2011.4.22(Fri)


◆ルネ・マルタンよりメッセージ:「タイタン復活!」

ラ・フォル・ジュルネ東京の改訂版プログラムが本日夕刻に発表されました。
発売日を楽しみにお待ち頂き初回のチケットをご購入くださっていたお客様には心よりお詫び申し上げます。
改訂版プログラム、および払い戻し等に関する諸手続きにつきましては、お手数をおかけいたしますが、公式ホームページをご覧ください。
【改訂版プログラム】 http://www.lfj.jp/lfj_2011/timetable/

それでは、このたびの改訂版プログラムに関するルネ・マルタンからのメッセージをご紹介させていただきます。
公演の聴きどころなどについても語っておりますので、ご参照いただけましたら幸いです。

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LFJ2011の特徴

LFJアーティスティック・ディレクター
ルネ・マルタン


「タイタン復活!」

お待たせしました!ラ・フォル・ジュルネの新たなプログラムが完成しました。
規模は縮小せざるを得ませんでしたが、有料公演だけでも全90公演、ヨーロッパからのアーティストも100人以上来日してくれることになりました。ラ・フォル・ジュルネのエスプリは揺らぎません。
紆余曲折はありましたが、震災や原発事故の衝撃を乗り越えて、タイタンたちが帰ってきます!

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの今年の冒険は、「後期ロマン派」の世界に皆さんをご案内します。ブラームスからリヒャルト・シュトラウスを経て新ウィーン楽派まで、1870年から1950年までの約80年間に生きたタイタン(巨人)たち-人間を超えた神話のタイタンにも喩えられるような巨匠たちの音楽を取り上げます。
この80年間に、ウィーンを舞台に音楽の革命が起きました。その大きな潮流がブラームスから派生しました。
ドイツ音楽の偉大な伝統に傾倒したロマン派の最後の大家ブラームスは、マックス・ブルッフマックス・レーガーをはじめとする19世紀後半の多くの作曲家や、20世紀初頭に活躍したアルノルト・シェーンベルクに、多大な影響を与えました。
同じ頃、もうひとつの重要な音楽の潮流が発展します。晩年のリストを崇拝し、「新音楽」の先導者ワーグナーの強い影響下にありながら、徹底的に音楽言語の一新を目指した潮流です。これに賛同したのが、オーストリアのブルックナー、マーラー、フーゴー・ヴォルフ、ツェムリンスキー、ドイツのリヒャルト・シュトラウスといった作曲家たちでした。
この相対する二つのドイツ音楽の潮流を統合し、20世紀初頭に新ウィーン楽派を創始したのがシェーンベルクです。彼の弟子ベルクヴェーベルンも、この新ウィーン楽派に加わりました。ブラームスの潮流と、ワーグナーやマーラー、リヒャルト・シュトラウスの潮流をそれぞれ受け継ぎつつも、独自の美学を発展させた新ウィーン楽派は、パウル・ヒンデミットハンス・アイスラーなどのドイツの作曲家たちに影響を与えました。


(1) ロマン派最後の巨匠:ブラームス

ブラームスは、ドイツ音楽の伝統を受け継ぐロマン派最後の巨匠です。彼は、過去の古典派音楽の形式美と、同時代のロマン派音楽の特徴である起伏に富んだ感情表現を、個性豊かに統合しました。ブラームスの音楽は19世紀末のヨーロッパ文化を反映し、以後の多くの作曲家たちに新しい扉を開いたのです。
LFJ2011では、
・ ブラームスの交響曲第1番[C-24b]第2番[C-344]と2曲のピアノ協奏曲第1番[C-24e]第2番[C-14c、C-34b、C-34d]ヴァイオリン協奏曲[C-14b、C-34d]ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲[C-24c、C-34d]を演奏します。
・ 室内楽曲とピアノ独奏曲の傑作をさまざまなアーティストで聴き比べができます。
・ ブラームスの才能を見出したシューマンとブラームスが生涯思いを寄せたクララ・シューマンのピアノ協奏曲が聴けるプログラム[C-141]もご用意しました。


