2008.12. 1(Mon)


★ワレリー・ゲルギエフ プロコフィエフ・シンポジウム レポート

 11/30(日)、サントリーホールでゲルギエフ率いるロンドン交響楽団の「プロコフィエフ・チクルス」がいよいよ始まりました。


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 初日の公演の後には、シンポジウムが行われ、ゲルギエフがプロコフィエフについて熱く語ってくれました。
 マエストロの話が熱く続くため、通訳さんがなかなか間に入れない場面もあったほど。お集りくださったお客さま方は、これから数日にわたり聴いていくプロコフィエフの交響曲について、熱心に耳を傾けておられました。

 シンポジウムに残念ながらご参加いただけなかった皆さまのために、ワタクシ、必死でメモを取ってまいりました。以下は抜粋ですが、明日からの公演をお聴きいただく際のご参考になれば幸いです。

_DSC3248.jpg 撮影: 林 喜代種

 このチクルスは、重要かつパワフルでエキサイティングなものとなるでしょう。
 プロコフィエフの交響曲は、第4番が2種類あるので、計8曲あると言ってよいと思います。
 偉大なシンフォニーについては、ベートーヴェンやブラームスなど、これまでに幾度となくチクルスが行われてきました。そろそろプロコフィエフに目を向けてもよいのではないでしょうか。

 プロコフィエフの音楽はドラマチックな力を強く持っていて、特に、バレエやオペラでそれを強く感じます。交響曲も彼の作曲人生の中で重要なジャンルですが、何と言っても本領は劇場のための作品にあります。プロコフィエフは「ロメオとジュリエット」を書いた作曲家である、とさえ言えるでしょう。
 これは、チャイコフスキーやグノーなどについても同様で、彼らにとっては、劇場のための作品以外にも交響曲という重要な作品を残した、という位置づけになるのではないでしょうか。

 プロコフィエフの音楽について語る時、忘れていけないのは、彼が"ロシア生まれ"であるということ。
 彼が住んでいたサンクトペテルブルクでは、グラズノフやストラヴィンスキーがすでに活躍していて、プロコフィエフ自身も、音楽・芸術・文学などの文化人のグループのトップにすぐ上り詰めました。
ストラヴィンスキーの「火の鳥」からも分かるように、当時は大きな音楽的革命の時でした。しかし、プロコフィエフが書いた最初の交響曲はあえて正統派の古典的なスタイルを用い、世間を驚かせ、そしてたちまち好評を博しました。
 指揮者がコンサートのプログラムを考えるにあたって、まずこの短い交響曲を演奏し、次に大きな現代曲を続け、休憩をはさんで自分の好きな曲を取り上げるというのが一般的なパターンです。
 交響曲第2番は、第1番を書き上げて間もなく発表されました。これほど短い時間でこれほどの音楽的な成長を見せた驚くべき作品です。

_DSC3266.jpg 撮影: 林 喜代種

 今回のチクルスで私が主張したいのは、プロコフィエフの作品では美しいメロディが重要であるということ。騒がしい音楽だと言われる2番の中にさえも、大変美しいメロディがあります。
 ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲、映画音楽、ソナタなどにも美しいメロディがたくさんありますが、中でも最も美しいのは「ロメオとジュリエット」ではないかと思っています。

_DSC3260.jpg 撮影: 林 喜代種

 交響曲第7番の最後には、チェロによる哀愁を帯びたメロディが出てきます。彼が人生でくぐり抜けてきた全てのアーチが見える曲です。
 ベートーヴェンやショスタコーヴィチの最後の交響曲のように、特別な存在なのです。作曲家はこれが最後の曲になるということを自然と意識するものなのでしょうか?

 プロコフィエフは、子供の部分を生涯失わなかった作曲家であり、シンプルで美しいモーツァルトに一番近い作曲家です。
 ロンドン交響楽団によるプロコフィエフを存分に堪能していただきたいと思います。

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 プロコフィエフ・チクルスの冒頭に、「ピーターと狼」と「ロメオとジュリエット」による公演を置いたのは、「美しいメロディ」を重視したプロコフィエフの、交響曲を聴く前の序章として、とてもふさわしいプログラミングだったのだと納得しました。
 明日から本格的に始まるプロコフィエフ・チクルス、ゲルギエフの語ったことと重ねあわせながら聴いてみようと思います。

 「重要かつパワフルでエキサイティング」なチクルスを、ゲルギエフ/ロンドン交響楽団とともに楽しみましょう。

[ゲルギエフ/ロンドン交響楽団 サントリーホール公演情報はこちら]
当日券もございます。

Monday December 1, 2008