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巨匠イーヴォ・ポゴレリッチが来春1月に再び来日!── 10/9(水)から先行発売 巨匠イーヴォ・ポゴレリッチが来春1月に再び来日!── 10/9(水)から先行発売

かつて「鬼才」とは呼べても、「巨匠」とは言い辛かった、天下無双、独自のピアノ世界を築いてきたイーヴォ・ポゴレリッチ。しかしほぼ毎年来日する中、その姿はゆっくりと変わってきたように思います。来春1月、そのポゴレリッチが再び東京公演を行います。
今回のプログラムは彼の原点ショパン、そしてモーツァルト。
カジモト・イープラス会員限定先行受付は、10/9(水)から始まります。

©Andrej Grilc

[イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル2025]
https://www.kajimotomusic.com/concerts/2025-ivo-pogorelich/

2025年1月29日(水)19時 サントリーホール

モーツァルト:アダージョ ロ短調 K.540
       幻想曲 ハ短調 K.475
       幻想曲 ニ短調 K.397
       ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」

ショパン: ノクターン 変ホ長調 op.55-2
      3つのマズルカ op.59
      ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.35「葬送」

(チケット料金)
S¥17,000 A¥13,000 B¥9,000

カジモト・イープラス会員限定先行受付 
10/9(水)12時 ~ 13(日)18時
https://www.kajimotomusic.com/concerts/2025-ivo-pogorelich/

一般発売
10/20(日)10時

スクラップ&ビルド── ポゴレリッチのピアノを聴く人々は、多くが彼の音楽づくりについてそうした言葉を使ってきました。たしかにそうかもしれません。彼はこれまでどのような楽曲でも音の要素を、言ってみれば伝統的に弾かれてきたスタイルからいったん“解体”し、“再構築”して演奏してきたのです。もっとも「いったん解体」というのは、優れた演奏家なら誰しもすることで、ポゴレリッチの場合、そのあまりに独創的な「再構築」がいったいどういう感覚、思考を経て行われたのでしょうか?これこそまさしく見当のつかないブラックボックスであり、ここにこの天才の深い謎(エニグマ)があったと思います。

 しかしこのスクラップ&ビルド。ポゴレリッチのことでいえば──こう言うのはいささか乱暴だし、大雑把すぎるとは思いますが── 彼の辿る人生そのものがまたそうであったかもしれません。最愛の妻であり師を亡くしてからの、闇の中を彷徨うポゴレリッチはその演奏そのものがスクラップのようになった、と言ってもいいような一時期がありました(それはそれで凄いというほかない瞬間もあったことは確かですが)。しかしそこから彼は戻ってきたのです。2010年頃からでしょうか?光を伴ってのビルドがいつしか始まりました。以来、ここ数年のポゴレリッチの前よりも磨かれた音や演奏にも、また新しいレパートリが増えてきたことにも、それがはっきり見て取れる気がします。

 2023年に弾いたショパンのソナタ第3番には、それが如実に現れていたと思います。2005年、先述の闇の時代にあっては、なんと45分!もかかった彷徨いに彷徨った演奏が30分強となっていましたし(もちろん演奏時間の問題ではありませんが)。そこではシューマンの音楽で言うところのフロレスタンとオイゼビウスが如く、何かを訴えるように外面へと高揚するフォルティシモ、夢の中でささやくような内面的なピアニシモの交替が、独特ではあっても絶妙の調和を見せながら、巨きな音楽を築き上げていきました。さて、今回のソナタの第2番の方ではではどうなるでしょう?

 そしてモーツァルトのソナタや幻想曲でも、シンプルな音使いがゆえに、却ってポゴレリッチのもつ今の“光”が浮かんでくるのではないかと想像してしまいます。
 さらに新たな世界を切り拓き、私たちに見せてくれるポゴレリッチに大きな期待をしたいと思います。ぜひ多くの方とそれを分かち合えますように。

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