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2011/09/30 | KAJIMOTO音楽日記

●パッパーノ&サンタ・チェチーリア管 特別編5 ~音楽先進国イタリア~

パッパーノ&サンタ・チェチーリア管が昨日、ついに来日しました!

ところで、皆様さまはクラシック音楽と聞いて、代表的な国としてどこを挙げられますか?
それは多分、ドイツとオーストリアでしょう。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ブルックナー、マーラーらを考えれば・・・。「今の時代」、クラシックといえば、彼らが作曲した交響曲、管弦楽曲、ピアノ・ソナタetc がどうしても中心になりますよね。義務教育でも、ピアノ教育の場でも大体がそうであるに違いありません。オーケストラの分野も同様で、そこにフランスやロシアの音楽が加わってくるものの、(オペラをワキに置いてしまえば)イタリアの音楽といえば、レスピーギのほか、ブゾーニ・・・うーん、あと誰だろう?という感じです。

<バッハやショパンが憧れた国>
では、そもそも西洋音楽はドイツから発展したのか? といえば、ちょっと音楽史に触れた方ならおわかりの通り、それは全く違います。
答えはイタリアです。

「グレゴリオ聖歌」や中世・ルネサンス音楽あたりの時代もそうですし、そこをさて置き、うーんと時代を今に引き寄せても、まずバロック時代――18世紀中頃までは、西洋音楽の世界はイタリア(とフランス)の天下でした。あのJ.S.バッハだって、コレッリやヴィヴァルディを尊敬して彼らの協奏曲を模倣し、イタリアやフランスの舞曲を下敷きにすることでパルティータなどを作り、自らを成長させていきました。
映画「アマデウス」を観た方はおわかりだと思いますが、モーツァルトの時代も、ウィーンの宮廷の音楽部門はサリエリらイタリア人に独占されていました――皇帝や貴族ですら皆、音楽といえば「イタリア」であって、自国の音楽なんて田舎臭い・・・と思っていたのです――。モーツァルトがどんなに天才的な音楽を書き、ピアノのワザを披露しても(その質はともかく)、この"イタリアの壁"を突破することは出来ませんでした。
ベートーヴェンも当時、人気ではロッシーニにかなわず、ワーグナーは晩年にヴェネツィアに住んでいました。ドイツ以外でも、ショパンベッリーニを崇拝して、そのカンタービレを何よりも手本にし、自らの鍵盤作品に活かしていたといいます(そしてショパンはヴェネツィアのゴンドラに憧れ、即興曲や晩年の傑作「舟歌」で、これを音楽的に再現していますよね。)

バッハもモーツァルトも皆、イタリアを追いかけていました。
ドイツ音楽は近代になってこそクラシック音楽の覇権をとったように見えますが、長い歴史のスパンから見ればイタリアはそれよりはるかに先進国なのですね。

しかしながら19世紀以降、イタリアの作曲家は多くがオペラに特化して、器楽作品のめぼしいものはイタリアからほとんど出てこなくなりました。それに伴ってシンフォニー・オーケストラの数も少なく、その分野での注目度が低くなったのは当然とはいえ、少々寂しいことです。

<サンタ・チェチーリア・アカデミー>
ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団はその中で、エリート・シンフォニー・オーケストラとして20世紀初頭に創設されるわけですが、この母体であるサンタ・チェチーリア・アカデミー(音楽院を含む)は16世紀から存在しています。輝かしい音楽先進国イタリアのDNAを有する才能は、アカデミーを通ってこのオーケストラの中に引き継がれていくこととなりました。
レスピーギもサンタ・チェチーリア音楽院で学び、後に教授を務めた作曲家ですが、彼の「ローマの噴水」や「ローマの松」をサンタ・チェチーリア管弦楽団が初演したことは、イタリアの、交響楽の分野でのプライドであったかもしれません。そんな思いが脳裏をよぎります。


写真:Augusteo Orchestra(サンタ・チェチーリア管の前身)とB.モリナーリ(1912年に同団の音楽監督に就任)<http://www.santacecilia.it/より>

(蛇足ながら、20世紀中盤に入ると、ノーノやベリオ、マンゾーニやシャリーノら近・現代の作曲シーンを代表する先鋭的な作曲家たちが続々と登場します。一時期を取り戻すのに余りあるほど!)

いにしえからのDNA、音楽先進国の血をひくサンタ・チェチーリア管弦楽団の底知れぬ深さを秘めた演奏に、どうぞご期待下さい!


■アントニオ・パッパーノ(指揮) ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 【東京公演】
2011年10月5日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール
チケットのお申し込みはこちらまで


【ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 2011年10月 来日ツアー】
アントニオ・パッパーノ(指揮)
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)

ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団 プロフィール
ボリス・ベレゾフスキー プロフィール

■2011年10月1日(土) 14:00 名古屋/愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムB】
~第29回名古屋クラシックフェスティヴァル~
【問】中京テレビ事業 052-957-3333

■2011年10月2日(日) 15:00 京都/京都コンサートホール 【プログラムC】
【問】京都コンサートホール 075-711-3090

■2011年10月3日(月) 19:00 東京/NHKホール 【プログラムD】
~NHK音楽祭2011~
【問】NHKプロモーション 03-3468-7736

■2011年10月5日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール 【プログラムA】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2011年10月6日(木) 19:00 福井/ハーモニーホールふくい 【プログラムE】
【問】ハーモニーホールふくい チケットセンター 0776-38-8282


【プログラムA】
プッチーニ: 交響的前奏曲
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18 (ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー)
  ***
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35

【プログラムB】
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

【プログラムC】
ロッシーニ: オペラ「ウィリアム・テル」序曲
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)/オペラ「運命の力」序曲
  ***
R=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35

【プログラムD】
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)
リスト: ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 (ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー)
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

【プログラムE】
ロッシーニ: オペラ「ウィリアム・テル」序曲
プッチーニ: 交響的前奏曲
ヴェルディ: オペラ「アイーダ」序曲 (*)
  ***
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

(*) ヴェルディのオペラ「アイーダ」では、通常冒頭に「前奏曲」が演奏されますが、
今回の「序曲」は「前奏曲」とは別に作曲された、演奏機会の少ない希少な曲です。


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