2011.9.21(Wed)
●イ・ムジチ豆マメ知識Part7:作曲家バカロフと「イル・ポスティーノ」
アカデミー作曲賞を受賞した3人の作曲家―ルイス・バカロフ、エンニオ・モリコーネ、坂本龍一―が、今回の「イ・ムジチ結成60年」を記念して新曲/新編曲を書き上げたことは、これまでお伝えしてきたとおりです。
そもそも世界初の実写映画が制作&公開されたのはフランス(1895年/リヨン出身のリュミエール兄弟による「工場の出口」)ですが、イタリアが映画国となった大きな理由の一つが、1937年に完成した「チネチッタ」でした。
「チネチッタ」は、ローマ郊外に建設された映画撮影所。規模はイタリア最大で、ハリウッドに匹敵するよう構想されただけあって、ヨーロッパでも指折りの大きさを誇ります。敷地内で撮影ができるほか、編集もできてしまうこのスタジオで、巨匠フェリーニ監督の「甘い生活」「道」、ヴィスコンティ監督の「白夜」「山猫」などイタリア映画の代名詞ともいえる歴史的な作品が制作されてきました。最近でも、キリストの受難を生々しく表現して世界中で賛否両論を巻き起こした「パッション」(2004/メル・ギブソン監督)や、織田裕二さん主演の「アマルフィ 女神の報酬」(2009年)などがこの「チネチッタ」で撮影されています。

写真:チネチッタ(http://www.cinecittastudios.it/より)
さてさて。
本連載では3度にわたり、モリコーネが作曲した映画をご紹介してまいりましたが、本日はバカロフについてお話したいと思います!
ルイス・バカロフは、1933年アルゼンチン生まれ(1928年生まれのモリコーネとほぼ同世代ですね)。本名はルイス・エンリケス・バカロフ。あれ?イタリアーンなイ・ムジチ軍団とは何のつながりあるのかしらん?と疑問に思われた方、実はバカロフはヨーロッパを点々とした末に1950年代終わりにイタリアに拠点を移し、イタリア国籍を取得しています。
5歳で音楽を始め、ティーンの頃からピアニストとしても活躍していたバカロフが映画音楽作曲の分野でも名を揚げるようになったのが、1970年代。モリコーネと同じくマカロニ・ウェスタン(=イタリアで制作された西部劇)の音楽を手がけ、とりわけバカロフが音楽を担当したコルブッチ監督の「続・荒野の用心棒」は世界中で大ヒットしました。

写真:「続・荒野の用心棒」
その後、バカロフはパゾリーニ監督の「奇跡の丘」でアカデミー賞に初めてノミネートされます。またイタリアが誇る大俳優マストロヤンニが主演した奇想天外な「女の都」(1980/フェリーニ監督)でも音楽を担当し、高い評価を得たのでした。
そして、バカロフがついにアカデミー賞作曲賞(劇映画音楽部門)を受賞した作品が、「イル・ポスティーノ」。1994年に制作されたこの名映画は、イタリアの小村で郵便配達員として働く純朴な青年が、チリから亡命してきた大詩人との交流を通じて詩の美しさに目覚め、「言葉」に秘められた無限の可能性に魅せられていくというストーリー。
ちなみにこの大詩人を演じたフィリップ・ノワレは、「ニュー・シネマ・パラダイス」でも主役級の大役(映写技師のおじいさんアルフレード)を演じたフランス出身の名俳優です。
「イル・ポスティーノ」は、映像の美しさ(イタリアの透き通った蒼い海)、主演マッシモ・トロイージの文字通り命をかけた名演(彼は心臓病を患っており、撮影の数時間後に亡くなりました)、そしてバカロフの旋律美に満ちた名音楽により、ヨーロッパはもとより日本やアメリカでも大成功を収めました(英アカデミー賞外国語映画賞と日本アカデミー外国作品賞に輝いています)。

写真:「イル・ポスティーノ」サウンドトラック
ちなみに、バカロフと映画音楽の関係といえば、イタリアの血を引くタランティーノ監督の「キル・ビル」も忘れてはいけませんね!「キル・ビルVol.1」(2003) ではバカロフ作曲の「The Grand Duel (Parte Prima)」、「キル・ビルVol.2」(2004)では同じくバカロフ作曲の「Summertime Killer」がそれぞれ挿入曲として使用されています。
バカロフが今回、イ・ムジチのために新たに作曲した作品のタイトルは「合奏協奏曲 イ・ムジチ結成60年記念作品 Concerto Grosso for I Musici's 60th Anniversary」。
映画音楽のみならず、合唱曲や交響作品、タンゴ・オペラ、カンツォーネ、ロック・ミュージシャンとのコラボレーションなど多彩な作曲活動を展開してきたバカロフの"新作"に、ご期待ください。
明日は柴田克彦さんの連載「イ・ムジチの春夏秋冬」の最終回~冬~をお贈りします。
そして次回の「豆マメ知識」では、いよいよ坂本龍一教授と映画「ラスト・エンペラー」に迫ってみたいとおもいます!!
