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2015/04/14 | KAJIMOTO音楽日記

●来日公演に向けて / ロンドン響の現在(2)――首席客演指揮者M.T-トーマスとLSO

ロンドン交響楽団の9月の来日まで行う連載の第2弾です・・・そして明日から先行発売開始!・・・

前回は、2017年から新音楽監督となるサー・サイモン・ラトルとのことをお伝えしましたが、今回は首席客演指揮者のマイケル・ティルソン=トーマスが3月に指揮した、彼の70歳ガラ・コンサートのことを。
ぜひお一読下さい!

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 3月のロンドン交響楽団(LSO)のハイライトは、首席客演指揮者のマイケル・ティルソン・トーマスの70歳の誕生日のガラ・コンサート(3月12日)と、それに引き続いての同コンビでの2週間にわたる北米9都市のツアー(3月18日~4月1日)であった。ティルソン・トーマスは1970年にLSOと初共演、1988~95年には首席指揮者を務め、以後もLSOの「指揮者ファミリー」のひとりとして毎シーズンのように客演を続けてきた。正直、まったく70歳に見えない、いつまでも若々しいマエストロである。

 ガラ・コンサートは本人の指揮で、共演歴の長いユジャ・ワンを独奏に迎え、コリン・マシューズの《Hidden Variables》、ガーシュウィンの《ヘ長の協奏曲》、そしてショスタコーヴィチの交響曲第5番というプログラム。誕生日コンサートというよりは、北米ツアーを意識した選曲のように感じた(ツアーにはこれともう一つ別のプログラムを持っていった)。

 最初に演奏されたコリン・マシューズの曲は、1988年にアンサンブル作品として作曲されたものだが、その後LSOとニューワールド交響楽団の共同委嘱でオーケストラ版が作られ、ティルソン・トーマス自身が1991年に初演した記念の作品という。マシューズの最近の作風とは異なり、ミニマリズムの要素の強い変奏曲風の作品で、リズミックでパワフルな演奏が繰り広げられた。

 ガーシュウィンの《ヘ長の協奏曲》もアメリカ・ツアーのために、ユジャ・ワンが今回初めて取り上げたレパートリーではなかろうか。でもこれは彼女にとても合っていて、彼女の硬質のタッチやリズミックなノリの良さが、このジャズ風の協奏曲の魅力を存分に引き出していた。オーケストラもスイングたっぷりの暖かみのある演奏で、特に若き首席トランペットのフィリップ・コブのソロが見事だった。ガーシュウィンで盛り上がったあと、ユジャ・ワンとティルソン・トーマスがアンコールにプーランクの連弾ソナタから演奏した。(ちなみに、ユジャ・ワンは誕生日のマエストロを立ててか、黒いパンツドレス姿だった)



 ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、現在のLSOの実力が最大限に発揮された壮大な演奏だった。弦楽器は力強くつややかな音色で、とりわけ金管セクションの輝かしさはロンドンのオーケストラで随一であろう。ティルソン・トーマスの指揮はエネルギーと情熱に満ち、この交響曲にまつわる歴史的な背景をとりたてて強調することなく、明快かつ普遍的な解釈を聴かせた。

 最後は舞台にバースデー・ケーキが運ばれ、団員と聴衆全員でマエストロのますますの活躍を祈念した。北米ツアーも大成功だったようで、今後もこのパートナーシップは関係を強化していくことだろう。Happy Birthday Maestro!
 

文: 後藤 菜穂子(音楽ジャーナリスト/ 在ロンドン)



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カジモト・イープラス会員限定先行受付  ●お申し込み
4月15日(水)12時 ~ 19日(日)18時
一般発売  ●お申し込み
4月25日(土)10時~
 

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