ロンドン交響楽団(以下LSO)は、絶好調のうちに102回目のシーズンを迎えた。ワレリー・ゲルギエフが2007年1月に首席指揮者に就任し、これまで11年間首席指揮者を務めたサー・コリン・デイヴィスは、オーケストラの長い歴史を通してもわずか5人目のプレジデントのポストに就いた。またマイケル・ティルソン・トーマスに加えてダニエル・ハーデイングが首席指揮者に就任した。LSOに来る指揮者の多彩な顔ぶれは、他に類をみない。
1904年、LSOは英国で最初の自主独立したオーケストラとして創設され、その後まもなく、楽団員の完全な自治による株式会社組織となった。
歴史上の大家、ハンス・リヒターはLSOと結びついた最高の指揮者たちの中で最初の存在であり、LSOもまたエルガーなど英国の最も重要な作曲家と密接な関係を結んできた。
本拠地バービカン・センターでLSOが主催しているコンサートの数は、ロンドンのどのクラシック音楽団体よりも多い。バービカンでも、LSOセントルークスでも観客数は伸びており、より多くの、そして多様な人々が足を運んでいる。この4年間に平均観客動員数は20%増加した。また録音を通して――最近ではたとえば「スター・ウォーズ エピソード3」や「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の映画音楽などで――LSOの演奏は世界中の何百万、何千万という聴衆に届けられている。さらにラジオ、テレビ、映画、コンピュータ・ゲーム、飛行機、エレベーターなど、音楽が楽しめるところならどこでもその演奏を耳にすることができる。「LSOライブ」は、オーケストラの自主レーベルとしては世界最高の売り上げを記録しており、iTunesのクラシック音楽ダウンロード数で、しばしば1位にランクされている。
LSOの教育およびコミュニティー・プログラムである「LSOディスカバリー」では、つねに若い才能の発掘に力を入れている。若手の作曲家のための「サウンド・アドベンチャー」、「パヌフニク・スキーム」の2つのプログラムのほか、「LSOセントルークス・アカデミー」、「ストリング・エクスペリエンス」、「木管、金管、打楽器のためのスキーム」や指揮のマスタークラスを毎年実施している。また、音楽作りのためのテクノロジーの新たな利用法を開拓しており、英国の学習インターネット網を使ってロンドンのハックニー地区やイズリントン地区などの複数の学校と同時ライブ・セッションを行っている。コンサートの聴衆も今や好みのテクノロジーを使ってLSOと接続できる。家族向けのコンサートには親戚を招くこともできる。そのほか、大学や地元のコミュニティ、シティの企業などにアンバサダーを置いて、コンサートに初体験という人々をバービカンやセントルークスに案内している。
LSOセントルークスは、オールド・ストリートにあるUBSとLSOの音楽教育センターである。そのプログラムはつねに拡がりを見せ、BBCラジオ3で放送されるランチタイム室内楽コンサート、エルトン・ジョンやコリーヌ・ベイリー・レイらのアーティストの出演するBBCテレビの番組、ワールドミュージックの紹介イベント、さまざまなジャンルのトップ・アーティストによる「UBSエクレクティカ」のシリーズなどを開催している。「LSOディスカバリー」では、地元の住人や勤務する人々が音楽作りに参加できるクラスを常時開催している。月曜日の夜がコミュニティのための夜となっており、大人向けの合唱、ユース向けの合唱、コミュニティー・ガムラン・グループ、デジタル・テクノロジーのクラスが開かれている。
LSOは設立時から旺盛なパイオニア精神を持っていた。英国のオーケストラ初の海外ツアー(1906年)、ヨーロッパのオーケストラとしての初のアメリカ・ツアー(1912年)を行った。創立以来何百曲もの作品を初演し、また音楽史上非常に重要な作品をいくつも委嘱している。人々のイマジネーションを捉える能力に長け、1913年には初の録音、1935年には初の映画、1971年には初の人気テレビ番組「アンドレ・プレヴィンのミュージック・ナイト」、2000年には初の着信メロディ、2003年には初のビデオ会議によるマスタークラス、2005年には初のデジタル・ダウンロードを手掛け、2006年には初の赤ちゃん用のDVDを製作した。
マネジング・ディレクターのキャスリン・マクダウェルをはじめ楽員、スタッフ全員が、2世紀目に突入したLSOの役割を新たに定義し直し、今後も世界的な演奏水準を維持しながら、より多くの人々に演奏を聴いてもらえるよう努力を続ける決意を持つ。LSOはつねに創意に富んだダイナミックな姿勢で、オーケストラ界の発展において主導的役割を果たしてきた。また100年にわたって常に変化し続ける世界の中で進化と適応を遂げてきたことで、オーケストラは深く根を下ろしてきた。今やLSOは未来にしっかりと焦点を当てている。
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