2009.2. 2(Mon)
●ハイティンク&シカゴ交響楽団東京公演初日を聴いて
2月に入り、寒さもより一層厳しくなる中
いよいよ待望の、ベルナルト・ハイティンク指揮シカゴ交響楽団の来日公演が始まりました
いつもなら、「こちら現場です」のコ-ナーで担当者のレポートに委ねるところ、今回は僕も客席で聴くことができたのでこちらの「きまぐれ日記」で僕自身が書くことにしました
現場の写真がないのが残念ですが、ほぼ満席のお客様の期待がひしひしと、開演前のプログラム販売スペースに並ばれるお客様の長い行列や、かなりハイテンションに客席を包み込む熱気から感じられます。
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さあ、オーケストラのチューニングが終わり(このチューニングの音だけで、まず美しく大きく、このオケの飛び抜けた能力を感じます)、いよいよマエストロ・ハイティンクの入場!
正直言っていつもそうなのですが、なんというか「カリスマ」とか「オーラ」をふりまいて、という姿ではありません。しかし静かな威厳、と言う感じでしょうか。すごい満場のすごい拍手今やこのマエストロがいかに多くのファンの敬意と人気を集めているかを改めて感動をもって実感します。
マーラーの交響曲第6番。皆様もよく知っている通り、チェロやコントラバスの「ズン、ズン、ズン、ズン・・・」という威圧的な行進で始まりますが、このものすごい音量、音圧、迫力。これがまるで1人の人間が弾いているような一糸乱れぬ音なのですから、最初から僕も度肝を抜かれます
それからしばらくして鳴り響くトゥッティ(全合奏)でのフォルティッシモも、ホールを壊さんばかりのボリューム。でも凄いと思うのは、どんな音量でも各楽器、各セクションのバランスが完全な均衡を保って明確・クリアーに響いているという点。これこそが超一流の中でも選ばれたオーケストラの証です。
以後、全4楽章、圧倒されっぱなしであっという間に1時間半が過ぎました
木管楽器にしろ、輝かしい金管楽器にしろ、先に書いたようにまるで1人で吹いているが如く、すばらしい統一とキメの細かいアンサンブルで虹のような弧を描き、ソロになってもフレーズのあたまからおしりまで完全にコントロールされた、自然でしかも中身のつまった音楽をやっています。(特に、首席奏者を42年!も務めるホルンのクレヴェンジャーや、フルートのデュフォーら)
ただ弾いている、吹いているなどというプレイヤーは誰もいません
今回の公演で僕にとってちょっと印象的だったのは、もちろん今までの来日でも際立っていた透明感のある強力な弦楽器群が、一層存在感を増し、むしろ管楽セクションをひっぱっていたことです。
これは恐らく、ハイティンクが指揮をしていることが大きいのだと思いますが、やはりコンセルトヘボウ管やウィーン・フィル、ドレスデン・シュターツカペレなどを長い間ずっと振り続けている、ヨーロッパを代表する巨匠の持つカラーなのでしょう。(ヨーロッパのオーケストラはこういった感じのところが多いです。)
そしてシカゴ響の輝かしいサウンドの基本的な部分はそのまま変わりませんが、これまでシカゴ響の来日公演を指揮してきたショルティやバレンボイム、ブーレーズの時とは違った、重心が低く重みのある、渋みが加わったサウンドとなっていました。
そして今年80歳になるハイティンクの指揮、音楽作りの何と丁寧なこと
もともとそうした実直で真面目、緻密で丁寧、バランスのよい方向性の確かな音楽をやるマエストロでしたが、こういうアメリカ的な高機能なオーケストラとの組み合わせになると、フレーズ、リズム、ハーモニー、音色の一点一点を本当にまったくおろそかにせず、恐ろしいまでの集中力をもってじっくりと音楽を前進させていく様子がよくわかりました。
そうしてマーラーの複雑な音楽の、斬新な音色だとか、長大な構成だとかがじっくり味わうことができ、じわじわと圧倒されて終いにはとてつもなく大きな感動に至るという類稀な経験をすることができました。すごい密度の濃い空間と時間。
またマエストロのそうした流儀と、彼ならではの大いなる人間性、マエストロを敬愛してやまない(聴いていて間違いなく実感しました)シカゴ響のメンバーとの音楽的な交流が高まり、溶け合って最高潮に達したのは特に第3楽章のアンダンテでした。
音楽を超えた一瞬、とでもいうのでしょうか?僕は一生忘れられそうにありません
この感じからいくと、私の勝手な予想ではありますが、明日のブルックナー「交響曲第7番」(もともとマエストロの十八番)や、明後日のモーツァルト「ジュピター交響曲」など、ちょっと得がたい体験となりそうです
・・・長々と、そしていささか陶酔の過ぎた文章になってしまったことを少し反省しておりますが今回のハイティンク&シカゴ響の演奏会のこと、残る2公演のことを少しでもお伝えできたら、と思っています。
"盛大"という以上に、たくさんのお客様の興奮と感謝の入り混じったような、いつまでも鳴り止まない拍手が、昨日の演奏会のことを何よりも雄弁に物語り、明日、明後日の期待が現実のものとなるだろうと僕には思えてなりません
あと2公演です
チケットのお申し込みはこちらから
2月3日(火)7時 サントリーホール
2月4日(水)7時 サントリーホール
*当日券もございます










