© Judith Buss
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ARTIST
ORCHESTRA

Münchner Philharmoniker

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 1893年にピアノ製造業一族の息子、フランツ・カイムが私的に設立。以来、多くの高名な指揮者たちに率いられ、ミュンヘンの文化発展に大きな足跡を残してきた。「カイム管弦楽団」の名称で活動していた最初期には、たとえばブルックナーの直弟子フェルディナント・レーヴェらのもと、高い演奏技術を維持するかたわら、同時代の音楽の支援にも熱を入れた。1898年から1905年まで楽団を導いたフェリックス・ワインガルトナーは、外国への演奏旅行を重ねることで、楽団の国際的な知名度をあげた。
 マーラーは1901年と1910年に楽団の指揮台に立ち、自身の交響曲第4番と第8番を、それぞれ世界初演。マーラーがウィーンで亡くなってから僅か6ヶ月後の1911年11月には、ブルーノ・ワルターの指揮でマーラーの《大地の歌》を世界初演している。
 1928年に現在の名称「ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」に改称。この時期には上記の指揮者のほか、ヨッフム、ロスバウト、リーガー、ケンペらが同団の現在へ至る道を切り拓いていった。
 1979年、セルジュ・チェリビダッケが総音楽監督に就任。チェリビダッケは、ヨーロッパ諸国のほか、南アメリカとアジアでのツアーも統率し、とりわけブルックナーの演奏は伝説的な名演として語り継がれており、ミュンヘン・フィルの世界的な名声を揺るぎないものにした。1985年には、ミュンヘン市の複合文化施設「ガスタイク」内のホール「フィルハーモニー」での活動を開始している。
 1999年から2004年まで首席指揮者を務めたジェイムズ・レヴァインは、数多くの演奏旅行を任された。2003年春には、ドイツ音楽出版社協会(DMV)の「2002/2003年シーズン・ベスト・コンサート・プログラミング賞」を受賞。
 2004年、ズービン・メータに楽団史上初の桂冠指揮者の称号を贈呈。マーラーの交響曲第8番の初演から100年の節目となる2010年の10月には、当時のシェフであったクリスティアン・ティーレマンが、ミュンヘンでの2公演で同曲を指揮。後任のロリン・マゼールは、亡くなる2014年まで首席指揮者を務めた。マゼールは楽団のレパートリーを拡大し、楽団からより柔軟なサウンドを引き出した。
 2015年から22年まで首席指揮者を務めたワレリー・ゲルギエフとは、ブルックナーの交響曲全集を、作曲家が眠るリンツの聖フローリアン修道院でレコーディング。同録音は楽団の自主レーベル「MPHIL」からリリースされた。桂冠指揮者メータとの2024年1月のブラームス・ツィクルスは好評を博し、同公演で録音された交響曲4曲はMPHILからのリリースが予定されている。さらに、イェフィム・ブロンフマンをソリストに迎えたピアノ協奏曲2曲の録音は、LPレコードとして発売される。

 2018/2019年シーズンに創立125周年の節目を祝ったミュンヘン・フィルは、2021年10月、「イザールフィルハーモニー」の柿落とし公演を任された。ゲルカン・マルク・アンド・パートナーが設計し、永田音響設計の豊田泰久が音響設計を手がけた同ホールは、ガスタイクの改修工事に伴い、ミュンヘン・フィルの新たな本拠となった。同団は、新たなモットー「親しみやすく、新たな境地を拓く」を掲げながらプログラムの幅を広げており、「mphil late」や「Wandelkonzerte(プロムナード・コンサート)」などのイヴェントを定期的に催すことで、新たなかたちの聴取の場を創ろうと試みている。またコンサート活動と並行して、老若男女を対象とする多岐にわたる教育プログラム「シュピールフェルト・クラシック(クラシックの遊び場)」にも取り組んでおり、年間約150のイヴェントを、約3万5千人の多様な年齢層の人びとに届けている。

 2023年2月にはラハフ・シャニが次期首席指揮者に任命。シャニは2026年9月の同ポストへの就任に先駆け、2024/2025年シーズンには「夢」をテーマにミュンヘンとツアーにて6種の多彩なプログラムを指揮する。またシャニは、ミュンヘンの夏の野外コンサート「クラシック・アム・オデオンスプラッツ(オデオン広場でクラシック)」でもミュンヘン・フィルを率いる。

