2012.2.28(Tue)


●ショスタコーヴィチ・プロジェクトまで待てない!その2「2007年の思い出」


5年ぶりに日比谷公会堂で行われる「ショスタコーヴィチ・プロジェクト」。今回は交響曲第14番(と、シチェドリン:「カルメン」組曲)だけですが、前回2007年には8回のコンサートで15曲の交響曲すべてが、サンクトペテルブルク響、広島響、東京フィル、名古屋フィル、新日本フィルによって演奏されました。





あの時は秋で、日比谷公園の銀杏があざやかな黄色に染まる中、公会堂に通ったのをよく覚えています。全公演通って下さった方も結構いましたね。
私ももちろん仕事を兼ね、全公演聴くぞ!と意気込んでおりましたが、他の業務も数多く重なる秋シーズン、それは難しく、結局5公演・・・第1、2、3、7、9、10、11、12、13、14番を聴くにとどまりました。その中で特に印象深かったのは「第7番レニングラード」、「第13番バビ・ヤール」、「第14番」です。


「第7番・レニングラード」の公演日、予定ではこれ1曲のみでした(長いですからね)。しかし井上道義さんの希望で、マエストロがその寸前(?)に「第1番」を指揮した千葉少年少女オーケストラが、急遽前半にその「第1」を演奏することになりました。これが驚くほど素晴らしい演奏で、何で子供たちこんなに上手いの!?・・・こんな高度な演奏できるの!?と度胆を抜かれました。
これはその直後「第7」を演奏するサンクトペテルブルク響のメンバーにとっても同じ気持ちだったようで、休憩中楽屋裏で少年少女メンバーとのにこやかな交流の後、後半の彼らの灼熱の演奏、その凄い充実ぶりといったら!! 子供たちに相当触発されたのでしょうし、また、このオーケストラにとって「第7」は、かつて第2次大戦中、ドイツ軍に完全包囲されたレニングラード(現サンクトペテルブルク)で、最後まで逃げずにこの曲を演奏し続けた、という誇りある音楽です。その想いは余りあるものがありました。

ところで、このプロジェクトの中心は言うまでもなく井上道義さん道義さんの指揮する、特にマーラーとショスタコーヴィチは、ファンの方々はよくご存じと思いますし、一度でもお聴きになったらおわかりいただけると思うのですが、ある種のエモーショナルな生々しさ、赤裸々な魂の告白、とでも言えばよいのでしょうか、近年の若手指揮者によるマーラー、ショスタコーヴィチとは一線を画した風があります。あえていえばあのバーンスタインのような・・・。
だからショスタコーヴィチのような、社会の恐怖に押しつぶされそうな、でも強い魂をもった音楽がすごく強く心に訴えてきます。またそれだからこそ、道義さんはこうしたプロジェクトをやりたかったのだな、と納得しましたし、そして事実、連日そうした演奏が連続したのだと思っています。


さて、最後に会場の日比谷公会堂について。
昔、まだコンサート専用ホールはおろか、普通にホールがなかった頃、クラシック音楽の殿堂はここでした。そして2007年の「ショスタコーヴィチ・プロジェクト」以来、再び脚光があたっています。
アコースティックは正直、相当デッドです。しかしながら、このプロジェクト当時に多くの方が言っていた通り、そのごまかしのない?(残響がきわめて少ない)音響が、ショスタコーヴィチのひりっと辛い、厳しい音楽にマッチし、それを引き立ててくれました。最初は本当に正直戸惑うのですけどね――"バン!"と音が鳴るとすぐ響きが消えます―― でもすぐ慣れて、そう感じるようになってくると思います。

それにやっぱり古き良き時代の建物はいいなぁ・・・と思うのですが、作りが瀟洒で、特に客席の雰囲気がいいんです。レトロ。2F席から見ると、どういうわけかステージがすぐ目の前に広がり、何かカーネギーホールのような気すらしてきます。





長々とりとめなく書きましたが、今回のショスタコーヴィチ「第14交響曲」。曲も演奏も会場の雰囲気も丸ごとひっくるめて、なかなかできない深い体験をしていただけたら、と願っております。
一人でも多くの方のご来場をお待ちしております。


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井上 道義 プロフィール
オーケストラ・アンサンブル金沢 公式サイト


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Tuesday February 28, 2012