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© 武藤章 |
昨年、日本人初となるシューマンのピアノ曲全曲録音シリーズ「シューマニアーナ」を完成させたピアニストの伊藤恵。その伊藤がシューマンに続く新たな挑戦として、シューベルトを中心とした意欲的な活動を展開しています。
リサイタルではシューマンを中心に1999年から2006年まで続けられた8年連続シリーズ「春をはこぶコンサート」も今年から第2章がスタート、2015年までの新シリーズ(全8回)ではシューベルトを中心にしたプログラムが計画されています。この4月に開催されたシリーズの第1回公演ではシューベルトの遺作3曲を演奏、絶賛されました。
この公演に合わせ、「シューマニアーナ」に続く録音プロジェクト、CD「シューベルト ピアノ作品集」の第1作がフォンテックより発売されました。ここにはシューベルト最晩年の3つの遺作ソナタから「ソナタ 第19番 ハ短調 D958」、21歳の時に書かれた愛らしい傑作「ソナタ 第13番 イ長調 D664」、人気の高い名曲「さすらい人幻想曲」の3曲が収録されています。
わずか5歳の頃より、最愛の伯母から与えられたフィッシャー=ディースカウの「冬の旅」のレコードを愛聴してきた伊藤にとってシューベルトは常に身近な存在でした。また、今回のCDに収録された遺作のソナタ(第19番)はミュンヘン国際コンクール優勝の際に演奏した思い出深い曲でもあります。ヨーロッパ留学中、偉大なるシューベルト演奏家ブレンデルのシューベルト全曲リサイタルに接し、死と隣り合っているかのようなあまりにも厳しいシューベルトの世界に若き伊藤は衝撃を受け、自らはシューベルトを公の場で弾くことを封印しました。その伊藤が20余年の歳月を経た今、満を持して自らの封印を解き放ちました。このCDはその第一歩となる記念碑的なディスクです。
伊藤が愛してやまないシューマンが常に憧れ続けたシューベルト。そのシューマンの夢をシューマニアーナの伊藤は現代に引き継いでいくことでしょう。シューマンの憧れ、シューベルトの夢、生と死の時間…。「シューベルトはおいそれと触れてはいけない大切な宝です」と語る伊藤の新しいステージがはじまります。伊藤恵の今後の活躍にご期待ください。
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