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2018/06/25 | KAJIMOTO音楽日記

●フルシャ&バンベルク響、来日を前に Vol.7―― マーラー「交響曲第3番」といえばポストホルン・ソロ!(N響の菊本さんにお話を聞きました)


先日は当連載でマーラー「交響曲第3番」のことをスタッフが語っておりましたが、この第3楽章に出てくるポストホルン・ソロは間違いなく聴きどころの一つ。
2015年の12月、シャルル・デュトワが指揮したNHK交響楽団で見事なソロを吹き、ファンからは「神ってる!」と絶賛された同団首席トランペット奏者、菊本和昭さんに、このソロ部分についてお話をうかがいました。

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このとき、実は他の方がポストホルン・ソロを吹く予定だったのですが、本番1週間前に急病になられ、代役としてもう自分がやるしかない状況になったのです。しかも初めてですよ!それもオーケストラの中でマーラーの「第3交響曲」を演奏することですら。
必死でした。緊張を通り越して妙な感覚に陥るくらい。うまくいってよかったですよ。やるべきことを全部やって燃え尽きた感じです。マエストロからは「自信もってやりなさい!」と随分励まされ、力になりました。

このソロが出てくる第3楽章は、「森の動物たちが私に語ること」というタイトルがあって(この言葉は結局作曲者本人が最終的に削除しましたが)、そういう牧歌的な空気が満ちています。そしてソロ自体は調性的なことや、音域が高いこともあって結構難しいです。吹きっぱなしですしね。舞台裏で吹いているわけですから、オーケストラ本体とアンサンブルを作るのも難しい。難しいづくめですね(笑)。でも何しろ美しい。やりがいがあります。そもそもマーラーはトランペットのソロ曲を作曲していなくて、その分ここにこうした見せ場があることに、プレイヤーとして感謝しています。

今まで聴いた経験で言うと、チェコ・フィルの昔の首席奏者、ミロスラフ・ケイマルはセンセーショナルでしたね。衝撃でした。もちろんN響でかつて吹かれた大先輩たちも素晴らしかったし、あとはDVDで観たコンセルトヘボウ管のフリッツ・ダムロウ。それからCDで聴いた、フランクフルト放送響時代のラインホルト・フリードリヒ(現・ルツェルン祝祭管の首席)もよく覚えています。フリードリヒは他の作曲家にアレンジしてもらったトランペットとピアノのためのバージョンを日本でのリサイタルで吹いていたことがあって、これもまたすごかったですね。

こういう名手たちの演奏を聴いていてもそうだし、自分の1回(2公演)の経験からいっても、マーラーという人はプレイヤーの限界を超える一歩手前までの技を求めてきて、自分たちはいつも以上の力を引き出される感覚があるんですね。
ポストホルン・ソロ部分だけでなく、この「第3交響曲」で言ったら、フィナーレの最後、トランペット・パートが小さい音から吹き始めるあのコラール、しびれますよ。
バンベルク交響楽団のプレイヤーたちは、その伝統からいっても素晴らしい演奏をするだろうな、と楽しみです!(談)


菊本 和昭(NHK交響楽団・首席トランペット奏者)


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