2012.2.24(Fri)


●ショスタコーヴィチ・プロジェクトまで待てない!その1「交響曲第14番のこと」


5年ぶりに伝説の、井上道義指揮「ショスタコーヴィチ・プロジェクト」が帰ってきます!それも同じ日比谷公会堂で。
この5年前のプロジェクト―― ショスタコーヴィチ交響曲全曲チクルスは今でも生々しい思い出として脳裏にありますが、そのあたりのことは次回にして、今回はメイン曲であるショスタコーヴィチ「交響曲第14番」のことを。



あ、ところでチラシには表記できなかったのですが、当日は字幕付きの演奏です。配布プログラムにももちろん歌詞対訳が付きます。(両方とも訳は一柳富美子さんです)

この最後から2番目の交響曲、以前は「死者の歌」というサブタイトルがついていましたが、作曲者自らがつけたものではない、ということで今はあまり使われていません(今回も敢えてとっています)。ただこういう呼び名がつくのももっともで、ショスタコーヴィチ晩年の死への思索―― とはいえ、彼は若い頃から「ソ連」という特殊な社会に生きていたことと、頑 健でない身体もあっていつも「死」を意識していましたが―― が色濃く出ている作品です。
構成も、やはり死生観をうたったマーラー「大地の歌」に似ていて、ソプラノとバスによる管弦楽付歌曲のような様相をもち、全11楽章が交互に(または一緒に)歌われます。

この歌詞がまた凄いというか何というか・・・。スペインのガルシア・ロルカや、フランスのギョーム・アポリネール、ドイツのリルケら当代一流の詩人の詩のロシア語訳が中心になっていて、"死の匂い"がとてもアイロニカルに描かれ、音楽もそれと軌を一にします。(そんなところもマーラーに似ている)

例えば第2楽章「マラゲーニャ」(詩:ロルカ)。
―― 死神が酒場に入ってきて、そして出て行った (中略) 去りかけてはまたやってくる!かくして死神は去ろうとしても 酒場から決して出て行かない ――

とか

第7楽章「ラ・サンテ監獄にて」(詩:アポリネール)
―― 神よ ご存知でしょう この牢獄の屋根の下 一体幾つの魂が苦しみもがいているか!(中略) 全ては静寂の中 部屋の中にはたった2人 僕と僕の理性だけ ――
など。

こういった詩を基に、真剣なのか諧謔的なのかわからないようなないまぜに、人の根源的な哀しみを抉り出すような音楽を作りだすショスタコーヴィチは紛れもなく天才ですね。でもそれはさぞや苦しい行為だったことでしょう。
前回のプロジェクトの時も、怖いような、それなのにどういうわけかこの理不尽さに気持ちが馴染んで行ってしまうような、変な感覚になったことを覚えています。全曲の中でも特に印象の強い公演の1つでした。(前回のオーケストラは広島交響楽団)

ショスタコーヴィチは私たち現代人の閉塞心理を代弁してくれているのかも。




ぜひ、皆様もこの音楽を実演で体験してみて下さい。多くの方々に来ていただけることを願っています。


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井上 道義 プロフィール
オーケストラ・アンサンブル金沢 公式サイト


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Friday February 24, 2012