NEWSニュース

2015/06/05 | KAJIMOTO音楽日記

●ヘンゲルブロック&ハンブルク北ドイツ放送響、来日!その(3)―― 東京公演

まずはたくさん方々にご来場いただき、本当にありがとうございました!



マーラー「巨人」の演奏後、サントリーホールの客席は沸きに沸きました。しかしお客様や関係者、または弊社スタッフ個々に話を聞くと、きれいに賛否両論に分かれます。面白いことです。
大雑把に言って、
知的で繊細、随所にアイディア満載で、新鮮で本当に楽しかった」と言う派と、
クライマックスなど、スケールの大きい体当たりな情熱のフォルティッシモが聴かれなくて物足りない。マーラーという感じがしなかった」と言う派。

しかしこの両方を見比べてみますと、表裏一体といいますか、古楽出身のヘンゲルブロックはハンブルク北ドイツ放送響(NDR響)とともにハッキリ前者の方向に進み、そうなると結果、後者のような現象(ある方々にとっての不満)となってしまうのは仕方なのかな、と。

それだけ今のこのコンビは方向性が明確で、その音にも、演奏中のプレーヤーの表情にも見られたように、嬉々としてそうした音楽を目指しているのだと思います。終演後、ヘンゲルブロックが指揮台から一歩下がり、ヴァイオリンとチェロのメンバーの肩を抱き、メンバー全員で客席に向かってお辞儀をした時の気分の良さ!
(ちなみに私は、主催者スタッフだからこう言うのではありませんが「賛」派です。存分に愉しませていただきました)

NDR響のサウンドは前回にも増して、重厚さを残しつつも、さらに開放的で自由なものになってきた気がします。ズッシリとした手応えとともに、立体的・対位法的に旋律線を際立たせようとする今の傾向のためか、少しザラつきをみせながらも一体感の強い弦楽器群、個々に冴えた音をもつプレーヤーたちがアンサンブル部分となるとグッとコクのある音色を作る木管群、とても正確な音程とイントネーションで清潔に鳴る金管群・・・ それらが合わさったトータルの響きには、例えばバイエルン放送響が感じさせる南の森の柔らかい深さと対照的で、針葉樹の多そうな、やはり北の清涼さを感じます。以前にはあまり感じなかったことです。

ところで、ヘンゲルブロックも校訂に参加している「1893年ハンブルク稿」としての現行版との違いは、皆様にとって如何でしたでしょうか?
これは前にも書きましたように、ぜひ聴かれた方々同士で大いに議論していただきたい、とこちらも楽しみにしております。
聴きに来られなかった方にも朗報が!・・・日時は未定ですが、昨晩の演奏はNHKがテレビ収録、近日放映予定です!

この随所のディテールにおいての面白さはさておき、やはり第2楽章に、ワーグナー的抒情のまさる「花の章」がおかれたこと(トランペットのクルーミーさん、素晴しく美しいソロでした。それにしても下手のひな段一番上に移動してのスタンド・ソロとは!)、
各楽章にかなり情景がはっきりイメージできる標題がつけられていること(これは結構な心理効果が!と思います)、
そして実際のヘンゲルブロック&NDR響の演奏が、微に入り細に入り、実に丁寧に音を、モティーフを、旋律を、音色を、ニュアンスを掘り起こしたものであったこと、
すべてが統合された結果、驚くべきものが聴こえてきました。
元々この曲がもっているボヘミア的な“自然”の要素―― 鳥の声、風のそよぎ、草いきれ、大海の波など―― がいつもより色濃く前面に、そして若々しく響いていました。そしてその中にあっての人間の、若者の苦悩・・・。
交響曲というより、まさにTondichtung(音詩)である、この1893年のハンブルク稿に相応しかったのでは?

同じこのオーケストラを指揮しても、かつてエッシェンバッハが振った情念うずまく、濃いマーラー(「第5」でしたが)とはまさに対照的。

前半のメンデルスゾーンでのアラベラ・美歩・シュタインバッハーの細部まで極めて正確で端正なヴァイオリン・ソロも魅力的でしたが、ここでの管弦楽にも、自在な雄弁さ、色々な音色を活かし、えっ!ここでこんな旋律がソロにからむ?!など驚きが多かったです。
(そして、数日前からSNS等で思わせぶりに名を伏せてお知らせしておりました、ビッグ・アーティスト・エキストラ・・・78歳になる、あの元ベルリン・フィル首席クラリネットのカール・ライスター御大ですが、周囲と巧みにとけあわせた)良いアンサンブルを築き、実に元気そうでした。今日、そして明日の名古屋公演も出演予定です!)

***

さて、今日、東京文化会館でシューマンのピアノ協奏曲(ピアノ: ハオチェン・チャン)と再びマーラー「巨人」をやった後、明日は日本ツアーで唯一となるベートーヴェン「第7交響曲」が演奏されます。
巷では既に噂になっておりますが、この交響曲の第1楽章序奏で最初に4回慣らされるトゥッティ(総奏)、全弦楽器奏者のボウイングを通常のダウンではなく、アップでやるそうですよ!一体どんな絵(音)になるのでしょう?(私は行けなくて残念です・・・)


【名古屋公演のチケットお申込みはこちらまで(当日引き換え)】

【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960


富士通コンサートシリーズ
ハンブルク北ドイツ放送交響楽団

指揮: トーマス・ヘンゲルブロック
ヴァイオリン: アラベラ・美歩・シュタインバッハー

<名古屋公演>
6月6日(土) 15:00 愛知県芸術劇場コンサートホール

(曲目)
ドヴォルザーク: 序曲「謝肉祭」op.92
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ベートーヴェン: 交響曲第7番 イ長調 op.92

PAGEUP