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ピアノ アンドレ・ワッツAndré Watts

PROFILE


 アンドレ・ワッツは16歳で音楽世界に踊り出た。というのは、その時、レナード・バーンスタインが、CBSテレビの全国放送番組「青少年コンサー ト」に、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団とのデビューを取りはからってくれたからである。その僅か2週間後今度は、バーンスタインが病身のグレ ン・グールドに変わって、ニューヨーク・フィルとリスト「ピアノ協奏曲変ホ長調」を弾くようギリギリの時間に依頼してきた。こうしてワッツのピアニストと してのキャリアはおとぎ話のようにぐいぐい進んでいった。30年以上がたって今日、ワッツはなお現在最も優れた、しかも誰からも愛されるピアニストの一人 である。毎年、世界各国の有力オーケストラや指揮者との共演、切符がすぐ売り切れとなるリサイタル、著名な国際音楽祭への出演など、こうしてワッツは世界 の隅々まで飛び回っている。
  ワッツとテレビのクラシック音楽との関わりはかなり特別な例といえよう。まず、1976年PBS(公共放送)で、日曜午後の番組「ライヴ・フロム・リン カーン・センター」では初のソロ・リサイタルが放送され、しかもこれがテレビ史上初のソロ・リサイタル全曲放送となった。1985年の「ライヴ・フロム・ リンカーン・センター」の演奏はソロ・リサイタル全曲のゴールデン・アワー全国初放送となった。その他のテレビ出演には全世界に放送されたユージン・オー マンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団との国連デー・コンサート、BBCで放送されたロンドン交響楽団との共演、及びソロ・リサイタル、ズビン・メータ 指揮、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団とのモーツァルト協奏曲のリハーサルと演奏会を収録したドキュメンタリー番組、そして小澤征爾指揮ボストン 交響楽団と演奏したPBS(公共放送)の2番組、リスト「イ長調協奏曲」とサン=サーンス「ト短調協奏曲」がある。
  1987/88年のシーズンにPBSはワッツのデビュー25周年を記念して、リンカーン・センターからズビン・メータ指揮、ニューヨーク・フィルとの共演 で、ベートーヴェン、リスト、ラフマニノフの協奏曲の演奏を中継した。1993年モーストリー・モーツァルト音楽祭のオープニングを飾る「ライヴ・フロ ム・リンカーン・センター」の番組とリンカーン・センター室内楽協会創立25周年記念シーズンのオープニング・ガラ・コンサートに特別ソリストとして登場 した。更に最近では、プエルト・リコの第38回カサルス音楽祭のハイライトとなる特別番組に出演し、アーツ・エンタテインメント・ネットワークを通じて、 全国放送された。このワッツの演奏は、エミー賞の「教養番組個人特別優秀賞」にノミネートされた。
  レコーディングにも積極的なアンドレ・ワッツは最新盤として、アンドルー・リットン指揮、ダラス交響楽団との共演によるリスト「ピアノ協奏曲集」とマクダ ウェル「第二協奏曲」をテルデックからリリースした。これに先立つテルデック・デビュー盤は、チャイコフスキー「協奏曲第一番」とサン=サーンス「協奏曲 第二番」で共にヨエル・リーヴァイ指揮、アトランタ交響楽団との共演である。また、ワッツの録音は、ソロの分野で高く評価されており、「ショパン・リサイ タル」(ステレオ・レヴュー誌「今月のCD」に指定)と、「シューベルト・リサイタル」が、エンジェル/EMIからリリースされている。
  アンドレ・ワッツの1997/98年の広範なスケジュールには、シカゴ、サンフランシスコ、ダラス、ヒューストン、インディアナポリス、及びナショナルの 各交響楽団、それにフィラデルフィア管弦楽団、セント・ポール室内管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、香港フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団を始め 多くの共演、また、セントルイス交響楽団と組んで、カーネギー・ホールとボストン・シンフォニー・ホールに出演し、更に、フロリダ・ツアーにも同行した。 この他、リサイタルでは、ニューヨーク・メトロポリタン美術館での2回コンサート、ニュージャージー演劇芸術センターの開館記念コンサート、ロサンゼル ス、デンヴァー、ミュンヘン、ケルン、ベルリン、大阪、東京でリサイタルを開いた。1998年の夏にはバービカン・センターでボーンマス交響楽団と共演、 イスタンブール音楽祭でリサイタル、モーストリー・モーツァルト音楽祭で協奏曲を演奏(ニューヨークと東京にて)、又、サラトガ演劇芸術センター、タング ルウッドとラヴィニアの両音楽祭などに出演した。
  1998/99年のシーズンもワッツの予定はギッシリ。バンクーバー、シアトル、オレゴン、コロラド、ミネソタ、ダラス、アトランタ、ボルティモア、 ニュージャージー、ミルウォーキーの各オーケストラ、それとニューヨーク・フィル、ナショナル交響楽団等と共演する。1998年10月14日には、リン カーン・センター室内楽協会創立30周年記念ガラ・コンサートの中継番組「ライヴ・フロム・リンカーン・センター」の中で自らホストをつとめた。ワッツは 室内楽協会の春季イースト・コースト・ツアーにソリストとして参加し、ニューヨークなど各地で共演する。又、ドイツでのリサイタル、タンペレ・フィル (フィンランド)及びベルン交響楽団との共演のためヨーロッパを訪れる。その他、カリフォルニア、ニューヨーク、ヒューストン、シカゴ、フィラデルフィ ア、サンフランシスコ、セントルイス、そして日本が今シーズンの主な演奏予定地となっている。
  アンドレ・ワッツは高名な演奏家の中では特別に芸術界や一般社会に奉仕する重要な非営利団体の活動に関心を寄せ、高邁な心と献身的な努力によってその活動 を援助支援している。又、様々な目的で開かれるチャリティー・コンサートに数多く出演するのに加えて、ワッツは「クラシカル・アクション:エイズと闘う演 奏活動」に積極的に参加し、指導立場にある。この団体は全国的なエイズ治療、教育、防止活動を支援するための基金を集めるのを目的としている。こうした革 新的な「挑戦計画」を通じてワッツは米国での各公演でのギャラの一部を寄付している。そして、もし寄付団体からそれと同額の提供があれば自分の寄付金を2 倍にしている。「クラシカル・アクション」はこうして集めた基金を寄付のあった地域のエイズ対策活動に割り当てている。
  ヨーロッパの王室、世界各国の政府首脳の前で演奏を重ねるという名誉に輝くアンドレ・ワッツは1988年エイヴァリー・フィッシャー賞を贈られた。26歳 の時、エール大学からこれまでの最年少記録となる名誉博士号を贈られた。これ以降、ペンシルバニア大学、オハイオ州マイアミ大学、オルブライト・カレッ ジ、ブランディース大学、トリニティー・カレッジ、ジュリアード音楽院などアメリカの名門校から多くの名誉賞を贈られている。1984年、ジョン・ホプキ ンズ大学ピーボディー音楽院は、ワッツに「傑出した同窓生賞」を贈ったが、1997年5月、今度は名誉博士号を贈り、母校としてワッツの功績をたたえたの である。

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