2011.2.15(Tue)


●祝・初来日から50年!ゲヴァントハウス管 Vol.3 ~チャレンジを続ける「世界最古のシンフォニー・オケ」~

3月に東京公演を行うゲヴァントハウス管(LGO)の来日50周年を記念する当連載。Vol.3では、この「世界最古のオーケストラ」の歴史を簡単に振り返ったのち、彼らの近況をレポートしたいと思います!





<バロック時代に生まれたオーケストラ>
そもそもLGOは、J.S.バッハ&ヘンデル存命中の1743年に商人たちの出資により開かれた「コンサート愛好会」を起源とする、長~~い歴史を持つオーケストラ(1743年といえば日本は徳川吉宗の時代ですね)。オーケストラが教会や貴族のものであった当時、この「世界初の"市民による"自主経営オーケストラ」が誕生し、一般市民がチケットを買ってコンサートに行けるようになったことは、画期的でした(KAJIMOTOはゲヴァントハウス管に感謝しなくては!)。
その後、LGOはベートーヴェン、シューマン、ブルックナーらの多くの作品を初演。とりわけ1811年、ベートーヴェンの存命中にその『ピアノ協奏曲第5番「皇帝」』の世界初演を任されたことはよく知られています。ブルックナーの『第7交響曲』も彼らが初演しています。

創立当初から彼らが掲げ、ホール客席正面にも見えるオーケストラのモットーは「Res Severa Verum Gaudium(真剣なることが真の喜び)」。この魂の松明は今も明々と受け継がれています。

<メンデルスゾーンの功績>
現在の楽団のカペルマイスター(音楽監督&指揮)はリッカルド・シャイーですが、過去にはあのメンデルスゾーンもLGOのカペルマイスターを務めています(1835年~)。彼はみずからLGOを振って自作の『交響曲第3番"スコットランド"』を世界初演していますし、シューベルトの死後にシューマンが発見した『交響曲第9(8)番"ザ・グレート"』を世界初演したのも、メンデルスゾーン指揮LGOなのです!
その後は、ニキシュやフルトヴェングラー、ワルターらがカペルマイスターを務め、最近ではマズア、ブロムシュテットがカペルマイスターとしてオーケストラを率いました。
 
<シャイーとLGO―― 前回の来日を振り返る!>
LGOが、シャイーを第19代カペルマイスターに迎えたのが2005年。このコンビによる初の来日公演(2009年10月)では、驚くほど緻密に準備された完璧な、それでいて自由な精神に満ちた活気あふれる演奏(モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番&マーラー:交響曲第1番「巨人」、そしてメンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」&ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」)を披露し、満席のサントリーホールに衝撃を与えました。

その折の評をひも解いてみると、
「久しぶりに聴いたゲヴァントハウス管は楽員もすっかり若返ったようで、きわめて透明度の高い響きに驚かされた」
「この公演を全く予備知識なくブラインド・テストのようにして聴いたら、これがあのドイツの老舗オーケストラだと判る人はどのくらいいるだろうか。―― その明るくブリリアント、繊細で精妙な最弱音を聴き、その変貌もここまで見事に徹底して成し遂げられていれば、それはそれでひとつの面白さではある」
「ブルックナー『第4交響曲』は一瞬一瞬が実に愉しいものとなった。弦楽器がこれほど繊細に歌い上げる演奏を他に知らない」

<シャイーとゲヴァントハウス管の"今日この頃"―― ロンドン公演の成功と新譜>
今週末の本拠地ライプツィヒでの公演を皮切りに、「ブルックナー・プロ」と「ドヴォルザーク・プロ」を引っ提げてヨーロッパ、アジアを周るシャイー&LGO。

昨年12月は、ロンドンのバービカン・センターにも登場。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と幻想曲(交響詩)『フランチェスカ・ダ・リミニ』、レスピーギの交響詩『ローマの松』というプログラムによる公演は、ロンドンの批評家たちに好印象を与えたようです。
英国「ガーディアン」紙は、下記のような評を掲載しています(抜粋訳)。

「シャイー指揮ゲヴァントハウス管のバービカンへの登場は(中略)輝かしく見事であった。プログラムはLGOの、つまり通常オーストリア/ドイツ系のオーケストラが用意するだろうと考えられるものとは程遠いものだったが」
「レスピーギの音楽はあまり頻繁にゲヴァントハウスでは演奏されないようだが、シャイーはこれを公演の最後に配置し、スリル満点の演奏を披露した」
オーケストラを操るシャイーの腕は見事で、それはとりわけ、チャイコフスキーの幻想曲で素晴らしく発揮されていた。この作品は空虚で薄っぺらな演奏を招きやすいのだが、シャイーはこれを一つの心理劇に仕立て上げ、悲劇的なクライマックスを巧みに引き出していた
(Andrew Clements, 10年12月5日付)

最後に、シャイー&LGOの新譜をご紹介!
J.S.バッハの『マタイ受難曲』や『クリスマス・オラトリオ』というLGOならではのアルバムに続き、今度はチャイコフスキーでもなく、レスピーギでもなく、はたまたブルックナーでもなく、なんとガーシュウイン。それこそ従来のLGOのイメージとは程遠いレパートリーです。本拠地ゲヴァントハウスで昨年ライヴ録音されたこのディスクは、『ラプソディ・イン・ブルー』、『ピアノ協奏曲 へ長』、『リアルト・リップルズ』などJazzyな作品で構成されています(下記リンクから視聴できます!)。ソリストは、イタリア出身の名ジャズ・ピアニスト、ステファノ・ボラーニ。このCD、イタリアでは昨年秋にリリースされ話題沸騰、国内ポップ・チャートで堂々トップ10入りしました!

250年という歴史を真摯に受け継ぎながら、各地で挑戦を続けるシャイー指揮ゲヴァントハウス管。東京で披露する"十八番"のブルックナー、ドヴォルザークの熱演に、今から期待が高まります!


シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 東京公演
視聴「ステファノ・ボラーニ&リッカルド・シャイー/ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー 他」 (ユニバーサル・クラシックス)



ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 プロフィール
リッカルド・シャイー (指揮) プロフィール
レオニダス・カヴァコス (ヴァイオリン) プロフィール


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Tuesday February 15, 2011