大野和士 フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者に就任

フランス国立リヨン歌劇場(写真) 現ベルギー王立歌劇場音楽監督の大野和士(47)が、2008年9月1日より、フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者に就任する。任期は5年。フランスの国立歌劇場における日本人指揮者任命は初めて。同劇場総支配人セルジュ・ドルニー氏(45)による「開かれたオペラハウス」という理念のもと、現在、欧州で最も若者の観客数が多く、あらゆる階層が集まる革新的な劇場として、国際的に注目を浴びている。大野の先任者にあたるJ.エリオット・ガーディナー氏が育んだバロック、古典音楽の伝統を始め、ベルリン国立歌劇場、アムステルダム歌劇場との提携による新作共同委嘱シリーズの立ち上げなど、多彩で意欲的なレパートリーを誇る劇場でもある。


 大野和士は同劇場就任以降、プロコフィエフ「賭博師」、ベルク「ルル」、プッチーニ「マノン・レスコー」、ワーグナー「パルジファル」などを指揮。また、2010年、2011年には2年連続で、エクス・オン・プロバンス音楽祭に招待されるほか、国際的なツアーも予定されている。


 ドルニー氏は「メトロポリタン歌劇場、スカラ座、ベルリン・ドイチェオパーなど、国際的な舞台での活躍が今後も予定されている大野氏のため、劇場運営の事務も職務に含まれる音楽監督ではなく、音楽面だけに集中できる首席指揮者というポストを、今回特別に新設した」と話している。

 
大野和士 (指揮)
 

大野和士 プロフィール

 
フランス文化広報大臣 クリスティーヌ・アルバネル氏 コメント

「大野和士氏の2008年9月1日からの国立リヨン歌劇場首席指揮者就任任命を、心より歓迎しております。
私自身、オーケストラの質の高さを知っておりますので、楽団員の皆さんのためにも、今回の任命を喜んでおります。偉大な指揮者、音楽家、劇場人である大野氏とオーケストラは、必ずや芸術的でプロフェッショナルな強い絆を築いていくと確信しております。また、今回の任命は、国立リヨン歌劇場が国際的に活躍する著名人を惹きつけることができるという証、劇場の創造性、影響力の広がりが、これからますます増していくという証明ですので、劇場のためにも喜んでおります。
そして最後に、建築家ヌーヴェル(注)による美しいオペラハウスに入る観客の皆さんのためにも嬉しく思います。この建物がさらに、音楽的な好奇心をそそる精神が宿る場所となるのですから。
ここで国立リヨン歌劇場総支配人であり、才能、企画力に溢れる逸材であるセルジュ・ドルニー氏が、大野和士氏との独創的なコラボレーションによって、多彩なオペラ製作やフェスティバルへの参加を共にすることを考えつかれたことに、祝意を表します。

親愛なる大野和士さん。あなたのような偉大な音楽家であり、実現したこのコラボレーションの成果と進化を、好奇心と共感を持って遂行していく人物を、喜んで迎える国にようこそいらっしゃいました。」

注 : 建築家 ジャン・ヌーヴェル
フランスを代表する建築家。最近オープンしたケ・ブランリー美術館、アラブ世界研究所などパリ市の名物となった建築のほか、日本では電通汐留本社ビルなどを手がける。「歴史と現代性の対話」をモットーにして、1993年にヌーヴェルによって改築された国立リヨン歌劇場のユニークな建物は、劇場の方針の象徴ともなっている。 

 
フランス国立リヨン歌劇場(写真) フランス国立リヨン歌劇場(写真) フランス国立リヨン歌劇場(写真)

国立リヨン歌劇場総支配人 セルジュ・ドルニー氏 コメント

「大野和士氏のキャリアに注目し、公演を見るようになって数年になりますが、オペラ、シンフォニーコンサートの両方で、素晴らしく際立った演奏の想い出がいくつも残っております。大野氏の指揮者としての才能は、音楽を構築するための奥の深い感覚と、自然なオーソリティーとカリスマにあり、それがオーケストラに自らの色彩とクオリティーを引き出させるところにあります。氏のレパートリーの幅広さと多様さは、(古典から現代の初演、そして19世紀の演目はもちろんのこと)、大野氏の飽くことのない興味と豊かな才能の証です。その一例が、パリ・シャトレ座でストライキによる公演中止を避けるため、彼が本来なら大編成のオーケストラを必要とするヘンツェ作曲の「バッサリーズ」を、20数人の編成に急遽編曲した事件です。大野氏は公演を慣行しただけでなく、この傑作の大胆な音楽の翻訳をしてみせたのです。
我々が重ねてきた数々の話し合いの中で、私が感銘を受けたのは、彼の決断力と責任感が音楽だけでなく、劇場の芸術的、文化的なプロジェクト全般 (芸術的な質の高さ、芸術への近づきやすさ、開かれた視野)にまで向けられていることです。この資質は彼を劇場の有能な大使とするでしょう。これはまさに、私が過去4年間に推進してきた戦略に合致した資質です。
今日、我々は首席指揮者として理想的なパートナーである大野和士とともに、新たに画期的な局面を迎えました。このタイトルを超越し、彼は共通の価値観と一流の芸術的、文化的プロジェクトを共有するパートナーとなります。大野和士と仕事をできることを大変喜んでおります。」

フランス国立リヨン歌劇場総支配人 セルジュ・ドルニー氏経歴
1962年ベルギー生まれ。1982年ゲント大学にて美術史・考古学修士号取得。1983年ゲント王立音楽院にて音楽学位取得。1984年音楽学修士号取得。1985年ゲント大学にてマスコミュニケーション修士号取得。1985年から1987年まで、ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)にて総支配人ジェラール・モルティエのもと、ドラマトゥルグを務める。1987年から1997年までフランダース・フェスティバルの芸術監督。1996年より2004年まで、ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラのチーフ・エクゼキュティブ兼芸術監督。2003年より現職。

フランス国立リヨン歌劇場

(2007.11.22)




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