Gewandhausorchester Leipzig
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は、250年を超える歴史を誇る由緒あるオーケストラである。その発祥は、ライプツィヒの商人たちが資金を出し合って発足させたコンサート愛好会に遡る。この愛好会が、音楽界の歴史を作り、世界でも最も有名で、かつ高い名声を誇るオーケストラを育ててきた。歴代のゲヴァントハウス・カペルマイスターは、フェリークス・メンデルスゾーン、アルトゥール・ニキシュ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、フランツ・コンヴィチュニー、そしてクルト・マズアらが務めてきた。彼らはいずれも、比類ない音楽的言語を持つこのオーケストラに、確かな足跡を遺してきた。その伝統をヘルベルト・ブロムシュテットが21世紀に引き継いだ。彼の後継に任命されたリッカルド・シャイーは、伝統と革新の体現者であり、実に35年振りに、ゲヴァントハウス・カペルマイスターと、ライプツィヒ・オペラの音楽監督(2008年まで在任)の両方を務める指揮者となった。
ゲヴァントハウス・オーケストラは、地元ライプツィヒだけで、1シーズンに70近くもの『グランド・コンサート』を行っている。200年以上もの間、彼らはライプツィヒ・オペラの歌劇場付きのオーケストラとして演奏し、また、毎週行われる聖トーマス教会でのJ.S.バッハのカンタータ演奏会も行い、さらに1シーズンに35以上の客演を世界各地で行ってきた。また、数え切れないほどの録音も行っている。ライプツィヒ、その町の名が広く知られているのは、ゲヴァントハウス・オーケストラの様々な活動と、世界で最も古い歴史を誇る、商人階級の人々によって創設されたオーケストラ、という事実によるところが大きい。
実際、1743年3月、ライプツィヒの16人の商人たちが集会を開き、コンサート愛好会の発足を決め、『グランド・コンサート』の名のもとに僅か16人の楽員で産声をあげたとき、ゲヴァントハウスが成し遂げた今日までのサクセス・ストーリーを予測したものはいなかった。
ブリュールのホテル『三羽の白鳥』で30年間演奏活動を続けたのち、増え続ける聴衆の期待に応えるために、新しいホーム・グラウンドの必要性が叫ばれはじめた。1781年、オーケストラは500席の、素晴らしい音響をもつホールに引っ越した。そこは、織物商人たちの集会所で、名をゲヴァントハウス(ガーメント・ハウス)といい、オーケストラとライプツィヒ・オペラは今もその名を現代に引き継いでいるのである。
このコンサートホールもやがて、熱心な聴衆の数に対応しきれなくなり、第二の織物協会会館が1884年12月に寄贈された。1500席の広いホールと、室内楽のホールをもつこの会館は、わずか500席しかもたなかった旧ゲヴァントハウスで演奏してきた楽員たちに、演奏レベルの維持と国際的な名声の獲得を可能と知らしめることとなった。
1944年2月の大空襲により、このコンサートホールは壊滅的なダメージを受けたが、戦後も市民は廃墟のようなこのホールを大切に使い続けた。しかし、ついに1968年3月に爆弾により破壊せざるをえなかった。その後約30年間、彼らはライプツィヒ動物園近くの仮設会議場でコンサート活動を続けた。しかし、当時の楽長クルト・マズアの不断の努力により、1981年オーケストラはようやく現代的な演奏会場に引っ越すことができた。そこは、音楽的にも、音響的にも、技術的にも、理想的なホールであった。この第三のゲヴァントハウスは、市内のアウグスブルク広場に面している。
大ホールの荘厳なシュッケ・パイプ・オルガンには、古代ローマの思想家である小セネカの名言が刻まれている。それは、1781年以来ゲヴァントハウスが座右の銘として掲げている言葉 『Res severa verum gaudium ― 真の歓びとは、真面目な仕事にほかならない』である。
このホールは、1900席を超えるほぼ円形の大ホールと、500席のメンデルスゾーンホールから構成され、外光がふんだんに降り注ぐゲヴァントハウス・ホワイエは、比類ない建築の粋を見せている。内部は名演奏家たちの銅像や胸像、定期的に展示が入れ替わる名画などによって美しく装飾され、そして四階まで吹き抜けになった天井にはライプツィヒの画家、ジークハルト・ギレによる『生命の歌』が描かれている。
今日では、年間600を超えるイベントがゲヴァントハウスで開催されている。その中でも、ゲヴァントハウス・オーケストラによる「グランド・コンサート」は、ゲヴァントハウス合唱団、少年少女合唱団、室内楽のコンサート、ゲヴァントハウス四重奏団、ゲヴァントハウス・木管五重奏団、ゲヴァントハウス八重奏団のコンサートや、オルガン・コンサート、土曜の午後の1時間のオルガン・コンサートなどとともに、ゲヴァントハウスの年間スケジュールの重要な位置を占めているのである。
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