お楽しみに!
【イ・ムジチの「オスカー」公演】
■10月2日(日) 15:00 秋田/秋田アトリオン音楽ホール
【問】秋田アトリオン事業部 018-836-7803
■10月4日(火) 19:00 新潟/りゅーとぴあ コンサートホール(新潟市民芸術文化会館)
【問】TeNYチケット専用ダイヤル 025-281-8000
■10月7日(金) 19:00 岡山/岡山シンフォニーホール
※おかやま国際音楽祭2011
【問】岡山シンフォニーホールチケットセンター 086-234-2010
■10月9日(日) 14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール
【問】ABCチケットセンター 06-6453-6000
■10月12日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960 → チケットのお申し込み
■10月14日(金) 19:00 栃木/栃木県総合文化センター メインホール
【問】栃木県総合文化センター プレイガイド 028-643-1013
■10月15日(土) 18:30 熊谷/熊谷文化創造館 さくらめいと
【問】さくらめいとチケットセンター 048-532-9090
■10月19日(水) 19:00 佐賀/佐賀市文化会館
【問】佐賀市文化会館 0952-32-3000
■10月21日(金) 19:15 三鷹/三鷹市芸術文化センター 風のホール
【問】三鷹市芸術文化センター チカットカウンター 0422-47-5122
■10月23日(日) 15:00 豊田/豊田市コンサートホール
【問】豊田市コンサートホール事務所 0565-35-8200
■10月26日(水) 19:00 盛岡/盛岡市民文化ホール 大ホール
【問】盛岡市民文化ホール 019-621-5100
曲目 :
バカロフ(1996年アカデミー賞作曲賞受賞):合奏協奏曲 ~イ・ムジチ結成60年記念作品~
モリコーネ(2007年アカデミー賞名誉賞受賞):『組曲』 ~イ・ムジチ結成60年を祝して~
「カジュアリティーズ」より メインテーマ
「海の上のピアニスト」より 愛を奏でて
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より デボラのテーマ
「ミッション」より ガブリエルのオーボエ
坂本龍一(1988年アカデミー賞作曲賞受賞):「ラストエンペラー」テーマ ~イ・ムジチ結成60年のために~
***
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8
→ イ・ムジチ合奏団 プロフィール
【イ・ムジチ合奏団 関連記事】
・ 祝・結成60年ツアー。永遠のイ・ムジチ、今秋来日公演! (2011.6.1)
・ 新連載!「イ・ムジチの春夏秋冬」 ~春~ イ・ムジチ基礎編 (2011.9.1)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part1:メンバーたちの使用楽器~ヴァイオリン軍団編~ (2011.9.5)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part2:メンバーたちの使用楽器~後編~ (2011.9.7)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~夏~ なぜイ・ムジチはブレイクしたのか? (2011.9.8)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part3:イ・ムジチ軍団の大世界旅行 (2011.9.11)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part4:モリコーネ×『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 (2011.9.14)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~秋~ 歴代コンマスによる「四季」の変遷 (2011.9.15)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part5:モリコーネ×『ミッション』 (2011.9.16)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part6:モリコーネ×『海の上のピアニスト』 (2011.9.21)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~冬~ その功績とエピソード!柿好きのイ・ムジチ!? (2011.9.22)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part8:坂本龍一「ラストエンペラー」新編曲、10/1世界初演!! (2011.10.1)
