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2014/10/24 | KAJIMOTO音楽日記

●日本ツアー・スタート! ピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワに聞く。(その1)

2010年ショパン・コンクールの優勝者にして、マルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性覇者となったアヴデーエワが来日中。

23日(木)、24日(金)には大阪のフェスティバルホールで井上道義指揮大阪フィルと、得意のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を熱演!かなりの好評の声が伝わってきています。



そのアヴデーエワにインタビュー。
2回に分けてお送りしますが、第1回目は今回のリサイタル・プログラムについて。

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――まずは、モーツァルト、ショパン、リストを取り上げるプログラムについてお聞きします。この選曲にはどんなストーリーが隠されているのでしょうか。

 モーツァルトはさまざまな作曲家に影響を与えました。なかでも、リストとショパンがモーツァルトのどんな部分を自分の音楽に取り入れ発展させたかというのが、このプログラムのテーマです。リストについては、彼がモーツァルトから受け継ぎ発展させた演劇的な要素を持つ音楽として、≪アイーダ≫より「神前の踊りと終幕の二重唱」と、巡礼の年第2年の「ダンテを読んで」を取り上げます。また、ショパンについては、音楽の明確な構成、そして思考を語るという部分が、モーツァルトから受け継がれたものだと思います。

―― そんなショパンの作品で演奏されるのは、24の前奏曲ですね。

 24曲すべてが異なるキャラクター、要素を持っていて、それぞれ短い曲の中で表現が完成されています。それにもかかわらず、1曲ずつを分けることはできません。24曲でひとつの想いを伝えているからです。この作品の大きな特徴ですね。

―― 24曲を合わせて聴くことで、どんな想いが見えてくるのでしょうか?

説明するのは難しいですが……24の前奏曲は、人間が持つすべての感情を内包している宇宙のようだと思います。私が客席でこの作品を聴いた経験から言うなら、100人がいれば100の異なるイメージが浮かぶ作品だと思います。ショパンはこの作品を通して、演奏家、聴く人、それぞれに想像する自由を与えたと思います。

―― この作品に取り組みたいと思ったのは、マヨルカ島を訪れたことがきっかけだったそうですね。

 はい。その以前に、ジョルジュ・サンドがショパンと自分の子供たちとでマヨルカ島を訪れたときに書いた本を読んだことがありました。実際にマヨルカ島を初めて訪れたのは2011年のことでしたが、降り立ったときに、この場所に来るのは初めてではないという気がしたのです。サンドの息子モーリスが、マヨルカ島の修道院を描いた絵画も見たことがあったのですが、そこに描かれていた自然の景色が、長い時を経てもほとんど変わっていなかったことも、そう感じた理由でしょう。そんな気持ちで過ごしているうち、この場所で完成された24の前奏曲を弾きたいと思うようになったのは、自然なことだと思います。

―― もうひとつのプログラムでは、ショパンのノクターンや幻想曲、マズルカ、ポロネーズを演奏されます。アヴデーエワさんの演奏会ではいつも、曲の組み合わせ、またその演奏のつなぎ方へのこだわりが感じられますが、今回はどんなお考えがありますか?

 ショパンの作品には小品が多くあり、なかでもマズルカは作曲活動の大きな部分を占めています。彼の書いたマズルカは格別に質が高く、演奏することは大きな喜びです。短い作品の中に大きなアイデアが込められているところは、前奏曲と似ています。
今回は、マズルカのような短い作品に、幻想曲やポロネーズという少し長い作品を組み合わせてみたいと思いました。もとは踊りの音楽であるポロネーズに、ショパンがこれほど多くの情感を込めたという事実は興味深く、探究しがいがあります。当時新しいスタイルだった幻想曲にも興味をひかれますね。また、特別な詩情を持つノクターンの第20番、第16番は、ピアノで歌う作品として選びました。ショパンが好きだったイタリア・オペラからの影響が見られます。こうした異なる形の作品を合わせて演奏したらどう聴こえるか、それを表現したくて今回の曲目を選びました。


―― 後半ではプロコフィエフを取り上げます。彼が残した小説や日記を見るとユニークな人柄がうかがえますが、アヴデーエワさんはプロコフィエフにどんな想いがありますか?