トゥガン・ソヒエフ(指揮)
Tugan Sokhiev, conductor

 世界中の一流オーケストラに客演し、コンサートとオペラの両分野で国際的に活躍する現代屈指の指揮者。

 近年はロイヤル・コンセルトヘボウ管、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィル、シュターツカペレ・ドレスデン、シュターツカペレ・ベルリン、バイエルン放送響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、フィルハーモニア管、ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管などに定期的に客演。ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、ボストン響、シカゴ響といった名だたる米国のオーケストラからも招かれており、NHK交響楽団とは毎シーズン数週間、演奏を共にしている。

 近年はとりわけ、ウィーン・フィルを率いてのアジア・ツアー、ミュンヘン・フィルとのヨーロッパ・ツアー、そしてシュターツカペレ・ドレスデンの名高いジルヴェスター・コンサートへの出演で注目を集めた。

 2008年から2022年までフランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督を務め、新作の世界初演や幾度もの海外ツアーを含むコンサート・シーズンを長年にわたり成功させた。とりわけ海外ツアーでの名演は、同団の国際的な地位の確立に大きく貢献した。
 オペラにも情熱を注ぎ、2014年から22年までモスクワのボリショイ歌劇場の音楽監督/首席指揮者を任され、多くの新演出や新作オペラの初演を指揮した。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にも客演。エクサン・プロヴァンス音楽祭ではマーラー・チェンバー・オーケストラと《3つのオレンジへの恋》を指揮して絶賛され、さらに同作品をマドリードのテアトロ・レアルで再演。2021年には、ボリショイ歌劇場で新演出の《サロメ》を指揮して高く評価された。

 2024/25年シーズンのハイライトにはパリ・オペラ座へのデビュー、ミュンヘン・フィルを率いてのアジア・ツアー、シュターツカペレ・ドレスデンとのヨーロッパ・ツアー、ウィーン・フィルの「夏の夜のコンサート」への出演が挙げられる。さらにウィーン国立歌劇場で《イオランタ》の新演出を指揮するほか、バイエルン放送響やN響にも再び客演する。

 ディスコグラフィも豊富で多彩。トゥールーズ・キャピトル国立管との録音をナイーヴ・レーベルやワーナー・クラシックスからリリースし、2020年にはディアパゾン・ドールを受賞した。2012年から16年まで首席指揮者を務めたベルリン・ドイツ響との録音は、ソニー・クラシカルからリリースされている。またユーロアーツ(クラシック映像レーベル)とのコラボレーションで、トゥールーズ・キャピトル国立管、ベルリン・ドイツ響、ベルリン・フィルとの映像をDVDとして発表。さらにベルリン・フィルは、映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」でソヒエフとの公演を数多く公開している。その第一弾となる『A Flight through the Orchestra』では、ベルリン・ドイツ響とのブラームスの交響曲第2番で彼の音楽解釈がフィーチャーされている。また同レーベルからは、トゥールーズ・キャピトル国立管との共演でバルトークの「かかし王子」とブラームスの交響曲第1番(2017年)、さらにベルリン・フィルとのラヴェルとプロコフィエフ作品集(2019年ヴァルトビューネで録音)も発表されている。

 サンクトペテルブルク音楽院の伝説的な教育者、イリヤ・ムーシンの最後の弟子の一人であるソヒエフは、自身の音楽的知見を次世代の音楽家たちと分かち合う活動に意欲的に取り組んでいる。2016年、トゥールーズに国際指揮アカデミーを創設。ウィーン・フィルのアンゲリカ・プロコップ・サマーアカデミーとマーラー・チェンバー・オーケストラ・アカデミーの若手演奏家たちとも共演している。またソヒエフは、フィルハーモニック・ブラス・エデュケーション・プログラムのパトロンの一人であること、そしてフィルハーモニック・ブラスのメンバーたちのデビュー・アルバムで彼らと共演したことを誇りとしている。

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Valery Gergievs MPHIL 360° — Das Festival der Münchner Philharmoniker 2020

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