・ イ・ムジチ、ツアー開始!坂本龍一「ラストエンペラー」新編曲の世界初演も成功! (2011.10.3)
・ イ・ムジチ、全国ツアー順調!チェチーリア管公演にも出没!? (2011.10.9)
・ イ・ムジチ一行、全国をお邪魔しております!~ツアー・レポート~ (2011.10.18)
そもそも世界初の実写映画が制作&公開されたのはフランス(1895年/リヨン出身のリュミエール兄弟による「工場の出口」)ですが、イタリアが映画国となった大きな理由の一つが、1937年に完成した「チネチッタ」でした。
「チネチッタ」は、ローマ郊外に建設された映画撮影所。規模はイタリア最大で、ハリウッドに匹敵するよう構想されただけあって、ヨーロッパでも指折りの大きさを誇ります。敷地内で撮影ができるほか、編集もできてしまうこのスタジオで、巨匠フェリーニ監督の「甘い生活」「道」、ヴィスコンティ監督の「白夜」「山猫」などイタリア映画の代名詞ともいえる歴史的な作品が制作されてきました。最近でも、キリストの受難を生々しく表現して世界中で賛否両論を巻き起こした「パッション」(2004/メル・ギブソン監督)や、織田裕二さん主演の「アマルフィ 女神の報酬」(2009年)などがこの「チネチッタ」で撮影されています。

写真:チネチッタ(http://www.cinecittastudios.it/より)
さてさて。
本連載では3度にわたり、モリコーネが作曲した映画をご紹介してまいりましたが、本日はバカロフについてお話したいと思います!
ルイス・バカロフは、1933年アルゼンチン生まれ(1928年生まれのモリコーネとほぼ同世代ですね)。本名はルイス・エンリケス・バカロフ。あれ?イタリアーンなイ・ムジチ軍団とは何のつながりあるのかしらん?と疑問に思われた方、実はバカロフはヨーロッパを点々とした末に1950年代終わりにイタリアに拠点を移し、イタリア国籍を取得しています。
5歳で音楽を始め、ティーンの頃からピアニストとしても活躍していたバカロフが映画音楽作曲の分野でも名を揚げるようになったのが、1970年代。モリコーネと同じくマカロニ・ウェスタン(=イタリアで制作された西部劇)の音楽を手がけ、とりわけバカロフが音楽を担当したコルブッチ監督の「続・荒野の用心棒」は世界中で大ヒットしました。

写真:「続・荒野の用心棒」
その後、バカロフはパゾリーニ監督の「奇跡の丘」でアカデミー賞に初めてノミネートされます。またイタリアが誇る大俳優マストロヤンニが主演した奇想天外な「女の都」(1980/フェリーニ監督)でも音楽を担当し、高い評価を得たのでした。
そして、バカロフがついにアカデミー賞作曲賞(劇映画音楽部門)を受賞した作品が、「イル・ポスティーノ」。1994年に制作されたこの名映画は、イタリアの小村で郵便配達員として働く純朴な青年が、チリから亡命してきた大詩人との交流を通じて詩の美しさに目覚め、「言葉」に秘められた無限の可能性に魅せられていくというストーリー。
ちなみにこの大詩人を演じたフィリップ・ノワレは、「ニュー・シネマ・パラダイス」でも主役級の大役(映写技師のおじいさんアルフレード)を演じたフランス出身の名俳優です。
「イル・ポスティーノ」は、映像の美しさ(イタリアの透き通った蒼い海)、主演マッシモ・トロイージの文字通り命をかけた名演(彼は心臓病を患っており、撮影の数時間後に亡くなりました)、そしてバカロフの旋律美に満ちた名音楽により、ヨーロッパはもとより日本やアメリカでも大成功を収めました(英アカデミー賞外国語映画賞と日本アカデミー外国作品賞に輝いています)。

写真:「イル・ポスティーノ」サウンドトラック
ちなみに、バカロフと映画音楽の関係といえば、イタリアの血を引くタランティーノ監督の「キル・ビル」も忘れてはいけませんね!「キル・ビルVol.1」(2003) ではバカロフ作曲の「The Grand Duel (Parte Prima)」、「キル・ビルVol.2」(2004)では同じくバカロフ作曲の「Summertime Killer」がそれぞれ挿入曲として使用されています。
バカロフが今回、イ・ムジチのために新たに作曲した作品のタイトルは「合奏協奏曲 イ・ムジチ結成60年記念作品 Concerto Grosso for I Musici's 60th Anniversary」。
映画音楽のみならず、合唱曲や交響作品、タンゴ・オペラ、カンツォーネ、ロック・ミュージシャンとのコラボレーションなど多彩な作曲活動を展開してきたバカロフの"新作"に、ご期待ください。
明日は柴田克彦さんの連載「イ・ムジチの春夏秋冬」の最終回~冬~をお贈りします。
そして次回の「豆マメ知識」では、いよいよ坂本龍一教授と映画「ラスト・エンペラー」に迫ってみたいとおもいます!!
