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2012/03/15 | KAJIMOTO音楽日記

●韓国デビュー10周年!イム・ドンヒョクの記念ツアーを振返る (2) ~公演レビューpart2!~

5月7日に東京・紀尾井ホールでリサイタルを行うイム・ドンヒョクのデビュー10周年記念・韓国での大ツアーを振り返る本連載。
本日は、韓国の全国紙「朝鮮」(Chosun)に掲載されたレビューをご紹介します!チャイコフスキーの「四季」とラフマニノフを演奏したソウルでの公演の評です。

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~週末の客席から~
鍵盤上で過ぎた怒涛の10年... 激烈と叙情、深く共存


18日のソウルの芸術センター。ブロンド色に髪を染めたピアニストのイム・ドンヒョク(28)が、いたずらっ子のように天真爛漫な微笑を浮かべながら、ステージ上に現れた。ピアノの前に座った彼は、ハンカチで丁寧に鍵盤を拭き、しばし眼を閉じたあと、ゆっくりと鍵盤の上に手を置いた。2002年の国内初リサイタルから10周年を記念したリサイタルである。

ロン=ティボー、ショパン、チャイコフスキーなど数々のコンクールで入賞し、エリザベート王妃国際コンクールでは入賞を自ら辞退したこともあった。結婚、そして思いがけぬ離婚と、ドンヒョクはまるで自身の趣味であるスポーツカーのごとく20代を疾走してきた。公演の冒頭は、チャイコフスキーの「四季」第1曲目の"炉端にて"。ドンヒョクは実に淡々と、素朴に楽曲を読み解いていく。12ヶ月を12の小品で表現したこの独奏曲集は、ヴィヴァルディやハイドン、ピアソラの同名曲と並び、季節の移り変わりを表現した代表的な音楽作品である。

つづく第2曲目の"謝肉祭"。ドンヒョクは口ずさみながら、極めて才気溌剌に、リズムを際立たせながら曲をなぞっていく。彼の持つ魅力は、海外の名門オーケストラとの共演でも決してひるむことのない気丈さ、そして鍵盤の上に眩い音色を投射する叙情性にある。音楽界の先輩たちは、これを時折、行き過ぎた個性だと顔をしかめることもあるが、その個性こそが今も「オッパプデ(※)」を強く惹きつけている。
(※訳注:特定の男性芸能人を追いかける女性ファンで構成される集団。いわゆる「追っかけ」を指す。)




韓国ツアー中のサイン会にてファンに囲まれるドンヒョク」


曲のテンポが速くなるほど、音楽を口ずさむ彼の表情は激しさを増し、激烈さと温和さの対比が徐々に明確になっていく。悪党のごとき激烈さと、美少女のごとくあどけない叙情性が、まさに彼の内面に2つの世界として共存している。「四季」でお馴染みの"舟歌"では、まるで旋律を奏でる右手が、流行歌を聴かせてくれているようであり、憂いを帯びた"秋の歌"では、落ち着きのある表現が見られた。

後半にラフマニノフの前奏曲とピアノ・ソナタ第2番を演奏したドンヒョクは、前半のチャイコフスキーと同様、ロシアの叙情性を見せつけた。コンクールでの演奏や、彼の録音ゆえ、わたしたちは彼をたやすく「ショパンのスペシャリスト」として捉えがちであるが、実は、彼は10歳でロシアに移住し、モスクワで10年間研鑽を積んでいる。チャイコフスキーのロマン主義からラフマニノフの後期ロマン主義へと進むにつれ、鍵盤の重量感が増していくが、彼が表現する憂いや哀傷はいくぶん軽やかに思えた。それは、ロシアという大陸の感受性が、ドンヒョクというフィルターを通る瞬間、感覚的で即物的なものに変化するかのようであった。


客席からのあたたかい歓呼ののち、ドンヒョクはアンコールでショパンの作品を3曲続けて披露した。まるで、世界的コンクールで善戦した10年前のあの頃に引き戻されたかのような瞬間だった。ドンヒョクが怒涛の勢いで駆け抜けた10年。彼が、音楽を始めた頃の初心を持ち続けていることを願うばかりである。

→ 原文




公演の様子


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■イム・ドンヒョク ピアノ・リサイタル
5月7日(月)19:00 紀尾井ホール
曲目:
ラヴェル: 亡き王女のためのパヴァーヌ
       夜のガスパール
ショパン: マズルカ イ短調 op.17-4
       マズルカ ハ長調 op.56-2
       マズルカ 嬰ハ短調 op.63-3
       ポロネーズ第7番 変イ長調 op.61 「幻想ポロネーズ」
ラフマニノフ: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36 (1931年改訂版)

【チケット】
発売中 ●お申し込み
お問い合わせ&チケット取り扱い:カジモト・イープラス 0570-06-9960


イム・ドンヒョク プロフィール
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