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室内楽 シルバ・オクテットSIRBA OCTET

PROFILE


 ヴァイオリニストのリシャール・シュムクレールが2003年に結成したユニークな八重奏団。編曲を担当するシリル・レーンとヤン・オリヴォ、5人のパリ管弦楽団の奏者たち、ピアニスト、ツィンバロン奏者と共にクレズマーやユダヤ音楽、ジプシー音楽のレパートリーに新風を吹き込みながらまったく新しいサウンドを生み出している。
 2005年にアンブロワジー・レーベル(ナイーヴ)より最初のアコースティック・アルバム『A Yiddish Mame』をリリース。これをさらに発展させ、パリ管とのコラボレーションでモガドール劇場にて『屋根の上のヴァイオリン弾き』を演奏した。このアルバムに収められているスラブやユダヤなどの東欧のメロディは、シュムクレールが自身の過去の幸せな家族団欒の思い出から想起した懐かしの楽曲集でもある。

主要な共演者たち

 2007年にイル・ド・フランス音楽祭で歌手、ダンサー、女優として活躍するイザベル・ジョルジュと共演し、『Du Shtetl à New York (ニューヨークのユダヤ人村)』 を演奏。ユダヤ音楽と、移民の二世たちが作曲したジャズ、ラグタイム、ララバイといったアメリカの黄金時代を象徴するスタンダード・ナンバーを交え、かつて何百万人もの人たちが東欧のユダヤ人村から世界中の音楽が混じり合うニューヨークへと旅した軌跡を表現した。このショーは、ファビエンヌ・ルッソ=ルノワール監督のドキュメンタリー『Du Shtetl à Broadway』からインスピレーションを受けて制作され、ユダヤ人社会の重要な基盤である血縁と継承を称賛する意味も込められている。
 この他にも、ユダヤの伝統音楽をベースに、ジャズ、サルサ、ミュージカル、ロック、サンバの要素がアクセントになっているショー『イディッシュ・ラプソディ』でもイザベル・ジョルジュと共演。フェイサル・カルイ指揮ベアルン地方ポー管弦楽団の委嘱作品であるこの曲は、八重奏団と50人編成のオーケストラのために書かれたユニークな作品で、それゆえオーケストラのレパートリーとして、また室内楽のレパートリーとしても演奏可能な構成となっている。この作品は、シルバ・オクテットの3枚目のアルバムとしてナイーヴよりリリースされ、シャンゼリゼ劇場でラムルー管弦楽団と、ドイツでトリーア管弦楽団と、ザンクトペルテン祝祭劇場とウィーン楽友協会でトーンキュンストラー管弦楽団と、さらにリエージュ・フィルハーモニー管弦楽団との共演で演奏されている。
 彼らのアルバムは批評家からも高い評価を得ており、特に『Du Shtetl à New York』では、“10のレパトワ=クラシカ賞”、『TANTZ!(踊れ!)』では、EU協会のユダヤ文化賞とショック・ドゥ・クラシカ賞を受賞している。また、フランスのテレビチャンネル“フランス3”では、アラン・ドゥオー監督により彼らのドキュメンタリー『シルバ・オクテットとイザベル・ジョルジュの1日』が制作された。さらに2011年には、ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジーク・クラシックにより彼らとイザベル・ジョルジュが選出され、ジョン・アクセルロッド指揮フランス国立ロワール管弦楽団と共演した。
 フランス国内外の著名な音楽祭に定期的に招かれているほか、シャンゼリゼ劇場、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ウィーン楽友協会など、世界屈指の音楽ホールで演奏を重ねている。さらにモガドール、ルーロッピアン、ラ・シガール、エスパス・ピエール・カルダンといった劇場ではロングラン公演も行っている。2012年には、イザベル・ジョルジュと共にオランピア劇場でラジオ・クラシックス主催の音楽祭に参加。翌2013年には、レ・コレジー・ドランジュ音楽祭に登場し、その模様は“フランス3”でライブ放送された。
 編曲を担当するシリル・レーンの手腕により、彼らのレパートリーには有名曲からあまり知られていない作品まで、新たな楽曲が次々に加えられその幅を広げている。レーンがキャサリン・ララと初めて共演したプロジェクトはソニーに録音し、2012年11月にアルバム『Au cœur de l’âme Yiddish (The Spirit of the Yiddish)』としてリリースされた。このCDには、シルバ・オクテットの世界観に魅了されたララが自身の楽曲から選りすぐった8つの名曲が収められている。2013年4月には、パリのアルハンブラ劇場でこのアルバムのライブ・コンサートを2公演行った。

心から湧き起こるエネルギッシュな音楽の旅

 2015年、彼らの5枚目となるアルバム『TANTZ!』がラ・ドルチェ・ヴォルタ・レーベルより発表された。その直後には、エスパス・ピエール・カルダンでこのアルバムのコンサートを5公演行った。『TANTZ!』は、シルバ・オクテットの名手たちが彼らの超絶技巧と表現力を駆使して、踊りだすようなパフォーマンスを繰り広げる傑作である。彼らの演奏は、ルーマニアの伝統音楽“ドイナ”、ユダヤの伝統舞踏“ホーラ”、シルバなど、クレズマーやジプシー音楽を通じて聴くものを高揚させ魅了する。ルーマニア、モルドヴァ、ロシア、ハンガリーと、“TANTZ!”は国境を超え、地平線の彼方へ駆け抜けるめくるめく音楽の旅である。シルバ・オクテットの支援者である偉大なヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスは、このアルバムに推薦文を寄せている。2017年11月には、ドイツグラモフォンより2曲の新作を追加して再発盤がリリースされた。

ドイツグラモフォンより新譜発表!

 シルバ・オクテットは、ドイツグラモフォンと新たに契約を結び、新譜『シルバ・オーケストラ!』を発表した。このアルバムでは、シルバ・オクテット、オーケストラ、そしてバラライカの名手、ニコラス・ケドロフがコラボレーションしており、ジプシー・キャバレーやクレズマーの美しい名曲を収めた一枚となっている。2015年にフェイサル・カルイ指揮ベアルン地方ポー管弦楽団との共演でつくられたこのプログラムは、ポーのパレ・ボーモンでシリーズ公演が行われ、その模様はラジオ・クラシックでライブ放送された。今回、クリスティアン・アルミンク指揮リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団とケドロフと共演した『シルバ・オーケストラ!』では、新たなオーケストレーションを用いた演奏がテーマとなっており、2018年5月のドイツグラモフォンからのリリースを記念して5曲の未発表作品を収めた。このアルバムの発売直後、2018年6月にはフランスのブローニュ=ビヤンクールのラ・セーヌ・ミュージカルでコンサートを開催。さらに2019年には、フランス国内外のあらゆるオーケストラと『シルバ・オーケストラ!』の演奏を実現させた。シルバ・オクテットとバラライカ奏者のみで構成される小編成バージョン『シルバラライカ』については、2019年に詳細が発表される予定である。

クラシック・ワールド・ミュージック

 特別な感情と創造性溢れる才能によって生み出されてきた流浪の民の音楽-これまで繰り返し口ずさまれてきた東欧の旋律は、快活で色彩豊かなシルバ・オクテット独特のアレンジによって再び命を吹き込まれる。他に類を見ない規格外の活動を展開する彼らは、あらゆるジャンルを巧妙に結びつけ、オーケストラと室内楽を合体させるなどユニークなアプローチを通じてかつてないジャンル“クラシック・ワールド”を確立し、独創的な音楽世界を創出している。
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