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アルフレッド・ブレンデルさんの訃報に寄せて (2) ── ティル・フェルナーからのメッセージ アルフレッド・ブレンデルさんの訃報に寄せて (2) ── ティル・フェルナーからのメッセージ
去る6/17の逝去された、20世紀を代表するピアニストのアルフレッド・ブレンデルを悼んで、愛弟子であった、今やドイツ・オーストリア系ピアニストの筆頭であるティル・フェルナーからメッセージが届きました。
ぜひ、ご一読ください。
師であるアルフレッド・ブレンデルは、中央ヨーロッパのピアノ・レパートリー、とりわけウィーン古典派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)、シューベルト、シューマン、リストの作品の演奏において、当代随一のピアニストでした。
彼は、ピアノ演奏のみならず、作曲や偉大な文学作品・美術作品への積極的な関わりをも通じて、音楽への深い理解に至るとともに、情熱をもって追求した傑作の真価を世界中の聴衆と分かち合いました。
その長いキャリアを通して、作曲家たちの忠実な奉仕者としての役割を喜んで引き受けたブレンデルは、私たち演奏家の務めを、意識・意義・尊厳の面で確たる新しい次元へと引き上げました。彼は練達の俳優のように多芸多才であり、崇高なものからコミカルなものまで、手の内に収めた極めて多彩なキャラクターを、演奏曲に合わせて入念に選んで表現することができました。
弟子の一人として、ブレンデルに師事したことを光栄に思います。彼のもとでの研鑽は、私の音楽人生で起きた最も重要な出来事でした。私はその優しさ、信頼感、寛大さ、そして何より素晴らしいユーモアのセンスに、これから先も深い感謝の気持ちを抱き続けていきます。
ティル・フェルナー(ピアニスト)