お楽しみに!
【イ・ムジチの「オスカー」公演】
■10月2日(日) 15:00 秋田/秋田アトリオン音楽ホール
【問】秋田アトリオン事業部 018-836-7803
■10月4日(火) 19:00 新潟/りゅーとぴあ コンサートホール(新潟市民芸術文化会館)
【問】TeNYチケット専用ダイヤル 025-281-8000
■10月7日(金) 19:00 岡山/岡山シンフォニーホール
※おかやま国際音楽祭2011
【問】岡山シンフォニーホールチケットセンター 086-234-2010
■10月9日(日) 14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール
【問】ABCチケットセンター 06-6453-6000
■10月12日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960 → チケットのお申し込み
■10月14日(金) 19:00 栃木/栃木県総合文化センター メインホール
【問】栃木県総合文化センター プレイガイド 028-643-1013
■10月15日(土) 18:30 熊谷/熊谷文化創造館 さくらめいと
【問】さくらめいとチケットセンター 048-532-9090
■10月19日(水) 19:00 佐賀/佐賀市文化会館
【問】佐賀市文化会館 0952-32-3000
■10月21日(金) 19:15 三鷹/三鷹市芸術文化センター 風のホール
【問】三鷹市芸術文化センター チカットカウンター 0422-47-5122
■10月23日(日) 15:00 豊田/豊田市コンサートホール
【問】豊田市コンサートホール事務所 0565-35-8200
■10月26日(水) 19:00 盛岡/盛岡市民文化ホール 大ホール
【問】盛岡市民文化ホール 019-621-5100
曲目 :
バカロフ(1996年アカデミー賞作曲賞受賞):合奏協奏曲 ~イ・ムジチ結成60年記念作品~
モリコーネ(2007年アカデミー賞名誉賞受賞):『組曲』 ~イ・ムジチ結成60年を祝して~
「カジュアリティーズ」より メインテーマ
「海の上のピアニスト」より 愛を奏でて
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より デボラのテーマ
「ミッション」より ガブリエルのオーボエ
坂本龍一(1988年アカデミー賞作曲賞受賞):「ラストエンペラー」テーマ ~イ・ムジチ結成60年のために~
***
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8
→ イ・ムジチ合奏団 プロフィール
【イ・ムジチ合奏団 関連記事】
・ 祝・結成60年ツアー。永遠のイ・ムジチ、今秋来日公演! (2011.6.1)
・ 新連載!「イ・ムジチの春夏秋冬」 ~春~ イ・ムジチ基礎編 (2011.9.1)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part1:メンバーたちの使用楽器~ヴァイオリン軍団編~ (2011.9.5)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part2:メンバーたちの使用楽器~後編~ (2011.9.7)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~夏~ なぜイ・ムジチはブレイクしたのか? (2011.9.8)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part3:イ・ムジチ軍団の大世界旅行 (2011.9.11)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part4:モリコーネ×『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 (2011.9.14)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~秋~ 歴代コンマスによる「四季」の変遷 (2011.9.15)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part5:モリコーネ×『ミッション』 (2011.9.16)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part6:モリコーネ×『海の上のピアニスト』 (2011.9.21)
・ 連載「イ・ムジチの春夏秋冬」~冬~ その功績とエピソード!柿好きのイ・ムジチ!? (2011.9.22)
・ イ・ムジチ豆マメ知識Part8:坂本龍一「ラストエンペラー」新編曲、10/1世界初演!! (2011.10.1)
・ イ・ムジチ、ツアー開始!坂本龍一「ラストエンペラー」新編曲の世界初演も成功! (2011.10.3)
・ イ・ムジチ、全国ツアー順調!チェチーリア管公演にも出没!? (2011.10.9)
・ イ・ムジチ一行、全国をお邪魔しております!~ツアー・レポート~ (2011.10.18)










