中国に生まれ、ベルリンで研鑽を積んだ指揮者のロン・ユーは、中国の音楽界を語る上で避けては通れない重鎮だ。現在は中国の主要3都市 [の楽団] にて、それぞれ重要なポストを任されている“現代中国クラシック界の始皇帝”に、話を訊いた。



 ピアニスト シュ・シャオメイの衝撃的な自伝「川とその秘密 La rivière et son secret」は、文化大革命直前の中国の姿をこう描写している。「(1964年に)北京音楽院に入学した私に、学長は政府の教育方針を告げた。今後、学内では西洋クラシック音楽は二度と演奏してはならないのだと。毛沢東はいうなれば“音楽のない音楽院”を構想したのだ。楽譜が不在では音楽のレッスンは成立しない。そこで教授たちは、何作か新曲を作ろうと決意した。数週間後に出来上がったそれらの音楽作品は、農民や労働者、兵士の生活から霊感を得たものだった。」

 今から半世紀前の1964年に生まれたロン・ユー。シュ・シャオメイは、あの時代に作曲をした教授たちが目の前で処刑される様を目にしたと書いているが、そうした時代はとうに過ぎ去り、その後、時代は大きく変わった。今日、北京音楽院はもはや「反革命集団」ではない。むしろ同院で音楽を学ぶことは、“成功”のひとつのバロメーターとなっている。中国では現在、5千万以上もの若者たちがピアノを熱心に学んでいるという。

 中国では、供給を需要に合わせなければならない。そして彼の地では、強力で質の高い文化活動の存在が、都市の威信を高めることにつながる・・・。指揮者ロン・ユーは、その意味で時代を先取りしていた。2000年3月、彼はまず中国フィルハーモニー管弦楽団(中國愛樂樂團)――旧:中国放送管弦楽団(中國廣播交響樂團)――の発足を陣頭指揮している。つづいて彼は2003年に広州交響楽団(広東省)の音楽監督、2009年に上海交響楽団の音楽監督に就任。これは喩えるならば、トロント、バンクーバー、モントリオールのオーケストラが同一の音楽監督を迎えるようなものだろう。さらにロン・ユーは、北京国際音楽祭の芸術監督を務めるほか、あのシャルル・デュトワとともに上海夏季音楽祭の共同ディレクターを任されている。

 「中国オーケストラ界の発展に寄与した」として、母国が彼を2010年の「今年の人」(芸術部門)に選出したことは、当然の結果だろう。いわばロン・ユーは、現代中国のクラシック音楽界を導く“始皇帝”なのだ。



<中国のゲルギエフ>

 そんなロン・ユーを、ニューヨーク・タイムズ紙は「中国のカラヤン」と呼んだ。どちらかといえば我々から見ると、彼にはヴァレリー・ゲルギエフの旺盛な活動を髣髴とさせるところがある。そう伝えると、ロン・ユーは笑いながらこう答えた。「私を何と形容するかはさておき、確かに二人の共通点は“多忙”ですね。ヴァレリーは一都市、私の場合は三都市に注力していますが、クラシック音楽の要所として都市を発展させようと努めている点では、私たちは似ていると思います。」

 「ロシア音楽にはとても愛着があります」と語るロン・ユーは、来るモントリオール響との公演のメインにショスタコーヴィチの交響曲第5番を選んだ。また陳其鋼(チェン・チーガン)のチェロ協奏曲もプログラミングされている。これは中国の現代作曲家を紹介したいというロン・ユーたっての希望で実現したものだ。ロン・ユーは著名な作曲家から中国出身の若手にいたるまで、幅広く定期的に新作を委嘱しているという。

 「ここ10~15年の間に、中国ではクラシック音楽への関心が劇的に高まりました」とロン・ユーは続けた。「私たちは聴衆を育てることに力を入れ、聴衆は若返りつつあります。最近は、若者たちの室内楽への興味が増しているという良い傾向も見られますね。」

 
 モンブラン文化財団から賞を授与され――ラン・ランが同財団の中枢に関わる前の出来事だ――、フランスでは芸術文化勲章シュヴァリエを、イタリアでは功労勲章コメンダトーレを受章しているロン・ユー。彼の名がカナダに定着するのも、時間の問題かもしれない。


出典 http://www.ledevoir.com/culture...


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ロン・ユー プロフィール

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