ARTIST
PIANO

André Watts

アンドレ・ワッツ(1946-2023)

アンドレ・ワッツが彗星のごとく音楽界に登場したのは16歳の時だった。レナード・バーンスタインがニューヨーク・フィルの青少年コンサートで彼をデビューさせたのである。このコンサートはCBSテレビで全米に放映された。その僅か2週間後、バーンスタインは急遽病気で出演できなくなったグレン・グールドの代役にワッツを抜擢した。こうしてリストのピアノ協奏曲変ホ長調をニューヨーク・フィルと共演した彼は、まるでおとぎ話のように演奏家の道を歩みだした。

それから40年以上が経った今も、最も尊敬され愛されるスーパースターの一人として活躍しており、ラヴィニア、タングルウッド、サラトガ、マン・ミュージックセンター、ハリウッド・ボウル、などの有名音楽祭への出演を重ねる。最近ではフィラデルフィア響、ミネソタ響、ニューヨーク・フィル、ロサンゼルス・フィル、セント・ルイス響、アトランタ響、ダラス響、ヒューストン響、ボルティモア響、インディアナポリス響、シアトル響、ナショナル響などと共演。2011年のリストイヤーではアメリカ全土でオール・リスト・プログラムのリサイタルを行った。2012/13年のシーズンはニューヨーク・フィル、デトロイト響、シンシナティ響、フィラデルフィア管、また同管とのフロリダツアーが予定されている。

テレビ出演も長年にわたり頻繁に行っており、ニューヨーク・フィル、ボストン響、フィラデルフィア管、モーストリー・モーツァルト音楽祭オーケストラ、リンカーン・センター室内楽協会などとともにPBSやBBC、アート・アンド・エンタテインメント・ネットワークの制作による番組に数多く出演している。1976年にリンカーン・センターから生中継された彼のニューヨーク・リサイタルは、テレビ史上初めてカットされることなく完全放送されたリサイタルとなった。また、プエルトリコで開催された第38回カザルス音楽祭での彼の演奏は、エミー賞の文化番組における優秀個人業績部門にノミネートされた。最近ではフィラデルフィア管の100周年記念ガラ・コンサートでの演奏が米国並びにヨーロッパ全土にテレビ放映された。

録音も多数あり、CBSのマスターワークよりガーシュウィン、ショパン、リストを、Angel/EMIよりリサイタルCDとしてベートーヴェン、シューベルト、リスト、ショパンを、またリスト、マクダウェル、チャイコフスキー、サン・サーンスのピアノ協奏曲をテラークよりリリースしている。さらにフィリップスの20世紀のグレート・ピアニスト・シリーズにも名を連ねている。

ヨーロッパの王族や世界中の国家元首の前で演奏するという栄誉に何度も恵まれ、2006年6月にはデビュー50周年(フィラデルフィア管と共演)を記念してハリウッドボウル・オブ・フェイムに加わった。また2011年には米国大統領より、アメリカ国内における芸術への優れた、成長、サポート、および芸術の可用性への顕著な貢献が認められる個人に贈られる“2011国家勲章”を受けている。1988年のエイヴリー・フィッシャー賞の受賞者でもある。26歳でエール大学より史上最年少の名誉博士号を受け、以後、同様の称号をペンシルヴァニア大学、オハイオ州立マイアミ大学、オルブライト大学、ブランダイス大学、トリニティ大学、ジュリアード音楽院をはじめとする有名大学・音楽院から授かっている。ジョンズ・ホプキンス大学ピーボディー音楽院は1984年にワッツに同窓会功労賞を、1997年5月には名誉博士号を与え、その偉業を称えた。ワッツは2000/01シーズンからメリーランド大学のアーティスト・イン・レジデンスを務め、2004年5月にはインディアナ大学で新たに設立されたジャックI&ドーラBハムリン基金席教授に指名されている。

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