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2014/02/13 | KAJIMOTO音楽日記

★ギルバート&ニューヨーク・フィル 東京本公演初日を聴いて




グラマラス、タフ、パワフル、マッシヴ・・・やはりニューヨーク・フィル(NYP)の音をナマで聴くと、こんな言葉が脳裏に浮かびます。昨晩の1曲目、ラウス「狂喜」の冒頭、まるでドビュッシー「海」の始まりのような静かな和音が、確かに緊張を孕んだピアニッシモなのに、ホルンやトロンボーンのハーモニーが分厚く豊麗に響くという・・・。しかし先の言葉は一歩間違えば“ラフ”とか“雑”につながりやすいわけで、これまで何回か聴いたNYPにはそういうことがないわけではありませんでした。弦楽セクションとブラスバンドのような管楽セクションがケンカしているみたいに・・・。
が、今回はまったく違います。

この「狂喜」、はじめ静かに、しかし徐々に激しくなり、「ダフニスとクロエ」の全員の踊りのごとく、“狂喜”なフォルティッシモに達します。しかしまあ、なんと巨大な音!・・・ヨーロッパのオーケストラでは考えられないくらいの強大な音量なのに、どのパートも均衡がとれ、どの音も、弦楽器の刻みから管楽器のオスティナート的な部分まで全部はっきり聴こえます。グラマラスなのに各々がクリアーという、なるほど、これがアランとともに鍛えあがった「今のNYP」なのか・・・と半ば呆れるくらい感心してしまいました。よくよくトレーニングを積み、プレイヤーたちがよく聴きあっていなければこうはならないのでは。

続くリンドベルイ「ピアノ協奏曲第2番」でのブロンフマンの目の覚めるようなピアニズム(!!)も今後伝説になりそうな気がしますが、オケもそれにがっぷり四つに組みます。この曲がNYPのために書かれたからなのか、NYPがこの技量で演奏するからこうなるのか、判断できませんが(苦笑)、なんともブリリアントな20数分でした。こういう現代曲はもっと多く書かれてほしいですし、もっと演奏してほしいですし、もっと多くの方に聴かれるようになると嬉しいですね。(編成も特殊でないですし、人気が出そうな気がします。リンドベルイらしい鮮やかな力作でした。)

さて、プログラム冊子のインタビュー・ページでも「NYPはあらゆるレパートリーを演奏できるのを世界に聴いてもらいたい」と豪語しているアラン。すると後半のチャイコフスキー「第5交響曲」ではガラリとオケの音が変わるのだろうか?と思ったところ、そこはグラマラスな音色は変わりません(笑)。しかしフレージングのとり方だとか、曲のスタイルに即応した演奏に確かになっていて(具体的なことがうまく書けないのですが・・・)、このあたり、アランとNYPが話に聞く通り、かなり1曲1曲に時間をかけて綿密にリハーサルを行い、音楽作りに励んでいることがすごく伝わってきます。その結果としての演奏には、だからこその誠実が感じられて、そのヒューマンなあたたかみには心打たれるものがありました。
それとこのNYP、昔からとてもロマンティックな気質をもったオケだと思うのですが(ドヴォルザークやラフマニノフらとの交流がこうしたDNAを育んだのでしょうか?)、そういう気分が響きにもどんどんしみ出してきて、超ベテランの看板コンサートマスター、グレン・ディクトロウ以下、オケもアランと一丸となってチャイコフスキーの音楽を心の底から歌い上げます。熱い!(特に第2楽章や、アンコールの弦楽セレナードのワルツ)
そういう分厚い弦のカンタービレの中、また管楽器奏者たちのプロフェッショナルな腕前や豊麗かつ冴えた音色が明滅するのを聴くのは格別ですね。(第2楽章でのマイヤースのホルン・ソロ!)



こうなると本日の方のプロ、ベートーヴェン「フィデリオ」序曲→ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」→ベートーヴェン「交響曲第1番」→ガーシュウィン「パリのアメリカ人」という、普通では考えられない(!?)プロがどういうことになりますやら。
各々のコントラストが新鮮に響くのか?それとも・・・?
このプログラミングこそ、今のアラン&NYPの真骨頂だと思うのです。

どうぞご期待下さい!



<ニューヨーク・フィルハーモニック 2014年 2月 来日ツアー>

指揮: アラン・ギルバート
ピアノ: 小曽根真(2/10、2/15) イエフィム・ブロンフマン(2/12)
ヴァイオリン: リサ・バティアシュヴィリ(2/13)

■2014年 2月 9日(日) 14:00/名古屋 愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムA】
【問】中京テレビ事業 052-957-3333

■2014年 2月10日(月) 19:00/大阪 ザ・シンフォニーホール 【プログラムB】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2014年 2月12日(水) 19:00/東京 サントリーホール 【プログラムC】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2014年 2月13日(木) 19:00/東京 サントリーホール 【プログラムD】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2014年 2月15日(土) 15:00/神奈川 横浜みなとみらいホール 【プログラムE】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960


【プログラムA】
ラウス: 狂喜
バーンスタイン: 『ウエストサイド物語』より「シンフォニック・ダンス」
      * * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64

【プログラムB】
ブリテン: 青少年のための管弦楽入門
ガーシュウィン: ラプソディ・イン・ブルー (ピアノ:小曽根真)
      * * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64

【プログラムC】
ラウス: 狂喜
リンドベルイ: ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:イエフィム・ブロンフマン)
     *  * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64

【プログラムD】
ベートーヴェン: オペラ「フィデリオ」序曲 op.72b
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲 (ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ)
     * * *
ベートーヴェン: 交響曲第1番 ハ長調 op.21
ガーシュウィン: パリのアメリカ人

【プログラムE】
ラウス:狂喜
ガーシュウィン: ラプソディ・イン・ブルー (ピアノ:小曽根真)
     * * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64


<関連公演>
Sony Music Foundation(公益財団法人ソニー音楽財団)
10代のためのプレミアム・コンサート・シリーズ
アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィルハーモニック
2014年2月11日(火・祝)18:00開演
<会場>サントリーホール
指揮:アラン・ギルバート/ジョシュア・ワイラースタイン
管弦楽:ニューヨーク・フィルハーモニック
ピアノ:小曽根 真
<曲目> ブリテン:青少年のための管弦楽入門
       ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
バーンスタイン:『ウエストサイド物語』より「シンフォニック・ダンス」 ほか
<お問い合わせ> Sony Music Foundation TEL 03-5227-5233

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