 実は私、プロコフィエフがとっても好きなんです。残念なことに直接会ったことはありませんが(笑)、日記や小説、伝記を読むほどに、彼のキャラクターがとても好きになってしまいました。彼の音楽はジャンルで分けることがとても難しいですが、いわばネオ・クラシックでしょうか。ハイドンのような構成美はとてもクラシカルなのですが、一方で誰にも真似できない独自のスタイルを持っています。痛烈な皮肉もあれば、ピュアなところも、悲劇的なところもある。こうした共存に独特なものを感じます。
 プロコフィエフが最後に住んでいたモスクワのマンションは、現在博物館として公開されていて、私も訪れたことがあります。彼が弾いたピアノ、読んでいた本、仕事をしていた机もそのまま残されています。彼はチェスが大好きで、部屋には“オイストラフVSプロコフィエフ”のチェスの試合の招待状が展示されているんですよ(笑)。私もチェスがとても好きなので、興味深く見学しました。



ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル
2014年11月14日 (金) 19:00 開演 (18:30 開場)
東京オペラシティ コンサートホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=425


<ユリアンナ・アヴデーエワ(ピアノ) 2014年10・11月 来日スケジュール>

■10月23日(木) 19:00 大阪/フェスティバルホール 【プログラムB】
■10月24日(金) 19:00
~第482回定期演奏会~
【問】大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890

■10月26日(日) 15:00 島根/松江市総合文化センター プラバホール 【プログラムD】
【問】松江市総合文化センター 0852-27-6000

■10月30日(木) 19:00 奈良/秋篠音楽堂 【プログラムC】
【問】秋篠音楽堂 0742-35-7070

■11月1日(土) 16:00 栃木/壬生町立壬生中央公民館 【プログラムC】
【問】財団法人 壬生町施設振興公社 0282-86-7117

■11月2日(日) 15:00 埼玉/所沢市民文化センター ミューズ 【プログラムD】
【問】ミューズチケットカウンター 04-2998-7777

■11月3日(月・祝) 15:00 神奈川/鎌倉芸術館 大ホール 【プログラムC】
【問】鎌倉芸術館 チケットセンター 0120-1192-40

■11月6日(木) 15:00 宮城/アーク・ノヴァ仙台会場[勝山館となり]
※ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ2014 in 仙台
http://ark-nova.com/

■11月8日(土) 14:00 神奈川/ミューザ川崎シンフォニーホール 【プログラムD】
【問】神奈川芸術協会 045-453-5080

■11月9日(日) 14:00 福島/福島市音楽堂 【プログラムD】
【問】福島市音楽堂 024-531-6221

■11月14日(金) 19:00 東京/東京オペラシティ 【プログラムC】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■11月16日(日) 14:00 香川/サンポートホール高松(高松市文化芸術ホール) 【プログラムD】
【問】サンポートホール高松 087-825-5000


【プログラムB:協奏曲】
共演:井上道義指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26

【プログラムC:リサイタル】
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第6番 ニ長調 K.284「デュルニッツ」
リスト:ヴェルディ《アイーダ》より 神前の踊りと終幕の二重唱 S.436
リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」から ダンテを読んで-ソナタ風幻想曲
   ***
ショパン:24の前奏曲 作品28

【プログラムD:リサイタル】
ショパン:夜想曲 第20番 嬰ハ短調(遺作)
ショパン:夜想曲 第16番 変ホ長調 作品55-2
ショパン:幻想曲 ヘ短調 作品49
ショパン:4つのマズルカ 作品17
ショパン:ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調 作品44
   ***
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調 作品84

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