NEWSニュース

2011/08/23 | KAJIMOTO音楽日記

●P.ゼルキン「A to Z」特別編2 ~「ディアベッリ変奏曲」についてゼルキンからメッセージが届きました

ピーター・ゼルキンの来日に向けて連載してきました「ピーター・ゼルキンA to Z」。
いよいよゼルキン本人が来日、まずはサイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF)に出演すべく、松本に到着致しました!SKFでの演奏会は順次レポートさせていただきますが、今回の「A to Z」、ピーターが「ディアベッリ変奏曲」を弾くことに対する、特別な思いを込めたメッセージを掲載させていただきます。これはピーターが日本への出発前に書いてくれたものです。昔からのファンの方は「えっ、インタビューや取材が嫌いなあのピーターがメッセージを!?」と驚かれるかもしれませんね。
それだけに、希少なメッセージをぜひ。





 「ベートーヴェンの『ディアベッリ変奏曲』は一生を通してこだわり続け、演奏し続けなくてはならない作品だと思っています。私が、J.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲』を学んだのは14歳の時でした。それから2、3年して『ディアベッリ変奏曲』を学びましたが、それ以来、私は常にこの2つの作品に立ち戻ってきます。

 直訳すると《A.ディアベッリによるワルツの33の変容(注*ドイツ語では「変奏曲」ではなく、変形、変換を意味するドイツ語のVeränderungenが使われている)》となるこの曲は、最初のテーマ以外、彼自身がピアノのために自ら生み出した作品以外の何ものでもありません。この中でベートーヴェンはその完璧なまでの作曲の技を見せつけただけでなく、作品全体を陶酔するような即興性で被ってみせています。そして、今までの慣習的なものに対する、どこか生意気で、乱暴で、不遜な精神がこの作品にもみなぎっています。当時の伝統的な手法や慣習に囚われていたような音楽家からすれば、「それはありえない!」と言わせしめるようなところが、ベートーヴェンのどの作品にも必ず1つはあるのです。

 この作品は冒険心にあふれ、ワイルドで、気狂いじみていて、近代的で、万華鏡のように変幻自在な作品です。そして何よりも楽しさあふれる作品なのです。まさに"変容・変換"であり、驚くべき変容が次から次へと起きていきます。あたかも自然に発生したかのように、即興で起きているかのように、これらの音楽は自らをどんどん昇華させていき、より深い表現の世界へと進んでいくのです。

 『ディアベッリ変奏曲』を聞いていると、冒険心を満たしてくれるような体験と、豊かで深い内省的体験の両方を味わうことができます。心を集中して聴いて下さる聴衆の方々なら、変奏曲が1つ先に進む度に興味をそそられ、全体を覆う大きなアーチをもそこに見出されることでしょう。その変化を追い続ければ、この素晴らしい大作が短くさえ感じられることと思います。それどころか、あっという間に聴き終えたような感覚を味わっていただければ幸いです。」

ピーター・ゼルキン


後期の3つのピアノ・ソナタや「ミサ・ソレムニス」、「第9交響曲」、後期の5つの弦楽四重奏曲とともに、ベートーヴェンの最晩年、この大作曲家の深遠な結晶のひとつとなった「ディアベッリ変奏曲」を、
ぜひ、ただただこのようにひたすらに作品と対峙する、このピーターのピアノで聴いていただけたら、と思っています。



【ピーター・ゼルキン 全国公演スケジュール】 (プロフィール

■2011年8月24日(水) 19:15 長野・松本/長野県松本文化会館 [プログラムB]
~武満徹メモリアルコンサート~
【問】サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会 0263-39-0001

■2011年8月26日(金) 19:00 長野・松本/長野県松本文化会館 [プログラムC]
【問】サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会 0263-39-0001 (発売中)

■2011年8月28日(日) 18:00 長野・松本/長野県松本文化会館 [プログラムC]
【問】サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会 0263-39-0001 (発売中)

■2011年8月31日(水) 19:00 東京/東京オペラシティ コンサートホール [プログラムA]
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

[プログラムA]
武満徹: フォー・アウェイ
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110
  ***
ベートーヴェン: ディアベッリの主題による33の変奏曲 op.120

【プログラムB】
武満徹: 遮られない休息
武満徹: フォー・アウェイ
武満徹: 雨の樹素描
武満徹: 閉じた眼-瀧口修造の追憶に-
武満徹: 閉じた眼II
  ***
ベートーヴェン: ディアベッリの主題による33の変奏曲 op.120

【プログラムC】
バルトーク: ピアノ協奏曲第3番 Sz.119
共演:ディエゴ・マテウス指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ



【ピーター・ゼルキン 関連記事】
ピーター・ゼルキン 発売中 (2011.4.16)
同時代、その名演に立ち会える幸せ ~ゼルキンの「ディアベッリ」リサイタル、米で高評価~ (2011.6.19)
同時代、その名演に立ち会える幸せ ~ピーター・ゼルキン「A to Z」パート1:ピーターの父ルドルフ・ゼルキン (2011.6.30)
同時代、その名演に立ち会える幸せ ~ピーター・ゼルキン「A to Z」パート2:ピーターの祖父アドルフ・ブッシュ (2011.7.3)
ピーター・ゼルキン「A to Z」パート3:ピーター誕生! (2011.7.8)
ピーター・ゼルキン「A to Z」パート4:ピーター=ヒッピー? (2011.7.26)
P.ゼルキン「A to Z」特別編:ゼルキンが用いる特殊調律「1/7コンマミーントーン」の世界! (2011.8.2)
サイトウ・キネン・フェス、長野県外4都市で公演を上映:ゼルキン&ゲルネの演奏を大型スクリーンで! (2011.8.16)
ピーター・ゼルキン「A to Z」パート5:スーパー室内楽集団「タッシ」の誕生 (2011.8.19)
ピーター・ゼルキン 曲目一部変更のお知らせ (2011.8.24)
空前の名演。P.ゼルキンinサイトウ・キネン・フェスティバル松本 (2011.8.29)
PAGEUP