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ピアノ ラルス・フォークトLars Vogt

PROFILE


 同世代を代表する音楽家のひとりとして名声を確立してきたラルス・フォークトは、1970年デューレン(ドイツ)生まれ。1990年、リーズ国際コンクールで第2位に輝き脚光を浴びて以来、四半世紀にわたり多彩なキャリアを築いてきた。そのレパートリーは、モーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派から、シューマン、ブラームス、グリーグ、チャイコフスキー、ラフマニノフなどのロマン派、さらには眩いまでのルトスワフスキの協奏曲まで、多岐にわたる。

 輝かしいキャリアを誇るフォークトはこれまで、クラウディオ・アバド、ダニエル・ハーディング、マリス・ヤンソンス、パーヴォ・ヤルヴィ、アンドリス・ネルソンス、サイモン・ラトル、ロビン・ティチアーティら、世界最高峰の指揮者に率いられ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、バーミンガム市交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、ボストン交響楽団、NHK交響楽団、パリ管弦楽団など、多くの一流オーケストラと共演してきた。2003年/2004年シーズンにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の初のピアニスト・イン・レジデンスを務めて以来、同団とは特別な関係を育み、共演を重ねている。

 2016年/17年シーズンには、ソリストとして、NHK交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、トーンキュンストラー管弦楽団、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団、バーゼル交響楽団、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団と共演する。引き続き室内楽も、今シーズンの主な活動のひとつであり、クリスティアン・テツラフとはアメリカでデュオ・リサイタル・ツアーを行う。さらにターニャ・テツラフを加えたトリオでは、ヨーロッパを周る。テノールのイアン・ボストリッジとは、ゲーツヘッド、ハンブルク、ロンドン、ルクセンブルク、ウィーン、そしてシューベルティアーデ音楽祭(ホーエネムス)にて、シューベルトの《白鳥の歌》を取り上げる。

 昨シーズンのハイライトとしては、BBCプロムスのファースト・ナイト・コンサート、フィラルモニー・ド・パリでのパリ管弦楽団のシーズン・オープニング・コンサートへの出演、ミラノ・スカラ座での演奏が挙げられる。さらに、ソリスト・指揮者としてオーストリア・ツアーを成功させ、トッパン・ホール(東京)の15周年を記念する室内楽フェスティバルにも参加した。またソリストとしては、ロンドン交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ウィーン交響楽団、ボストン交響楽団に客演した。

 室内楽にも情熱を注ぐフォークトは、1998年6月、ケルンに近いハイムバッハに室内楽の音楽祭「シュパヌンゲン」を創設。アール・ヌーボー様式の水力発電所で繰り広げられる音楽祭は大成功を収め、その様子はCAvi-musicならびにEMI レーベルからリリースされた幾つかのライブ・レコーディングで聴くことが出来る。テツラフ兄妹やボストリッジに加えて、トーマス・クヴァストホフとも定期的に共演しており、俳優のクラウス=マリア・ブランダウアー、コメディアンのコンラート・バイキルヒャーともコラボレーションを展開している。

 多数の録音を誇り、現在は主にOndineレーベルとレコーディングを行っている。2016年10月にはシューベルトの作品集を発表した。同レーベルに収めた『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』も、ダウンロード・ランキングで上位入りを果たすなど、各方面で絶賛された。室内楽のディスコグラフィも多彩で、近年はクリスティアン・テツラフと共に、ブラームス、モーツァルト、シューマンのソナタをOndineレーベルに録音。ターニャ・テツラフを加えたトリオによる『ブラームス:ピアノ三重奏曲集』は、グラミー賞にノミネートされた。EMIレーベルからは、『パウル・ヒンデミット(Vol.2)』(共演:クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)、『シューマン、グリーグ、ベートーヴェン:協奏曲集』(サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団)をはじめ、10以上のアルバムをリリースしている。このほか、CAvi-musicレーベル(最新盤は2016年の『ラルヒャー、シューマン、バルトーク:ピアノ作品集(子供のために)』)、Ohems Classicsレーベル(『モーツァルト:協奏曲集』、共演:モーツァルテウム管弦楽団)、Berlin Classicsレーベル(ソロ・アルバム『リスト、シューマン:ピアノ作品集』)とも活動を共にしている。

 フォークトは、音楽を通じて地域社会を活性化させる試みにも情熱的に取り組んでいる。2005年には、ドイツやオーストリアの子どもたちのもとに、一流音楽家たちを派遣する教育プログラム「ラプソディ・イン・スクール」を立ち上げた。彼はまた、熟練した熱心な教師でもあり、2013年には、自身の師で親友のカール=ハインツ・ケマーリングの後任として、ハノーファー音楽学校のピアノ科教授に任命された。
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