AKIE AMOU
Poesie und Lied

天羽 明惠
ドイツ歌曲シリーズ 詩が歌となるとき
Vol.5 「ハイネとヘルダーリンと」

DATE

2025.11.1sat.
14:00

2025年11月1日(土) 14:00 開演(13:30 開場)

PROGRAM

ハイネの詩による歌曲
挨拶(E.グリーク)、二人は愛し合っていた(C.シューマン)
私の悩みのゆりかご / 愛らしく優しいミルテとバラで(R.シューマン《リーダークライス》 op.24より)
君は花のよう(N.ブルクミューラー《6つの歌曲》 op.3より〈歌〉)
ヘルダーリンの詩による歌曲
希望によせ / ある街にて(H.アイスラー《ヘルダーリン断章》 より)
夜のファンタジー(V.ウルマン)
出演
ソプラノ:天羽明惠
ピアノ:ジークムント・イェルセット
朗読:ヴィンシャーマン 敏

TICKET

  • 全席自由席 一般 5,000円
  • 学生 3,000円
  • ※学生券はカジモト・イープラスでのみ取り扱い

主催:KAJIMOTO
後援:ノルウェー大使館

TICKET

一般発売
2025年7月26日(土)10:00

天羽明惠 ドイツ歌曲シリーズ 
(うた)が歌となるとき 
Vol.5「ハイネとヘルダーリンと」

ドイツ歌曲の音楽と言葉の美しさを探求するシリーズ


天羽明惠が描く「言葉と歌」の世界

ドイツ・リート(歌曲)は、奥の深い音楽ジャンルである。言葉・音楽・声が渾然一体となっているために、そのすべてを掘り下げることが可能だからだ。作曲家たちは作品を、詩から霊感を受けて書いた。霊感などと言うと、興の赴くままに筆を走らせたかのように聞こえるが、実際には詩全体のコンテクストや、個々の言葉に細心の注意を払い、小宇宙とも呼べる世界を作り上げている。歌手たちは、言葉の意味や、作曲家が和声やモチーフに託した意図を声に乗せるが、優れたリートの演奏では、詩と楽譜の読解力、声による深い感情表現が不可欠となる。しかしそれだからこそ、すべての要素が合致した時には、深い感動が得られる。

天羽明惠が満を期して臨むのは、この「言葉と歌」の世界を、独自の解釈で音にすることである。円熟期にある彼女が、自らのプロデュースで描くリートとは、どんな色合いを放つだろうか。その際天羽は、独墺で活躍し、実績を積んできた友人たちを、共演者として招待する。これにより舞台は、音楽家たちが互いに触発し合う対話の場へと発展するのである。これまでにない新基軸であると同時に、一流の歌い手たちが腕を競い合うという意味でも、期待を抱かされるシリーズである。

城所 孝吉(音楽評論)

「ハイネとヘルダーリンと」

ドイツ歌曲の勉強を始めると、すぐにハイネの詩に出会える。素朴で美しい言葉と馴染みやすい韻律で歌われている彼の詩に、多くのロマン派の作曲家が美しい旋律を与えているから。愛の喜び切なさ、苦悩や絶望、自然の発する言葉を聴き讃え、また物語を紡いでいく。ドイツ語へのこだわりは、異国に住むことになってしまったハイネの、憧憬の言葉だったのだろうか・・

ヘルダーリンを知ったのは、ずっと後、ドイツ留学時代。演奏会で出会う不思議な魅力を醸し出すアイスラ―、ヒンデミットの作品。ヘルダーリン所縁の街が自宅から近かったことと、彼の研究をしていた演出家に会ったことで興味が湧き、彼の生涯を調べ、楽譜を集めた。難しいのだが、音読するとドイツ語の美しさが引き立ってくる。

ハイネとヘルダーリン、18世紀から19世紀にかけて活動した二人の詩人にフォーカスし、彼等の言葉と韻律に触発された多くの作曲家の作品を取り上げることで、「(うた)が歌となるとき」の、一応の最終回とします。

ハイネ「君は花のよう」「私の悩みのゆりかご」、ヘルダーリン「断章」「夜のファンタジー」などの作品をお聴きいただきたいと思います。

天羽明惠

天羽 明惠(ソプラノ)
Akie Amou, Soprano

リリックな声で聴衆を魅了し、内外で高い評価を得ているソプラノ歌手。1995年第6回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。同年、新人の登竜門として知られるラインスベルク音楽祭で、《ナクソス島のアリアドネ》のツェルビネッタをクリスティアン・ティーレマンの指揮で歌い欧州デビュー。ソニア・ノルウェー女王記念第3回国際音楽コンクールに優勝。その後、ドイツを拠点として、ザクセン州立歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなど、ヨーロッパ各地の歌劇場や音楽祭のオペラなど数多く出演。国内でも、新国立劇場、サントリーホール・ホールオペラや、主要オーケストラの定期公演にソリストとして出演している。東京オペラNEXT理事。若手歌手のサポートや解説付きオペラ公演のプロデュース等を行い、オペラの啓蒙活動にも積極的に取り組んでいる。ロッシーニ協会運営委員。

ジークムント・イェルセット(ピアノ)
Sigmund Hjelset, Piano

 ノルウェーを代表する歌曲伴奏者。ベルゲンで教育を受けた後、ロンドン王立音楽院で学ぶ。ソロ・ピアニストとして様々な音楽賞を受賞後、ボストン・ニューイングランド音楽院でレナード・シュアに師事。キャリアの初期より歌曲伴奏に関心を示し、この分野で国際的な活動を展開。アムステルダム・コンセルトヘボウ、ウィグモアホール、ベルリン・コンツェルトハウス、ベルゲン音楽祭等でリサイタルの伴奏を務めている。
 ノルウェーのバリトン、ペール・ヴォレスタードとは、シューベルト、シューマン、ヴォルフ等の歌曲CDをSIMAX Classicsよりリリース。またグリーグ、シンディング、ニーストレム、トヴェイト等、ノルウェーおよびスカンジナヴィアの作曲家の作品も数多く録音し、北欧音楽の普及に努めている。天羽明惠とは、1995年より定期的にリサイタルで共演。
 ノルウェー国立音楽大学では、歌曲伴奏の教授として後進の指導にも当たった。また、ライプツィヒ・メンデルスゾーン音楽院、ワイマール・リスト・アカデミーでも、マスタークラスを行っている。2004年には、ノルウェー・グリーグ賞を受賞。

ヴィンシャーマン 敏 (朗読)
Toshi Winschermann, Recitation

ドイツ・ボン出身。キール国立芸術大学写真学科とハイデルベルク大学会議通訳学科を卒業。現在は東京を拠点に、写真家としての創作活動を続けながら、日独会議通訳者として国際イベントをはじめ、日独要人通訳も数多く務めている。