(2) 先駆者:リスト

後期ロマン派の先駆者リストは、作曲技法を革新した音楽史にとって非常に重要な存在です。シェーンベルクに先駆けてはじめて無調の音楽を書いたのもリストでしたし、教育にも力を注ぎ、多くの作曲家を育てました。
LFJ 2011では、今年生誕200年を迎えるリストの名曲、とりわけ有名なピアノ独奏用の曲集の数々、ロ短調ソナタ[G-37b]ピアノ協奏曲第2番[C-14b、C-34d]が演奏されます。


(3) 後期ロマン派の黄金時代:ブルックナー、マーラー、シュトラウス

オーストリア出身のブルックナーは、ドイツ語圏の音楽遺産を受け継いだ最後の偉大な交響曲作家といえます。LFJ2011では交響曲第4番[C-144]7番[C-24d]の交響曲が演奏されます。またオルガン奏者で敬虔なカトリック教徒であったブルックナーは、素晴らしい合唱作品モテット[D-15f、Y-28b]を残していますので、その魅力もお伝えしたいと思います。
さて、1897年にブラームスが他界したのち、ドイツ語圏の音楽界を牛耳ったのは、マーラーとR.シュトラウスでした。マーラーは今年、没後100年を迎えます。二人はいずれも当時、第一線で活躍する名指揮者でした。また両者とも、管弦楽曲の作曲家として、常に大胆で革新的な作品を生み続けました。
マーラーの作品は、ロマン主義的なインスピレーションを元に作曲されていますが、その表現手段は非常に近代的で、19世紀から20世紀へ音楽の橋渡しをした作曲家です。ツェムリンスキー、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンらは、マーラーから強い影響を受けています。LFJ2011では交響曲第5番より映画『ヴェニスに死す』で有名になった「アダージェット」[C-24c]をお届けします。またマーラー唯一の室内楽であるピアノ四重奏曲[D-35c]や声楽作品『さすらう若者の歌』[G-17c、G-27c]『亡き子をしのぶ歌』[G-26c]『リュッケルト歌曲集』[G-17a]もお楽しみいただきます。
R.シュトラウスは、素晴らしい交響詩と声楽作品そして多くのオペラを残しています。とりわけ女性の声のために作曲することを好んだR.シュトラウスは、その驚くほど長期にわたる創作活動の中で、力強く官能的な音楽を書き続けました。LFJ2011では、彼の交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』[C-34a]『メタモルフォーゼン』(2台ピアノ版[D-251]が演奏されます。


(4) 現代音楽の誕生:新ウィーン楽派

20世紀初頭になると、シェーンベルクの登場により、音楽史上に劇的な変化が起きました。無調音楽の発明です。シェーンベルクは「新ウィーン楽派」と呼ばれる作曲家たちのリーダー的存在で、弟子のベルクとヴェーベルンがこの楽派に加わりました。シェーンベルクは、ワーグナーとマーラーから深い影響を受けながら、ブラームスの遺産を否定することなく受け継いで、作曲技法の一新と新たな音楽形式の追求を進めていきました。
今年のLFJでは、これまでLFJで取り上げられてこなかった新ウィーン楽派の作曲家たちの斬新な響きに満ちた作品を発見していただけることでしょう。
LFJ2011では、シェーンベルク『浄夜』(室内楽版[Y-18a]弦楽合奏版[C-14a]『月に憑かれたピエロ』(室内楽版[D-25b]ダンス版[C-34c]歌曲[G-17b]室内楽[G-16e、Y-28a]を演奏します。『月に憑かれたピエロ』は、LFJの歴史の中でも特筆すべき事件になることでしょう。
ヴェーベルンピアノ独奏曲[D-15b]室内楽曲[D-15d]をお届けします。


以上、巨匠たち以外にも、ブラームスの信望者でシェーンベルクとベルクに擁護されたレーガー[D-15b、D-15f、Y-18d、G-17b、Y-28b、Y-384]『葬送音楽』[C-14a]を書いたヒンデミットもご紹介します。
また、マーラーやリストが敬愛し、多くの編曲作品を書いたシューベルト交響曲第2番[C-341]リスト編曲の「さすらい人幻想曲」[C-341]も取り上げます。
どうぞご期待ください!

Friday April 22, 2011