NEWSニュース

2013/06/07 | KAJIMOTO音楽日記

【公演レポート】デュトワ、ロイヤル・フィルを振る in ロンドン!

先日、デュトワ本人の言葉(「来日直前スペシャル・インタビュー」)を通じて、彼とロイヤル・フィルの長年の関係や、ロイヤル・フィルの特徴、そして彼とユジャ・ワンの(運命の?!)出会いについてご紹介しましたが・・・
実際、最近のデュトワ&ロイヤル・フィルのコラボレーションはいかなる成果をあげているのでしょうか? そのあたり、ぜひぜひ詳しく知りたい!
ということで、ロンドン在住の音楽ジャーナリスト 後藤菜穂子さんに、本拠ロンドンで去る4・5月に行われた彼らの公演をレポートいただくことにしました。それではどうぞ!

 


***


 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団は、ロンドンのオーケストラの中でもやや特殊な存在である。国からの補助金をほとんど受けずに活動しているため、定期演奏会シリーズのかたわら、地方公演やポピュラー・コンサート、オペラやバレエの伴奏など多様な活動をこなしており、「国民にもっとも親しまれているオーケストラ」とも呼ばれるなど、庶民派のオーケストラのイメージがある。
 とはいっても、前音楽監督であったダニエレ・ガッティ(1996~2009年)のもとではマーラーの交響曲全曲ツィクルスをロイヤル・アルバート・ホールで行なうなど、定期演奏会のシリーズにおいてはつねに意欲的なプログラムを組み、また錚々たるソリスト陣を迎えてきた。ちょうどデュトワがシェフに就任したばかりの頃だったと思うが、ピアノ独奏にアルゲリッチを迎えて火花の散りそうなエキサイティングなプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を聴かせてくれたのは記憶に新しい。



 現在、デュトワがアーティスティック・ディレクター兼首席指揮者に就任して4年目になるが、ロンドンの定期演奏会で聴くこのコンビは相性がよく、デュトワはいつも全力を注ぎ、団員たちもそれに応えて熱のこもった演奏を聴かせてくれる。先だって4月から5月にかけては、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールでベルリオーズの《ファウストの劫罰》(4月30日)と、マーラーの交響曲第1番を中心としたプログラム(5月14日)を続けて取り上げ、このパートナーシップがひじょうに良好な関係を維持していることを示した。実際、このコンビでの定期演奏会の回数はけっして多くはないので、プレイヤーたちも毎回デュトワとの公演をとても心待ちにしている。

 4~5月のロンドン公演でデュトワの持ち味がもっともよくでていたのは、独唱および合唱付きの劇的物語《ファウストの劫罰》であった。独唱陣にはファウスト役にポール・グローヴス、マルガレーテ役にルクサンドラ・ドノーセ、そしてメフィストフェレス役にヴェテランのウィラード・ホワイト。作品を熟知しているデュトワは絶妙なペーシングで、緩急をつけながらも終始手綱を緩めず、この大作を休憩なしで振り切った。オーケストラの見せ場である第一部の「ハンガリー行進曲」や第三部の「鬼火のメヌエット」なども鮮やかに奏され、オーケストラの底力を感じさせた。とりわけメフィストフェレス役のウィラード・ホワイトはさすがの存在感で、魅力的な悪役ぶりを演じた。デュトワとオーケストラは色彩感のある演奏で歌手たちをサポートし、ムードを作り上げ、物語の情景を活き活きと描き出した。






デュトワ&ロイヤル・フィルのリハーサル風景

 ご存知のようにデュトワはこうした色彩感に富んだフランスものをとりわけ得意としており、ロイヤル・フィルとも多く取り上げている。首席フルート奏者のエイマー・マクドナウは、最近の公演の中でもっとも印象的な演奏として、デュトワとのラヴェルの《マ・メール・ロワ》を挙げており、なかでもデュトワの色彩感へのこだわりを特筆している。こうしたことから今回の来日公演で取り上げられるラヴェルの《ダフニスとクロエ》第2組曲やドビュッシーの交響詩《海》においても彼らの力量が存分に発揮されることだろう。ちなみに彼らはこれらの曲を今年の夏のBBCプロムスでも取り上げる。正直なところ、派手さはないかもしれないが、実直で暖かみがあって情熱的なオーケストラであることはたしかである。


(後藤菜穂子/在ロンドン)


***


<シャルル・デュトワ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団>
■2013年6月27日(木) 19:00 東京/サントリーホール
[曲目]
メンデルスゾーン: 序曲「フィンガルの洞窟」op.26
ショパン: ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11(共演:ユジャ・ワン)
ドビュッシー: 海
ラヴェル: バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲

【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
●お申し込み

<他公演詳細>
■2013年6月25日(火) 19:00 東京/文京シビックホール 【A】
【問】シビックチケット 03-5803-1111

■2013年6月26日(水) 19:00 東京/東京文化会館 【B】
【問】公益財団法人都民劇場 03-3572-4311

【プログラムA】
シベリウス: 「カレリア」組曲 op.11
ドビュッシー: 海
    ***
バルトーク: バレエ「中国の不思議な役人」op.19 組曲
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲

【プログラムB】
ウェーバー: オペラ「オイリアンテ」序曲
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
               (ヴァイオリン:イェウン・チェ)
    ***
ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14
 

PAGEUP