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2012/10/10 |

●「ピアソラ没後20年・フランセ生誕100年とブーランジェの弟子たち」~鈴木大介との対話 (3):ギタリストとしてのピアソラへの想い~

今年12月に「ピアソラ没後20年 フランセ生誕100年とブーランジェの弟子たち」と題するギター・リサイタルを予定している鈴木大介との対話シリーズが、お蔭さまで第3回目を迎えました(第一回目はこちら)。ブーランジェの話題がひと段落した本日は、ピアソラについてじっくりと語ってみたいと思います。

*鈴木のリサイタル曲目(12/6)*(公演詳細
◆ジャン・フランセ: パッサカイユ
◆エグベルト・ジスモンチ: セントラル・ギター
◆ジャン・フランセ: セレナード より
◆エリオット・カーター: SHARD
◆アストル・ピアソラ:
  アディオス・ノニーノへのイントロダクション
  平原のタンゴ
  ブエノスアイレスの秋
  バンドネオンとギターのための協奏曲から
  ブエノスアイレスの冬
  ロマンティックなタンゴ
  伊達男のタンゴ
  ブエノスアイレスの春


***

<ギタリストにとって「解釈の対象」となりうる作曲家>


―“ブーランジェのアドバイスによって、ピアソラは自らの道を切り開くことができた”わけですが・・・もう一度この作曲家について、別の視点から語ってみませんか。そもそもピアソラは、ギタリストにとってどういう存在なのでしょうか?

[鈴木(以下、鈴)] ギタリストとしては、“ギターのために書かれた曲”を残してくれた作曲家である、という点は無視できません。コピーやアレンジ物ではないオリジナル作品が演奏できる、という意味です。ピアソラはもちろん、ピアノやオーケストラの曲も多く書いていますが、ギターのための重要なレパートリーを作曲してくれた人物でもあるというわけです。

―たとえば・・・?

[鈴] ギター二重奏のための「タンゴ組曲」、フルートとギターの「タンゴの歴史」、ギターのための5つの小品、などなど。きちんと全ての音が譜面に記され残されています。自分にとってピアソラは、彼のバンドの作品を編曲して演奏するだけの存在ではありません。ギターのために書かれた作品をどう“解釈”するか、という可能性が開かれている作曲家です。

―彼自身は、ギターという楽器をどの程度理解していたのでしょうか?

[鈴] 人前で演奏する楽器ではなくとも、仕組みを熟知していたと思います。無理な書法が無いからです。「こんな和音押えられない!」ということがおきませんので。




<10年後の“ピアソラ生誕100年”をみつめながら>


―話が飛躍しますが、二年つづいたピアソラ記念イヤーが終わったら、心にぽっかり穴があいてしまうのではないですか?

[鈴] 今回はピアソラとフランセ(&ドビュッシー)のアルバムをそれぞれ作りましたが、それは単に記念イヤーだから演奏した、というわけではなく、こういう機会でもないとアルバムがなかなか作れない大好きな作曲家である、という事情があります。記念イヤーが過ぎたのちも、もっともっと彼らの音楽を弾いていきたいです。すぐ10年後にはピアソラの生誕100年がやって来るわけですし。



鈴木の新譜「アディオス・ノニーノ/ピアソラ:作品集」


―今回の記念イヤーを振り返ってみての印象はいかがですか

[鈴] 去年・今年と、ある程度ピアソラが注目されたものの、物凄く大きく騒がれたわけでもなかった、という状況は、むしろ健全だと思います。今回の“二年連続記念イヤー”で、「やっぱりピアソラはピアソラ自身の演奏、そしてそれを受け継ぐミュージシャンたちの演奏が良い」という視点がまず浸透したことはとても良かったですし、ピアソラへのそういったリスペクトは重要だと思います。これから10年の間には、クラシック側の奏者や聴き手も更にいっそうピアソラを演奏し聴くようになっていき、タンゴ側もピアソラの演奏をより活発化させていく・・・そして次の“生誕100年”を迎えるときに、そうした二つのジャンルにおける盛り上がりが手を結んで、ピアソラのマーケットがもっと成熟するのが理想ではないでしょうか。それを目指して自分は、ピアソラをギターで演奏しないといけない意味、その面白さを追求していきたいと思います。


◆次回の連載~フランセと“前衛”の問題~へつづく。



***


<鈴木大介 ギター・リサイタル 2012>
~アストル・ピアソラ没後20年 ジャン・フランセ生誕100年とナディア・ブーランジェの弟子たち~
日時 2012年12月6日 (木) 19:00 開演
会場 サントリーホール ブルーローズ
出演 ギター: 鈴木 大介
料金 全自由席¥4,000

[プログラム]
ドメニコ・スカルラッティ: ソナタ集
ジャン・フランセ: パッサカイユ
エグベルト・ジスモンチ: セントラル・ギター
ジャン・フランセ: セレナード より~愛の歌/エピグラム/リリパット王国のファンファーレ
エリオット・カーター: SHARD
アストル・ピアソラ作品集
アディオス・ノニーノへのイントロダクション
    平原のタンゴ
    ブエノスアイレスの秋
    バンドネオンとギターのための協奏曲から ~イントロダクションの断章
    ブエノスアイレスの冬
    ロマンティックなタンゴ
    伊達男のタンゴ
    ブエノスアイレスの春

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