ユニークな音楽観をしなやかに表現美しくも繊細な音色が
オーラを放つイギリスの名チェリスト技と情熱に知性加わる
愛用するガット弦が紡ぎだす美しくも繊細な音色と、チェロの魅力を存分に伝える多彩なプログラム作りによって、ほかのチェリストたちとは一味違う音楽世界を形成し、独特のオーラを放つイギリスの名手。現代曲に意欲的に取り組み高い評価を得ている一方、オーソドックスなレパートリーにも、弾くごとに瑞々しい新鮮な息吹を与えつつ、深みを増している。
CD=RCAレッドシール/BMGファンハウス
●シューマン・プロジェクト
シューマン没後150年にあたる2006年の来日では、イッサーリスがこよなく愛するシューマンの名曲をリサイタル、室内楽、オーケストラの各公演で取り上げる予定である
●プロフィール
1958年ロンドン生まれ。祖父はロシアのピアニストで作曲家のユリウス・イッセルリス。10歳でチェロを始める。ガット弦を使用し、ベルリン・フィル、ロンドン響など世界の超一流のオーケストラに加え、古楽のオーケストラ、アンサンブルとも共演。演奏会の企画立案に優れた手腕を発揮し、教育活動にも力を入れている。子供向け音楽書『もし大作曲家と友達になれたら・・・』(音楽之友社刊)は隠れたベストセラーとなっている。1998年CBE勲章受賞。2000年シューマンの生地ツヴィカウ市からシューマン賞受賞。使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1730年製フォイヤマン・ストラディヴァリウス。
●コンサート評から
イッサーリスは往年の名手フォイアマンが使ったストラディヴァリウスの銘器を貸与され、現代の金属(スチール)弦ではなく、昔ながらの羊腸(ガット)弦を張って弾く。音量は少し減るが、鋭いアタックから管楽器のように透明な弱音、左手を弦から離して弓だけを使う開放弦の柔らかな歌い回しに至るまでありとあらゆる技と音を駆使した。伴奏の域を超え、積極的な対話者の責を果たした小川のピアノともども、作品に潜む作曲家の心や、背後に横たわる時代の相を、くっきり浮かび上がらせた。 (4月4日 神奈川県立音楽堂)
池田 卓夫 (日本経済新聞 2004年4月15日)
|